ロシアでも、新型コロナウイルスの感染拡大が続いていますが、4月16日のロシアのプラウダは、世界最大の国土面積を持つロシアでも、ついに 1つの行政区分以外のすべての地区に感染が拡大したと報じました。
ロシアは 85の地方区分を持ちますが、そのうちの 84区に感染が拡大しているのです。
最初にロシアで感染者が確認されたのが 2月1日のことで、それから約 2ヵ月半で、広大なロシアのほぼ全土に感染が広がったことになります。
ロシアの行政区は、「州」「地方」「連邦市」「共和国」「自治州」などになりますが、全部で 85あるそれらの行政区で、4月15日の時点で、感染確認者が出ていないのは、アルタイ共和国ひとつとなりました。以下がロシアのすべての行政区の分布です。
ほぼ最南にあるアルタイ共和国以外のすべてで感染者が発生しています。
なお、ロシアでも「厳格な外出禁止」と「企業の休業」を 課していてます。
4月7日には以下のように報じられていまして、あたかも、ロシアでの感染拡大は食い止められるというような雰囲気もありました。
日本には真似できないロシアの「1ヵ月休業」 プーチンはコロナとかく戦えり
プーチンの号令で企業活動をストップ
プーチン大統領は3月25日、新型コロナ感染拡大を食い止めるため、3月28日から4月5日までを休日に指定し、自宅に留まるよう国民に呼びかけました。
そして、4月2日に再度、国民向けのテレビ演説を行い、この特別休日を4月30日まで延長すると表明したのです。公的機関、生産の中断が難しい企業、医療機関・薬局、生活必需品の商店および生活に必須のサービス業を除いて、基本的に企業を休業させるという大胆な決定です。
なお、4月2日の追加措置では、各地域の実情に応じて、それぞれの地域行政に一定の裁量を与えるという方向性も打ち出されています。
ロシアはこういう非常時にこそ力を発揮する国なのかもしれません。危機が迫っている時には、最高指導者が即断即決、トップダウンで戦略的決定を下し、細かい法律問題などは後から考えるというのがロシア流。
それとは逆に、日本は平時にコツコツと努力をしたり調整したりするのは得意ですけれど、非常事態に直面した時の危機管理が、からきし駄目ですね。(朝日新聞 Globe 2020/04/07)
とありますが、残念ながら「非常事態に直面した時の危機管理が、からきし駄目」なのは、ロシアも同じだったようです。
なお、ロシアが、特別休日の延長を決めた 4月5日時点での感染者数は 5,389人で、死者数は 45人でしたが、4月18日現在、
ロシア 感染確認数 3万2,008人 / 死亡者数 273人
と、2週間あまりで、感染者、死亡者数共に 6倍ほどの増加となっています。
どれだけ広い国土でも、こういう人為的な封鎖措置では、新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めることはできないことがよく現れていると思います。
また、アメリカでもヨーロッパでも封鎖や外出禁止が続くと、新規の感染者は減少しても、死者がおびただしく増える傾向にあります。
それと共に、皮肉なことですが、アメリカでもヨーロッパでも、「早期から厳格なロックダウンや外出禁止を行った国や地域」であればあるほど感染状況と死亡者数の急増が悪化している傾向がはっきりとしています。
ですので、比較的その両方を満たすロシアの状況は今後さらに厳しくなっていく可能性もあります。