中国の、詳細な場所が不明の映像より / 11月29日
Nexx
デモと関係しているかどうかはまったく不明
中国各地で市民などによる抗議デモが続いていることが報じられています。
これに対して、中国当局はかなり強気な姿勢を見せているようで、共同通信の記事では以下のように報じられていました。
中国「敵対勢力摘発する」 抗議活動に強硬姿勢
共同通信 2022/11/30
中国の習近平指導部は治安維持に関する会議を開き「敵対勢力の浸透、破壊活動や社会秩序を乱す違法な犯罪行為を法に基づき断固取り締まる」との方針を確認した。
国営通信新華社が29日伝えた。厳しい新型コロナウイルス対策に抗議する活動が拡大したことを念頭に、政府批判を強硬に抑え込む姿勢を示したとみられる。
中国で1989年に民主化要求運動を武力弾圧した天安門事件が起きた際、当局は国内外の「敵対勢力」が扇動したと主張。中国指導部はその後も、デモや政府批判の動きを「敵対勢力」と結び付けて取り締まる口実としてきた。
これが報じられた前日の 11月29日前後に、中国からの SNS 投稿とされる動画が次々と海外メディアで取りあげられています。
冒頭の写真も、そのような動画からのスクリーンショットですが、しかし撮影者本人での投稿ではないものが多く(基本的には中国ではツイッターを使えないため)、撮影場所や時間が不明なものも多く、まったく関係のない資料映像の可能性もあります。
ただ、どんな状況であっても、「市街地に戦車が次々と通る」という状況は、いかな中国でも、通常ではあることではないことと共に、たとえば冒頭の写真で戦車に乗っている兵士と見られる人の写真を見ますと、
「マスクをしている」
のですね。
ですので、少なくともずっと以前の映像等ではなさそうです。
兵士が作戦中にマスクをするような素っ頓狂な時代は今だけです。
他にも以下のようなものが次々投稿されています。オリジナルは多くが動画です。
通りを何台もの戦車が通過
Liberty Eagle
徐州と江蘇省で多数の戦車が目撃されたという投稿
Tech Vnn
上海へ向かう道で撮影された軍用車両運送の様子(横に「AU」と書かれてあります)
GFWfrog
確かに、平時にこのように、秘密裏にでも何でもなく市街地を大量の軍用車両が通過していくということは珍しくはあるわけで、それで話題となっているようです。
最初に書きましたように、これらが抗議デモの鎮圧等と関係しているという証拠はないですし、最近の映像であるのかどうかさえわかりません。
場所が「中国のどこかである」ということ以外は何もわからないといっていいです。
なお、これらはツイッターへの投稿ですが、基本的に中国では、ツイッターにアクセスをすることはできません。
する方法としては、こちらのページの以下のような方法などとなります。
> 実は、VPNか香港SIMなるものを使えば、中国本土からでもTwitterを閲覧できます。 (LIFE PEPPER)
この「 VPN 」というのは、「仮想のプライベートな通信網 (Virtual Private Network」)」の略で、一般のネット回線の中に、特定のユーザーだけが使える専用回線を仮想的に構築するものだそうです。
しかし、現在の中国では、この VPN は基本的に違法となります。
たとえば、11月29日のロイターの報道では、中国当局が、人々がこの VPN をインストールしているかどうかをチェックしていることが書かれていました。
(11月29日のロイターの報道より)
> 住民などによると、警察は周辺を行き来する人に、携帯電話にVPN(仮想私設網)や週末のデモで使用されたテレグラムのアプリがインストールされているか尋ねている。中国では大半の人にとってVPNは違法で、テレグラムは中国のインターネットからブロックされている。 (2022/11/29)
これからのことはまったく予測がつかないですが、中国当局はほとんど譲歩する姿勢を見せていないですし、ゼロコロナ政策を撤回する意志もないようですので、今後仮に抗議活動が拡大していったような場合は、何らかの措置をとる可能性はあるのかもしれません。
ただ、デモを行うほうにとって、現代の社会で最も厄介なのは、「みんなが携帯やスマートフォンを使用している」ということかもしれません。デモが沈静化しても、メールやチャットの履歴を含めて、何もかも後になって証拠として残ってしまう可能性が高いです。
ともかく、現在の中国は、ある程度緊張した状態ではあるようです。