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最期の食糧危機 異常気象

ヨーロッパが記録的な4月の寒波に見舞われ、農作物と果樹園に壊滅的な影響が出ている模様。大きな影響が出た原因は「冬が暖かかったから」

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凍結したリンゴの木のつぼみ。4月4日 フランスのモントーバンの果樹園。Valentine Chapuis




 

今は食糧に関することについては、全体的に悪い方向のことしか出てこないですが、気候もそうです。先日、アメリカに非常に厳しい春の寒波が訪れる可能性について、以下の記事で取り上げました。

 

[記事] アメリカの中部から東部に、信じられないほどの寒気が流入する予測。農作物に凍結のおそれ
 地球の記録 2022年4月6日

 

今週はじめには、ヨーロッパも 4月としては記録的な寒波が入りこむ予報が出されていました。

そして、予報通りに、ヨーロッパは現在その寒波に見舞われているのですが、これが本当に 4月としては記録的なものとなっており、果樹や農作物に相当な影響が出ていると米ワシントンポストが伝えていました。

また、イギリスでは、中央イングランド気温記録(CET)の平均値が、 363年前の西暦 1659年の低温記録を更新した報じられています。

今回のヨーロッパの寒波は、単なる寒波とはまた少し違って、非常に皮肉なのは、

「この冬のヨーロッパはとても暖かかった」

のです。

3月まではとても暖かい日が続いていたのですが、4月に入って、突然氷点下の気温が記録され始めるということになっていまして、果樹などを含めた農作の話ですと、「冬にきちんと低温にさらされないと、作物や樹木が凍結に弱くなる」のだそうで、つまり農作的には、「冬は寒いほうがいい」のです。

今年のヨーロッパは、「冬に暖かく、そして、春を迎えて一気に寒くなった」という気温の推移となっており、これがむしろ事態を悪化させたようです。

 

4月4日のヨーロッパ周辺の気温(平年との差異)を見ますと、「ヨーロッパだけ平年より寒くなっている」ことがわかります。青が濃くなるほど平年より気温が低く、茶色が濃くなるほど平年より暖かいことを示します。

 

2022年4月4日のヨーロッパの平年との気温の差異

University of Maine Climate Reanalyzer

 

南欧から東欧までくまなく非常に強い寒気に包まれています。これを見ますと、ロシアは内陸部はものすごく暖かいようです。

ヨーロッパには、このような寒波が、「春になってから訪れた」ことになりますが、この先はどうなるのでしょうかね。

 

以下の In Deep の記事で、ラニーニャの持続について書きましたが、長い期間のラニーニャはヨーロッパも影響を受けやすいです。

 

[記事] ラニーニャ現象が終わらない : アメリカをはじめ世界の穀倉地帯の干ばつと異常気象がさらに厳しく継続する可能性。その先には「もはや食糧は存在しない」世界が
 In Deep 2022年4月5日

 

今から22年前の長期間のラニーニャでは、ヨーロッパに寒波がもたらされています。

ともかく、食糧問題に関しては、なかなか先行きが厳しいものになりそうな感じが強くなっています。

ワシントンポストの記事をご紹介します。




 


記録的な寒波がヨーロッパを襲い、春の作物が打撃を受ける

Record-setting cold snap hits Europe, stunning spring crops
Washington Post 2022/04/04

歴史的にも激しい 4月の寒波がヨーロッパに降りかかった。

気温は平年より 11℃から 18℃も下がった。

この記録的な寒さは、ヨーロッパのいくつかの国で厳しい凍結を引き起こし、早咲きの植物や作物に打撃を与えた。

週末に到着したこの季節外れの寒さは、前週、ヨーロッパに非常に暖かい気温をもたらしていたことに続いて起きた。特にフランスの農業地域では、前週までの暖かい気温の中で、植物が急速に芽吹き始めていた時で、そこを凍結が襲った。

フランス国立農業食品環境研究所の所長ジャン・マルク・トゥーザード氏は、以下のように述べた。

「凍結によって引き起こされた被害を評価することは、現時点ではまだ難しいですが、プラム、チェリーなどの果樹園とブドウ園が影響を受けています」

フランスの天気予報機関である Météo-France は、フランスの 4月4日の朝の気温は、1947年以来最も低く、全国の最低気温がマイナス 1.5℃だとツイートした。

山間部では、フランスの 4月の記録であるマイナス 21.5℃と同じくらい寒かった。

フランスの気象学者ギヨーム・シャリエ氏は、4月1日から 3日は、少なくとも1930年以来のフランス国内で 4月の最初の 3日間としては最も気温が低かったと述べている。ドイツ、スペイン、オーストリアでも同様だった。

天気図は、ポルトガルからロシア西部にかけて、季節外れに寒い条件の広大な地域を示した。通常との最大の気温差はスペインとドイツに集中しており、フランスが最も大きな打撃を受けた。

この冬のヨーロッパはとても暖かい冬だったが、そのことが、おそらく作物を凍結に対してより脆弱にしてしまったとみられる。特にドイツではこの冬は通常よりも暖かく、平均年よりも 20日近く凍結がなかった。

欧州委員会の月例作物監視速報によると、冬が暖かかったことにより、ドイツでは「作物の凍結への耐性がかなり弱くなっている」という。

冬から早い春の気温が高かったために、今年の春の開花は異常に早かった。

そして、この「暖かい冬の後に、ヨーロッパの春に厳しい寒波が到来した」のは 2年連続なのだ。

昨年、ヨーロッパの一部では、4月上旬に記録的な寒さが訪れる前に、記録上最も暖かい 3月を経験した。そして、4月に入り、スイスとスロベニアは 4月の最低気温記録を更新した。フランスとイタリアの多くの場所は、記録上最も寒い 4月となった。

昨年 2021年 4月の寒波は、フランスのワイン生産者たちに壊滅的な打撃を与え、 24億ドルの被害をもたらした。

一部のブドウ園では、ブドウ収獲の 80%が失われた。

「果樹栽培者とブドウ栽培者は、この種の被害を恐れています。それはかなり定期的になり始めているからです」と、フランス国立農業食品環境研究所の研究者でもあるシャリエ氏は言う。

フランス東部では、「おそらく過去 5年間で約 4回起きました」。

「凍結は通常の農業状態の一部ですが、冬の気温が異常に高くなったことで、植物の凍結への脆弱性が高まるのです」と専門家は述べている。

この「偽の春」と呼ばれる現象は、近年ヨーロッパだけでなく、米国のいくつかの地域でも農業被害を引き起こしている。アメリカ国立現象学ネットワークのディレクターであり、アリゾナ大学の研究教授であるテレサ・クリミンズ氏は、以下のように述べる

「花のつぼみが凍結した場合、それらはその春に再生せず、一年中再生しません。近年、暖かい冬と、それに続く春の凍結、そして、それによる作物の完全な喪失に続く、いくつかの壊滅的な影響がありました」

2012年の 3月から 4月の凍結では、ミシガン州で 5億ドルの被害が発生した。2017年の 4月初旬の凍結は、米国南東部で 20億ドルの経済的損害をもたらした。







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