内臓が左右「逆」の位置で育つ胎児が400%増加
世界で最も広く読まれている医学誌である『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン (NEJM)』というものがありますが、この NEJM に数日前、「中国で、今年起きている奇妙な事象」を調査した論文が掲載されていました。
それは、中国の調査で、
「子宮内で臓器が左右逆転している赤ちゃんが著しく増加している」
というものでした。
調べますと、日本語では、
「内臓逆位」
というものになるようです。
以下は、日本心臓財団のページです。
内臓逆位
内臓の位置が左右逆になっていること。胃と心臓の位置が反対側であって、かつ、単心房、心内膜床欠損症、単心室のいずれかの組み合わせで心臓奇形がみられる場合には、内臓錯位症候群という。
「子宮内で赤ちゃんがこんな状態で育つことがあるんだ…」と知りましたが、発生率は国や地域に異なるでしょうけれど、英 BBC の記事には、以下のように記載されていました。
2019年4月のBBCより
内臓逆位は 2万2000人に 1人の割合で見られる珍しい状態。心臓などに深刻な異常をともなうことが多い。ウォーカー博士によると、内臓逆位の人で成人まで生存するのは 5000万人に 1人の割合だという。
かなり稀なもののようですが、「成人まで生存するのは 5000万人に 1人」というのは、なかなか重い響きです。
NEJM の論文によれば、研究では、中国の 2つの産科センターでの調査により、
「 2023年の内臓逆位の胎児の割合は、以前の 4倍以上」
となったことが示されています。
以下は論文にあるグラフです。下にある数値は、総妊娠数です。
このグラフは、別の部分も注目されるところで、下段の「総妊娠数」が、コロナ前と比較すると、その後の「わりと極端な減少傾向」が示されていることもわかります。
2023年は 7月までのデータで、総妊娠数は 23,746件とあり、その後も同じペースだったとしても、今年の総妊娠数は、4万件の前半くらいとなりそうです。
このような傾向が中国全体に広がっているのかどうかはわからないですが、内臓逆位の胎児が極端に増加したという事実は、なかなか問題ですね。
仮に原因がスパイクタンパク質(自然感染、ワクチン暴露共に)にある可能性があるのなら、日本がどうなっているのかも気になるところです。
論文の概要をご紹介します。
中国福祉研究所国際平和母子保健病院や、上海交通大学などの医学者たちによる研究です。
妊娠初期数週間の SARS-CoV-2 感染と内臓逆位との関連
Association of SARS-CoV-2 Infection during Early Weeks of Gestation with Situs Inversus
NEJM 2023/11/02
全内臓逆位(右心筋症を伴う)および部分的内臓逆位(左心筋症を伴う)を含む内臓逆位は、内臓の組織が正常な臓器の発達と比較して逆転しているまれな先天性疾患だ。
中国での「ゼロコロナ」政策が解除されてから数カ月後、当院で超音波検査によって診断された胎児位置逆位の症例数が顕著に増加していることに私たちは注目した。
私たちは、中国の異なる地域にある 2つの産科センターからの臨床データを使用して、2014年1月から 2023年7月までの胎児の内臓逆位の発生率を決定した。
2023年の最初の 7か月間、これらの施設における内臓逆位が、在胎週数約 20~ 24週のルーチンの超音波検査によって診断され、発生率が決定された。
2023年の最初の 7か月間は、2014年から 2022年までの年間平均発生率の 4倍となった。発生率は 2023年4月にピークに達し、2023年6月まで上昇した状態が続いた。
全体として、2023年1月から 2023年7月までに 56件の内臓逆位が確認された(全体的内臓逆位が 52件、部分的内臓逆位が 4件)。
この増加は、ゼロコロナ政策が中止された後に発生した重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2 (SARS-CoV-2) 感染の急増に続いたものだ。
この際の SARS-CoV-2 の感染急増は、最終的に中国の人口の約 82% に影響を与えたと推定され、2022年12月初旬に始まり、2022年12月20日頃にピークに達し、2023年2月初旬に終了した。
この因果関係についての結論は出せないが、私たちの観察では彼らは、SARS-CoV-2 感染と胎児の内臓位置の左右逆転の間に関係がある可能性を示唆しており、さらなる研究が必要だ。