大量死を報じる2016年12月29日のカナダのメディア
カナダ東部の大西洋に面するノバスコシアで「前例のない海洋生物の大量死」が1ヶ月以上続いていることが報じられています。
通常の海での大量死と違うのは、死亡している種類が、ヒトデや貝、ロブスターなどから、ニシンなどの魚類まで多岐にわたっていることです。
まったく違った種類の生き物たちが同時に影響を受けるというようなことは通常ではないことです。
ノバスコシアの場所
・Google Map
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ノバスコシアで最初に大量死が確認されたのは1ヶ月前の 11月下旬のことだったそうで、その際には、ニシンが大量死しているのが見つかったそうです。
その後、ヒトデ、ロブスター、ムール貝など、非常に多くの海洋生物の大量死が発生し始めて現在に至っているようです。
打ち上げられ続けるさまざまな海の生き物たち
・National Post
カナダ漁業海洋庁は、12月28日に、以下を発表しています。
・感染症の疑いはなし
・その他の病気の疑いはなし
・毒物、化学物質による大量死の疑いはなし
・不正漁業の疑いはなし
・水質に問題はなし
つまり、「まったく理由がわからない」ということになっています。
た先ほどの地図を見ると、ノバスコシアというのは、アメリカの東海岸などと近いことがわかります。
実は、最近のアメリカ東海岸では繰り返し魚の大量死などが起きていて、今年の11月には、「ニューヨーク湾に大量の死んだ魚が流れ込む」という事態が発生しています。
ニューヨークでの魚の大量死を伝える米国ワシントンポスト
これらも原因はわかっていませんが、「この北米大陸の大西洋の海域に何か起きている」ことは間違いないようです。
思い当たることのひとつとして、この北米大陸の東海岸というのは、もう1年以上、「異常に海水温度が高い」という状態が続いています。
ノバスコシアで大量死が始まった 11月の下旬の海水温度を見てみますと、このあたりは通常より 5℃以上も高いという異常な状態が続いていることがわかります。
2016年11月の全世界の海水温度
・NOAA
通常より 5℃も高い状態というのは普通あるものではないですが、それが長い間続いているということもあり、いよいよ、北米の海域の生態系が保たれることに限界が近づいてきているのかもしれません。
日本も、漁獲高の異変などの報道は多いですが、全世界の海水温度の分布がかなり異常な状態が続いている状況では、カナダで起きているこのようなこともまだ続く可能性があると思われます。