いろいろなアレルギーがありますけれど、「肉アレルギー」というのも、まあ聞いたことはあったんですが、よくは知らないものでした。
そうしましたら、先日見た海外の記事で、そのことが取り上げられていて、推定値としてですが、
「アメリカだけで 1000万人ほどの肉アレルギーの人たちがいる」
ということを知りました。
これが実際であれば、アメリカの人口の約 3%です。
そして、多くの場合は、「なぜ、そのようなアレルギーになったのか」の原因がよくわからない上に、自分が肉アレルギーかどうかもわからない、と。
私自身、以前、小麦(グルテン)の遅延型アレルギーだった可能性があるのですけれど(もう数年間、小麦を一切食べていないので、本当にアレルギーだったかどうかは今は不明ですけれど)、アレルギーの原因のひとつには、「腸内細菌環境の問題がある」ということは当時知りました。
[記事] 食物アレルギーと関連する「腸内細菌の種類」がついに特定される。これにより、理論的には「すべての食物アレルギーを完治させる」ことが可能に
In Deep 2019年6月25日
しかし、英デイリーメールで、肉アレルギーの原因は「マダニ」であることを初めて知りました。
これには、
「α-Gal (アルファ-ガル)症候群」
という正式な病名がついているもののようで、日本語でも検索するとたくさん出てきます。
マダニに噛まれた後に、人によっては、発症することが 2009年にわかったのだそうです。全員がなるわけではなく、なる人がいるということのようです。
以下は、静岡県の病院のページにある記述です。
マダニにさされると肉アレルギーになる
静岡県のお茶畑周辺のマダニ刺咬患者数が毎年増えています。
マダニに咬まれると α-Gal (アルファ・ガル)症候群が起こることがあります。
•糖鎖のひとつの a-Gal に対する IgE 抗体を介するアレルギー
•マダニに含まれているの a-Galが 咬まれることによって注入され、アレルギー体質となる
•a-Galを含む医薬品(セツキシマブというがん治療薬)や、肉の摂取(数時間後)によって発症する
α-Gal症候群による肉アレルギーの特徴
• 4つ足の肉を食べると起こる
鶏肉は大丈夫
牛、ブタ、ヒツジ肉で起こる
• カレイの卵を食べても起こる
• 食べてから 2- 6時間後にアレルギーが出る
• 症状は、じんましん、気分不快、嘔吐など
こんなことはまったく知らなかったですので、「へえ」と思いました。
アメリカの人口の 3%が、このアルファ-ガル症候群により肉アレルギーになっているとするなら、日本にも北海道から沖縄まで広くマダニは分布していますので(フタトゲチマダニというものだそうです)、たとえば、日本の人口の 3%という数字を当てはめますと、数百万人などの結構な数のアルファ-ガル症候群の方々がいらっしゃる可能性があるのだなと。
ちなみに、Wikipedia によると、マダニの活動時期のピークは「夏」ということがはっきりしているそうです。
それにしても、いろいろな病態があるものなのだなあと知りました。
英デイリーメールの記事をまとめていた報道をご紹介します。
1000万人のアメリカ人が奇妙な病気にかかり、肉にアレルギーを起こす可能性がある - しかし、それを持っていることに気付かないかもしれない
10 Million Americans May Have Bizarre Disease Making Them Allergic to Meat - You May Not Realize You Have It
Western Journal 2022/05/09
アウトドアシーズンが始まり、アメリカ人たちが自然の中に出かける時期となった。
しかし、そこでダニに刺された場合、すでに何百万人ものアメリカ人に影響を与えている可能性のある「赤身の肉アレルギー」につながる可能性があるという警告が出ている。
英国デイリーメールによると、アルファ-ガル症候群と呼ばれる病気が、アメリカ人の 3%、およそ 1,000万人を襲っている可能性があり、その多くは何が彼らを苦しめているのか見当がつかない。
ミネソタ大学の公衆衛生の専門家であるジョナサン・オリバー博士は、ダニの咬傷(主に米国東半分のほとんどの州の森林地帯で見られるマダニ)が原因であると述べた。
しかし、この肉アレルギーは症状がすぐには現れず、場合によっては、肉を食べてから症状が現れるまでに 12時間かかる可能性があるとオリバー博士は言う。
「多くの場合、赤身の肉を食べてから病気になるまでに、数時間から 12時間の遅れがあります」と彼は言う。「そのため、人々は、前夜またはその日のずっと早い時間に食べた赤身の肉にアレルギー反応をしているという関係性がわからないことがよくあります」
さらに複雑な問題は、病気の軽度の症例を持っている多くの人が何年もの間、診断されないままになっているということだ。
オリバー博士は、アルファ-ガル症候群の事例は増加していると述べた。
「毎年マダニの咬傷が増えていますが、個々の咬傷からアルファ-ガル症候群になる可能性はかなり低いです。しかし、より定期的にダニに噛まれる人々では、リスクが高くなります」
アメリカ疾病管理予防センターは、この病気を回避する最善の方法はダニを避けることであると述べている。これは、森の中をハイキングするときに予防策を講じることを意味する。
オリバーは、ダニの唾液中の化学物質が病気を引き起こしていると考えられるが、それがどのように、またはなぜ一部の人たちだけに影響を与えるのかは明らかになっていない。
「この病気については不明なことがたくさんあります。他のダニ媒介性疾患への感染がアレルギーなどを変化させているかどうかを知ることで、どの組み合わせやタンパク質がアルファ-ガル症候群を引き起こすのかを知ることができるようになるかもしれません」と博士は述べる。
デイリーメールによると、ティナ・メリット博士は、アレルギーは肉を調理することからの、煙だけでも症状を引き起こす可能性がある点に達する可能性があると述べている。