京都府立医科大学の研究チームが発表した論文が、世界中で報道されています。
それは、
「オミクロン株は、プラスチックの表面で 193時間生存する」
というものを見出した研究です。
この研究では、皮膚の上でも 21時間生存することが確認されています。
「生存」という表現をさせていただいていますが、ウイルスに対して正しいのかどうかわからないですが、「感染能力を持った状態が維持される時間」ということです。
プラスチック上で 1週間以上、皮膚の上で丸 1日、オミクロンは感染能力を維持したまま機能していることになります。
「プラスチックの表面で 193時間生存する」というのは、この研究でプラスチックで試験をしたということであり、つまり、
「環境中の表面にはどこにでも長時間、生存し続けている」
ということで、これだけ感染が広がっているのですから、ドアノブだろうが、買い物カゴだろうが、それこそ「スーパーの商品などの表面」にも、もうどこにでも感染能力を維持しているオミクロンが存在している、ということです。
論文は以下にありますが、英語の論文だけのようです。
懸念される SARS-CoV-2 変異株間の環境安定性の違い:オミクロンはより高い安定性を持っている
Differences in environmental stability among SARS-CoV-2 variants of concern: Omicron has higher stability
今回は、この論文を紹介していたユーロニュースの記事をご紹介しますが、記事、あるいは論文も、
「手指をエタノールベースの消毒剤で殺菌すること」
を勧めていますが、その部分は違うと思います。
これだけどこにでも「生存して付着している」のなら、手だけを消毒したところで、どうにもなるものではないはずです。すぐ、また付着する。
物の表面だけではなく、衣服にも髪にも、それこそ「マスクにも」たくさんオミクロンが付着しているわけです。手の消毒は「無意味」だとますます思います。
これだけ生存能力が高く、どんな場所でも長く生き残るのですから、「オミクロンの身体への接触を避けることは不可能」と考えます。それについては諦めるべきです。
むしろ過度な消毒で身体の免疫の機能を損なうほうが、感染悪化に貢献する気がします。
In Deep の以下の記事などをご参照いだければ幸いです。
(記事) 過剰な消毒がどのように小さな子たちを殺していくか
In Deep 2021年10月21日
(記事) 過剰な消毒と殺菌が「人間の肺を破壊するメカニズム」がわかった
I n Deep 2020年5月25日
過剰な消毒は、中長期では「肺機能を低下させる」ことがわかっていますので、もう二年もこんな消毒社会で生きている中で、すでに肺機能が低下している人たちも多くなっているとみられます。
これ以上の過剰な消毒はやめるべきです。
今回、この京都府立医科大学の論文をご紹介したのは、「オミクロンはそのように強いコロナ株だ」ということを再認識したためです。
(記事)オミクロンが軽い病気? 欧州各国のデルタを超える死亡数、そしてすでに出現しているオミクロンの新変異種による「永遠の再感染のループ」が導くもの
In Deep 2022年1月22日
消毒だのマスクだのワクチンだの変なことをしなければ、オミクロンは、単なる風邪以下のものになり得ますが、余計なこと(自然の状態ではないこと)をすればするほど、事態は悪化するはずです。
ここから記事です。
オミクロンは、以前の COVID 変異株よりもプラスチックと皮膚上ではるかに長く生き残ることが日本の新しい研究で見出される
Omicron survives much longer on plastic and skin than earlier COVID variants, new study finds
euronews.com 2022/01/25
オミクロン COVID-19 変異体は、プラスチックの表面や人間の皮膚に付着したとき、以前のコロナ株よりも長く生き残ることができることが、日本の科学者たちによる新しい研究で発見された。
まだピアレビューされていない京都府立医科大学のチームによるこの研究では、一連の実験室での試験の結果、オミクロン変異株は、それ以前のコロナ株よりもはるかに長く生存することがわかった。
研究者たちは、このオミクロンの高い「環境安定性」(感染性を維持する能力)が、以前優勢だったデルタ変異株に取って代わり、より急速に感染が拡大することに役立った可能性があると結論付けた。
論文は以下のように書かれている。
「私たちの研究では、プラスチックと皮膚の表面で、アルファ株、ベータ株、デルタ株と、オミクロン株のそれぞれは、元の武漢株よりも 2倍以上長い生存期間を示し、皮膚表面で 16時間以上感染力を維持したことが示された」
プラスチック表面での生存期間は、武漢株が 56時間、アルファ株が 191.3時間、ベータ株が 156.6時間、ガンマ株が 59.3時間、そして、デルタ株の平均生存時間は 114時間だった。
これに対して、オミクロン株は 193.5時間、プラスチック表面において生存した(感染する能力を維持した)。これは、約 8日に相当する。
オミクロンは皮膚の上で21時間以上生存する
死体の皮膚サンプルでの実験では、ウイルスの平均生存時間は、武漢株が 8.6時間、アルファ株が 19.6時間、ベータ株が 19.1時間、ガンマ株が 11時間、デルタ株で 16.8時間だったのに対し、オミクロン株は 21.1時間、皮膚の上で生存した。
「この研究は、オミクロン変異体が VOC [懸念される変異株]の中で最も高い環境安定性を持っていることを示した。この高い安定性が、オミクロン変異体がデルタ変異体に取って代わり、急速に広がることを可能にした要因の 1つである可能性があることを示唆している。」
と著者は述べている。
欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、オミクロンは現在も世界中で大きな懸念事項であり続けており、すべての EU 加盟国に存在し、ほとんどの加盟国で主要な亜種となっている。
ヨーロッパで、新規症例のオミクロン株が占める割合が最も高かったのは、フィンランド(99.9%)、ベルギー(99.7%)、マルタ(99.3%)、デンマーク(98.8%)だった。
オミクロン変異体は COVID-19 の元の菌株よりもエタノールに対して耐性があったが、それでも、アルコールベースの手指消毒剤に 15秒間さらされた後、すべて皮膚上で完全に不活化された。研究者たちは、「現在の手指衛生の感染管理の慣行では、世界保健機関によって提案されているように消毒剤を使用することを強く勧告したい」と結論付けている。