ヨーロッパのルーマニアで大洪水が発生していることが伝えられています。
報道では、「過去 200年間で最悪の洪水」と伝えられています。
冒頭の写真は、6月19日のルーマニアの報道からのものですが、6月24日の時点の報道でも洪水が続いていることが報じられていますので、大雨と洪水が長く続いているようです。
6月19日から24日のルーマニア各地の様子
この洪水に関して、ルーマニアの報道では、「国土の半分が洪水の危機に晒されている」としており、深刻な洪水がそれほど多いわけではない同国にとっては、とても大きな災害となっているようです。
国土の半分といいますけれど、ルーマニアは決して国土面積の狭い国家といえず、以下のようにヨーロッパの中では、比較的存在感のある面積を持ちます。
ルーマニア
・freeworldmaps.net
なお、ルーマニアと日本の面積を比較しますと、以下のようになります。
・ルーマニアの面積 約 24万平方キロメートル
・日本の面積 約 38万平方キロメートル
ここから考えますと、ルーマニアの報道の「国土の半分が洪水の影響を受けている」ということがある程度正しいとしますと、
「日本国土の3分の1ほどの大地が洪水の影響を受けている」
と考えることもでき、そのように考えますと、相当な洪水被害だといえます。
そして、この 200年で最大の洪水には「皮肉」な話がついています。実は、ルーマニアは、今年 5月までは、「過去 100年間で最悪の干ばつ被害を受けていた」のです。
以下は、ブルームバーグの記事を伝えた 5月のルーマニアの報道の冒頭です。
2020年5月20日のルーマニアの報道より
前世紀の時代を含めて最悪の干ばつが、ルーマニアと他のいくつかの東ヨーロッパ諸国に影響を与えている。
欧州東部の干ばつが東ヨーロッパの農作物を壊滅させており、この地域では共産主義の崩壊以来で経験する最悪の経済不況を招くと予想されるほど状況が悪化している。
ルーマニアとポーランドの一部の地域では、過去 100年間で最悪の干ばつであり、チェコ共和国では過去 500年間で最悪だ。 (economica.net)
この報道の約1ヶ月後、状況が一転して、ルーマニアは「過去に経験したことのないような大洪水」に見舞われ続けているのです。
干ばつは、農作に大変な影響を与えますが、大洪水も同様に農作に大変な影響を与えますので、かなり厳しい状況となっている可能性があります。
ルーマニア以外の東ヨーロッパの気象の状況は詳しくはわからないですが、地図を見ますと、周辺には小麦の一大生産地であるウクライナを含めた農業大国が多く、この地域の気象も気になるところです。
世界的に中長期での食糧供給の不安が出てきていますが、気象の異常は今や世界で全体的に広がっている感じもあり、夏までにどのようになるのかなと思います。
以下の In Deep の記事で取り上げましたけれど、中国でも、過去最悪級の洪水が続いていまして、しかも、中国ではイナゴの大発生も確認されています。世界各地で農作物への懸念が拡大しています。
中国南部で続く史上最悪の大洪水の中、数億人に影響を与える可能性のある「三峡ダムの決壊」は起きてしまうのか?
In Deep 2020/06/24
パンデミックに引き続いて、この夏は、気象の不安定さも人類社会への不安を拡大させる要素となっていくかもしれません。