2016年9月7日のツイッターへの投稿より
ロシアの北極圏にも近いシベリアのノリリスクという町で、9月6日、「突然、川が真っ赤に染まる」という出来事が起きたようです。
この川は、ダルディカン川(Daldykan)という川で、最初は、冒頭のような地元の人だと思われる人たちからの SNS などの投稿で始まり、その後、ロシア当局によって確認されました。
9月7日、ロシア天然資源省は、「未知の物質によるものであると考えられる」とウェブサイト上で発表しています。
ロシア天然資源省の赤い川についてのプレスリリース
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この町の名前「ノリリスク」を聞くと、いろいろと思い出される方もあるかもしれません。
たとえば、この場所は、世界有数のニッケル鉱山や、他の金属業が多数あったりする冶金業都市であると共に、ノリリスク - Wikipedia に、
2001年10月より閉鎖都市に指定され、外国人観光客の訪問が規制されており、ロシア人訪問者も訪問許可が必要となっている。
という町だったり、あるいは、下のようなことでも有名かもしれません。
ロシアで最も汚染された街
ロシアNOW 2016/08/12
クラスノヤルスク地方の北部に位置する北極海沿岸の都市ノリリスク。この街について話すとき、「最」という言葉がよく使われる。
世界最北端の主要都市、ロシアで最も汚染された都市、世界で最も寒い都市など。ノリリスクの人口は17万人(外国人は特別な招待状を持っていないとこの街に入ることができない)。
ほとんどの住民がロシア有数の資金力のある企業「ノリリスク・ニッケル」で働いている。ノリリスク・ニッケルは非鉄金属の生産量で世界一であり、同時に、北極圏の壊れやすい環境を汚染している。
ノリリスクの場所
・Google Map
こういうように、とても汚染された環境ですので「川が赤く染まる」ということに違和感はないのかなとも思いましたがが、しかし、冷静に考えると、ノリリスクの汚染の歴史は 70〜80年間以上にも及ぶもので、ニッケルなどの汚染で川が赤くなるのが普通であるならば、これまでも何度も赤くなっていたはずです。
しかし、そういうようなことはないようで、そして、ロシア天然資源省が緊急のリリースをおこなっているのを見ても、これは何か異例の事態ではあるようです。
上空から撮影された写真を見ますと、かなりの長距離に渡り、川が真っ赤に染まっていることがわかります。
この川の水は、周辺の生活用水にも使われているのだそうですが、今のところ、ノリリスク市当局からは、水の使用に関する制限や注意などの通告については発令されていないとのことです。
世界中で赤い川の例は数多くありますが( In Deep の過去記事をご参照下さい)、ロシアでは、あまり聞いたことがなく、ただ、2012年7月に、黒海近くのアゾフ海という内海が真っ赤に染まったことがあります。
[参考記事] 血に染まった過去を持つアゾフ海に隆起する「泥火山による新しい島」。その場所は地獄と化したウクライナとロシアが共有する場所だった (In Deep 2015/10/28)
世界中で「藻」が増えていること、そして、様々な汚染が進んでいることも含めて、海でも川でも水が赤く染まる例はこれからも増加しそうな感じがあります。
科学的に考えれば、仮にすべてが理解のできるものであっても、「水が赤く染まる」というインパクトはいつでも強いものです。
そして、それはいつも示唆的なことだと私は思っています。