新型コロナウイルス登場以来で初めてとなる極端な変異
最近、X などへの投稿を「理解しないままに」翻訳掲載することがありますが、今回もそのような感じです。
私自身は、ほとんど理解していないですが、理解できる方々への記録として、あるいは、自分自身への資料としての記録です。
今回ご紹介する投稿は、以下のように始まります。BA.2.86 というのは変異種で、JN.1 と同系列のものです。
BA.2.86 系統のフューリン切断部位 (FCS)に何かが起きています。
フューリン切断部位は、すべての SARS-CoV-2 系統で高度に保存されています。なのに、 BA.2.86/JN.1 で頻繁に消失するのはなぜか?
またも、わからない用語がたくさん出てきますが、ここで重要なふたつの用語であると思われる、
・TMPRSS2
・フューリン切断部位
をご説明させていただいてから投稿をご紹介させていただきます。
TMPRSS2 というのは、ヒトの細胞上にある酵素で、細胞に侵入しようとするスパイクタンパク質を「切断」します。スパイクタンパク質は、切断されて初めて感染できるのです。
以下は、国立感染症研究所の説明からの抜粋です。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が効率よく感染するためには、ウイルスのスパイクタンパク質が、ヒトの細胞上にある TMPRSS2 という酵素で切断(開裂)されなければなりません。すなわち TMPRSS2 の活性は SARS-CoV-2 の感染に非常に重要です。
図で示しますと、以下のような感じです。
「フューリン切断部位」というのは、新型コロナウイルス以前のすべてのコロナウイルスには存在していなかったものです。武漢型の新型コロナウイルスから「突然」現れたもので、これもまた感染力を増大させるものです。
以下の…もうほぼ 4年前の記事ですが、それを取り上げた報道をご紹介しています。
(記事)インドの科学者たちが発表した「新型コロナウイルスの中に存在するHIV要素」を中国やフランスの科学者たちも発見。それにより、このウイルスは「SARSの最大1000倍の感染力を持つ可能性がある」と発表
In Deep 2020年2月27日
そこでご紹介した香港サウスチャイナ・モーニング・ポストの記事から抜粋します。このフューリン切断部位というものが、コロナの感染力を高める「工夫」だったことがわかります。
…HIV やエボラを含む他の感染力の高いウイルスは、人体のタンパク質活性化因子として機能する「フューリン」と呼ばれる酵素を標的とする。多くのタンパク質は、生産されると不活性または休止状態になり、さまざまな機能を活性化するために特定のポイントで「切断」する必要がある。
…研究によれば、この突然変異は、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の切断部位として知られる構造を生成している可能性がある。
…そのため、スパイクタンパク質を切断して活性化し、ウイルス膜と細胞膜の「直接結合」を引き起こす。これによりウイルスに感染する。
そして、この研究の調査によると、このような構造を持つ新型コロナウイルスの結合方法は、SARS の細胞との結合方法と比較して「 100倍から 1,000倍」効率的なのだという。
South China Morning Post 2020/02/27
新型コロナの感染の経路の仕組みの一部が「 HIV やエボラウイルスと同じ」であることは、4年くらい前からわかっていたのです。
その、新型コロナのフューリン切断部位が、
「 JN.1 から頻繁に消失している」
と書いていた X の投稿です。
ここからです。
多くの投稿に図が添えられているのですが、図は必要と思われるものだけを掲載します。
ライアン・ヒスナー氏の投稿
Ryan Hisner 2023/12/26
BA.2.86 とフューリン切断部位 (FCS)に何かが起きています。
フューリン切断部位は、すべての SARS-CoV-2 系統で高度に保存されています。なのに、 BA.2.86/JN.1 で頻繁に消失するのはなぜか?
フューリン切断部位は S:681 ~ 685 付近にあり、SARS-CoV-2 の最も特徴的な部分の 1つです。その存在により、フューリンによってスパイクタンパクが細胞内で切断され、膜融合と細胞侵入の準備が整えられます(これには、TMPRSS2 による 2回目のスパイクタンパクの切断が必要です)。
初期の研究では、フューリン切断部位が肺細胞の SARS-CoV-2 感染に必須であることが示され、 PeacockFlu による研究では、フューリン切断部位が(フェレットでの)感染と宿主の免疫防御の回避に必要であることが示されました。
フューリン切断部位は高度に保存されているだけでなく、P681H/P681R によって強化されており、3年近く普遍的に使用されています。 オミクロンは、フューリン切断部位に隣接する S:N679K を追加しましたが、それでも、(フューリン切断部位の)周囲の領域の変異さえも稀でした。
しかし、BA.2.86 (BA.2.86 の優勢型の主に JN.1 ) では、フューリン切断部位を破壊する変異が驚くべき頻度で発生しています。
明確にしておきますが、これはすべての BA.2.86 の中ではごく少数ですが、これまでの傾向とは明らかに異なります。
最も一般的なフューリン切断部位の破壊変異は S:R683W で、これは約 36個の BA.2.86 配列に含まれています。これらは非常に分散しているため、20 件以上の独立した獲得を表しています。最大の R683W クラスターは 5つのシーケンスであると思われます (図)。
フューリン切断部位の S:R683Q はそれほど一般的ではなく、14 配列がありますが、それらの配列のうち 11は同じ系統に属しており、それは5か国 3大陸に広がっています (図)。
興味深いことに、この分岐は、2ヌクレオチド変異を持つより大きな (400 配列) JN.1 分岐の一部です: ORF(※ オープンリーディングフレーム)1b:V1271T (NSP13_V348T)。
1回の飛躍(※変異)での 2塩基変異は非常にまれですが、この変異は 2023年に 3つの異なる (小規模な) XBB 系統で発生しました。
2023年以前は、ORF1b:V1271T は 25配列のみで、1つはデルタ、残りは BA.1/2/5 でした。すべてが 1回のジャンプ(※変異)で両方の nuc (※ある遺伝子)変異を獲得しました。これら 2つの nuc 変異のうち 1つはこれまでに 278個の配列のみに存在し、もう 1つは存在せず、それぞれが個別に有害であるという強い兆候があります。
興味深いことに、S:R681P 復帰によって S: H681R を失った S:R683Q 分岐のすぐ下 (ORF1b:V1271T 系統内) に 4配列分岐があるようです。この分岐の最も遠い配列は、非常に珍しいS: P681S を獲得したようです。
上記の枝上の 4つの S:R681P 配列が本物であるか、ある種の人工物であるかは完全には明らかではありませんが、配列はきれいに見え、3つの異なる開始研究室と 2つの異なる提出研究室からのものであり、BA.2.86 の異常なフューリン切断部位の変異のパターンに適合しています。
フューリン切断部位を破壊する R683W および R683Q は最も極端な例ですが、BA.2.86 では他のいくつかのフューリン切断部位、またはフューリン切断部位の隣接変異も発生しています。
たとえば、 S: K679M は、これまでに 29 個の以前のシーケンス (そのうち 0 個に S:681R が含まれていました) と比較して、22個の BA.2.86に含まれています。
より一般的なのは、BA.2.86 のフューリン切断部位に隣接するS: S680 での変異です。 S680F が最も多いですが、S680P や S680Y も何度も登場しています。これがフューリン切断部位にどのような影響を与えると予想されるかはわかりません。
S:R681H 復帰 (他のほぼすべてのオミクロン系統の残基に 681 を戻す) も非常に一般的です。
しかし、最近では汚染された配列が非常に多くなっているため、この逆戻りがどの程度一般的であるかを正確に解読するには多大な作業が必要となるでしょう。
他のさまざまなフューリン切断部位領域残基にも変異が増加しているようですが、今はそれを分析するエネルギーがありません。ただし、リネージュの大師 @siamosolocani が、これについて話すことができると思います。
これらは一体どういう意味なのでしょうか?
おそらく人々は私がこんなことを言うのにうんざりしているでしょうが、私にはこれらの意味がわかりません。 S:681R はフューリン切断部位効率を向上させると多くの人が考えています。これは BA.2.86 の伝達率を何らかの形で低下させるでしょうか? フューリン切断部位の欠損変異は一種の過剰補償なのでしょうか?
ここまでです。
全然わかりませんが(苦笑)、ともかく、JN.1 系統には、かつてなかった奇妙な変異が起きているようで、それが今後の感染状況にどんな影響を与えるのかはわからないといった感じでしょうか。
もちろん、このコロナ登場以来初めてとなる奇妙な変異が、自然の変異なのか、人工的な変異なのかは今はわかりません。