・トルコ東部のヴァン市。積雪は6メートルという考えられない規模に。Barzan Sadiq
最近、以下のような記事で、中東各地で過去に記録がないような大雪と寒波に見舞われていることを取り上げました。
その後、中東各地の報道を見ていましたら、この異常な寒波は、中東の非常に広い範囲に及んでいて、少なくとも、トルコ、シリア、イラン、イラクなどでは記録的な雪と寒さとなっているようです。
トルコ 少なくとも41名が死亡
トルコでは、特に東部から東北部がかつてない大雪と寒さに見舞われていて、数千台の車両が雪の山に埋もれていると伝えられています。
すでに 40名の死亡が報じられていますが、多くの人たちが行方不明になっており、雪や氷の中に閉ざされている可能性が高いと伝えられています。
気温も激しく、トルコ北東部のアルダハン州にあるヴァン市では、気温が -40℃にまで下がりました。これは、1972都市に記録された -39℃を下回り、観測史上で最も低い気温となりました。トルコ東部では、「ダムが凍結した様子」が報じられています。
凍結したトルコ東部のダム
・aa.com.tr
シリア 難民キャンプを寒波が直撃し、子どもたちが亡くなっている
シリアでは、北西部が大雪と非常に低い気温に見舞われています。
数年に一度くらいはシリアにも雪が少しは降りますが、これほどの大雪と寒さは珍しく、都市部では子どもたちが雪で遊ぶ姿が報じられていましたが、しかし、シリアには内戦から逃れた難民キャンプにも多くの子どもたちがいて、寒さに震えているようです。
雪に覆われたシリアの仮設キャンプ
・abc.net.au
救援隊員によると、先週だけで 10人の子どもが仮設キャンプで死亡したと ABC は報じています。
この寒さが継続した場合、新たな人道問題が生じる可能性があります。
また、日本経済新聞が「シリア、人道危機深まる 政権猛攻で最多の避難者 」と報じていますように、現在シリアの難民の数は「過去最大」となっているのだそうです。その中でこのような厳しい気象が直撃しているのです。
イラン 積雪は最大6メートルに達し、80人以上が行方不明に
イランでは、2月12日前後に各地で激しい暴風雪に見舞われ、8人が死亡、145人が負傷、80人以上が行方不明となりましたが、それから数日経っても、混乱は収束していないことが伝えられています。
交通機関は雪のために再開に時間がかかっており、多くの場所で電力、水、天然ガスなどの供給が遮断されているようです。
イラン国営通信社の報道より
・Fars News Agency
この大雪はイランの約 50都市を襲い、多くの地域で 24時間以内に 1メートルから多い場所では 2メートル)の雪が積もったようです。雪国でも珍しい積雪量です。
以下のような状況が各地に出現していたようなのです。
2月12日 イランのハルハールにて
・PressTV
イランでは「除雪車さえ雪に埋もれてしまった」と報じられていまして、イランの国家としての歴史の中でも、おそらく最大規模の雪に関する事象だと思われます。
他に、イラクでは、首都バクダッドで、1914年以来、約 100年ぶりの積雪になったことを、こちらの記事でご紹介しました。
サウジアラビアも最近では最大の寒波に見舞われていることが報じられています。
ヨルダンとの国境にあるサウジアラビアのタリフ地域では、気温が -5°Cまで下がり、イラクとの国境にあるアラールでも気温が -2°Cまで下がったそうで、サウジアラビアの気温としては、かなり異常な部類に入ります。
本来は冬でも比較的温暖なこれらのような国々でも、かつてないような雪や寒波が次々と襲うようになってきました。いろいろと変わっていっているのです。