規制を厳格化する理由がない中でのロックダウンの強化
4月から始まった中国のロックダウンは、「中国全土で 1億6500万人に影響 (CNN)」というようなことになっていて、日本の人口より多い人々がロックダウン下にあるようですが、中でも、日本を含めた多くの国が影響を受けているのが、「上海のロックダウン」です。
上海では、徐々に製造現場の稼働が始まったというようなことも伝えられていましたが、最近の正式な調査では、日経企業に関しては、ほぼ正常には稼働はしていないようです。
上海日系製造業の91%が稼働率3割以下、封鎖から1カ月の状況を上海日本商工クラブが実態把握
上海日本商工クラブは5月5日、上海市封鎖管理による事業への影響等に関する実態把握の結果を公表した。4月15日に公表した第1回実態把握以降、操業・生産再開の進展や新たな問題が発生しているか把握するべく、4月27~30日にかけて実施したもの。
上海市では4月1日から全域で封鎖管理を行っているが、80%の企業が封鎖に合わせて工場の操業を停止したと回答。
その後、操業再開に向けた動きもみられるが、本実態把握時点で操業許可を取得している企業は37%にとどまった。本実態把握時点における在上海の日系企業の工場稼働状況は、未稼働(63%)、3割以下の生産水準(28%)とする回答を合わせると、91%がこの1カ月間ほとんど稼働できていない。 (JETRO 2022/05/06)
このような中、上海当局は、「さらに封鎖の規制を厳しくする」という方針を打ち出したことが AP 通信によって伝えられています。
感染者は大幅に減少しているのに、です。
今度は、「宅配や配達まで禁止した」と報道にあり、物流云々という以上に、住民の人たちの食物だとかは大丈夫なのかとも思いますが、いずれにしても、ロックダウン厳格化が進んだことは事実のようで、工場の再開もまだ先のことになるのではないでしょうか。
感染者が減少しても規制を強化するということは、想定以上の長期化もあり得るのかもしれません。
まあ、このロックダウンの実際の目的はよくわからないのですが、In Deep に以下のような記事を書いたこともあります。
[記事] 中国のロックダウンは「第三次世界大戦の延長」かと。目的は「西側の食糧、エネルギー供給と流通システムの混乱による経済の崩壊」
In Deep 2022年4月18日
[記事] 歴史上最悪の食糧危機の「最期のトリガー」を引くのは「中国」。それが故意か故意ではないかは別として
In Deep 2022年4月21日
上海のロックダウンの強化についての AP 通信の報道です。
コロナの症例数が減少しているにもかかわらず、上海は封鎖を強化した
Shanghai tightens lockdown despite falling COVID cases
AP NEWS 2022/05/10
上海当局は、COVID-19の発生による1か月の厳しい封鎖を実施しているが、ウイルス対策の制限を再び厳しくした。
いくつかの地区で発行された通知によると、住民は自宅にいるように命じられ、少なくとも 5月11日まで続く「静かな期間」の一部として、不必要な宅配を受けることを禁じられている。
住民全体の PCR検査の結果によっては、引き締め措置を延長する可能性がある、と通知は述べている。
上海市内の新しい COVID-19 症例の数が減少し続けている中で、なぜ、上海当局が新たな厳しい引き締めを促したのか、その理由は明らかではない。
上海では、5月9日に 3,947例の感染確認を報告しており、それらのほとんどすべての人たちに症状はない。死亡事例は 11人だった。上海市当局は市の 2500万人のすべての住民に対する隔離規則を徐々に解除しているが、今回、通知された新しい命令は 4月のロックダウンの初期段階の状態に戻っているように見える。
上海は当初、限定的なロックダウンとともに大量の検査を命じたが、感染確認数が増えるにつれてそれを延長した。何千人もの住民が陽性の検査結果を示したため、または感染者と接触したために、集中検疫センターに強制的に入れられた。
ソーシャルメディアを通じて連絡をとった 2人の上海の住民は、新しい制限について事前の通知はなかったと述べた。
「私たちは準備ができていません」とテクノロジー会社の研究者であるチャン・チェン氏は言った。
「 5月に何が起こるかはわかりませんが、ロックダウン後は心理的な助けが必要だと思います」とチェン氏は語った。
上海浦東西部地区のマーケティング専門家であるルー氏は、封鎖下で生活費が上昇し続けているにもかかわらず、生活の質は低下していると述べた。そして、以下のように述べた。
「毎回、封鎖は数日後に緩和されると言われていますが、終わりはないように思えています」
「仕事のすべての側面が影響を受けています。封鎖がいつ終わるのかもわからないのです」
北京では、当局が最大の都市地区を閉鎖し、住民は自宅に留まるように言われ、店舗は閉鎖された。北京は、すべての居住者、閉鎖された公園、その他のレジャー施設、および限られたレストランのテイクアウト事業のみを許可しており、また、毎日の検査を命じている。
レストランやブティック、あるいはアップルストアなどが並び、通常は賑やかなサンリトゥン・エリアはほとんど人けのない場所となっている。
世界中の企業や投資家たちは、上海やその他の産業センターのほとんどの企業を閉鎖した中国共産党の「ゼロコロナ」戦略が、自動車、電子機器、その他の産業の世界的な貿易と活動を混乱させていることを懸念している。
中国の輸出の伸びは、4月に急落した。
データによると、輸出は前年比 3.7%増の 2,736億ドルで、3月の 15.7%増から大幅に減少した。中国の需要の低迷を反映して、輸入は前月の 1%を下回る成長に伴い、0.7%増の 2,225億ドルになった。