・ペスト菌。 sfchronicle.com
アメリカのカリフォルニア州で、「腺ペスト」の症例がヒトで確認されたというニュースが報じられていました。
腺ペストは、リスやネズミなどを含むげっ歯類からノミを通じて感染することが多く、自然の多いアメリカにおいては極めて珍しいということではないのですが、それでも、カリフォルニアで腺ペストの症例が確認されたのは 5年ぶりということです。
患者が確認されたのは、カリフォルニア州のサウス・レイク・タホという場所で、サウス・レイクという湖めに面する自然の多い場所です。
サウス・レイク・タホの場所
・Google Map
サウス・レイク周辺の風景
・livescience.com
感染した人の性別や年齢などは明らかにされていませんが、カリフォルニア州エルドラド郡の保健福祉省の声明によると、「犬の散歩中に腺ペストに感染したノミに噛まれて感染した可能性が高い」とのことでした。
アメリカでは、ノミに噛まれたことによるペストへの感染は、毎年のように起きていますが、ペストは、抗生物質で治療可能であるため、適切な治療を迅速に行えば、それほど脅威ではないとされています。
ではなぜ、ペストの発生を取り上げたかといいいますと、パンデミックのロックダウン以降、
「多くのアメリカ人の基本的な免疫力が下がっているような気がする」
と思うのです。
普段なら問題にならないようなことが問題になりやすい環境にあるような感じがしています。
先日は、ロシアと国境を接する中国の内モンゴルで腺ペストが発生した際、ロシア当局は、
「 3万人以上に腺ペストのワクチンを強制的に接種した」
ということを以下の記事で取りあげました。
ロシアで副作用が極端な腺ペストのワクチンが3万人以上に接種される。米カリフォルニア大学では全学生と職員に対してインフルエンザワクチン接種を義務化
In Deep 2020/08/15
腺ペストのワクチンは、接種した全体の半数ほどに何らかの副作用が出るという人体への影響の強いものですが、仮にアメリカでも、今以上の腺ペストの流行が広がった場合、「ロシアと同じようなことを行う」ような可能性もあるのかなと。
先ほど書きましたように、動物を介しての腺ペストの発生は、ものすごく珍しいものではないですが、今年は特に加速しているようにも思えます。
8月16日には、モンゴルでも腺ペストの患者が発生したことが報じられています。以下は新華社の報道です。
モンゴル西部で腺ペストの疑いのある症例が報告
モンゴル西部のホブド県で腺ペストの疑いのある症例が報告されたことをモンゴル保健省が発表した。
声明によると、同県に住む37歳の住民が現在、地元の病院で隔離されている。
同省によると、男性はマーモット(げっ歯類の動物)の肉を食べたことが判明し、現在、重篤な状態にある。一方、保健省によると、この男性と濃厚接触したと思われる 22人を検疫している。
今年の初め以来、腺ペストだと疑われる症例がアジアで 13例報告されており、そのうちの 4例は臨床検査で腺ペストだと確認された。
モンゴルの人獣共通感染症国立センターは、モンゴル 21州のうち 17州が腺ペストの危険にさらされていると語った。
世界保健機関(WHO)によると、腺ペストは、マーモットなど野生のげっ歯類に生息するノミによって蔓延する可能性のある細菌性疾患で、適切な治療が行われない場合、24時間以内に死亡する可能性がある。 (新華社 2020/08/16)
地球の多くの人たちが体力や免疫が落ちている可能性がある中で、腺ペストがこのように多く発生していることは気になります。