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パンデミック懸念の上昇:中国で H7N9 鳥インフルエンザの「突然変異体」が患者たちから発見される

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2017年2月21日の中国の報道より

scmp.com

少し前に、中国で H7N9 型鳥インフルエンザが過去最大の流行を見せていることについて、

WHOがパンデミックへの懸念を語る中、中国での鳥インフルエンザH7N9の人への感染数が過去最大に。致死率は20%超
 2017/02/19

という記事で取りあげましたが、その後、中国では冒頭の報道にありますように「突然変異」したウイルスが発見されたと報じられています。

今回は、この報道をご紹介したいと思います。

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なお、インフルエンザ株の突然変異そのものは珍しいことではなく、頻繁に変異するものだと私は認識していますが、

「どのような方向に変異したか」

ということが問題なのだと思われます。

現時点で 20〜30%の致死率を持つこのウイルスが、たとえば、「ヒト=ヒトでの感染を起こしやすくなった」り、「毒性がさらに上がったり」というような変異の場合は厄介な問題になるのかもしれません。

2013年には、「薬剤耐性を持つ」という突然変異を起こしたという例もありました。下は、当時の報道です。

2013年12月10日の英国ロイターの報道より

New H7N9 bird flu resists drugs without losing ability to spread

この時の H7N9 は感染力そのものが弱かったために、広がることはなかったですが、こういうような「変異」あるいは「進化」を繰り返している中で、どのようなタイプのインフルエンザウイルスが現れるのかがわからないという面はありそうです。

中国での感染拡大は基本的に収まってはいなく、最近では、一部の報道で「パンデミック」という言葉も使われているほど、かつてない規模で、鳥インフルエンザの流行が拡大しています。

2017年2月20日のロシア・トゥディより

‘Largest pandemic in 100 years’ threatens China as bird flu spreads

現在の流行が、そうそう簡単に大きなパンデミックにつながるとは思えませんが、「ある程度の規模の爆発的流行」というものなら、このような突然変異の中であり得るのかもしれません。

というわけで、2月21日の中国の英字メディア「サウス・チャイナ・モーニングポスト」の記事からご紹介します。


Mutation of H7N9 bird flu strain found in Guangdong patients
South China Morning Post 2017/02/21

広東省の複数の患者からH7N9鳥インフルエンザの突然変異体が見つかる

中国で、H7N9 鳥インフルエンザウイルスでは初めてとなる遺伝子の突然変異が報告されており、その変化を予測していた専門家たちは、今後より多くの家禽たちに死をもたらす懸念を表している。

中国疾病対策予防センター( 中国 CDC )は、先月、広東省の2人の患者から採取した検体に突然変異体が発見されたことを世界保健機関( WHO )に報告した。

この突然変異により、このインフルエンザウイルスが家禽に対して、より致死的になったことを示唆したが、人々に大きなリスクをもたらすという兆候はなく、人間間の伝染がより起こりやすくなるという徴候もないとの声明を発表した。

これは中国農業省の専門家との話し合いの結果に達した結論となる。

突然変異体のウイルスが検出された患者たちは、死んだ家禽に曝露していた。

同センターによると、これらの患者たちと緊密に接触していた 105人が監視されていたが、鳥インフルエンザの症状は呈していない。

農業当局は突然変異を含む可能性のある4つの家禽サンプルも発見した。しかし、これにはさらなる研究が必要だという。鶏肉のサンプルも広東省に集められた。

中国科学アカデミー微生物研究所のウイルス感染研究者であるシ・ウィ(Shi Yi)氏は、鳥インフルエンザの突然変異は珍しいことではなく、H5N1 型ウイルスも同様の変化を起こしたと述べた。

「実験室での実験はまだ行われていませんが、H5N1に関する以前の研究に基づきますと、突然変異した H7N9 が、より病気を引き起こす可能性があります。しかし、既存の感染経路や、ウイルスの毒性に変化が起きたということを示す証拠はありません」とシ氏は語った。

香港の新興感染症・インフルエンザ研究センターのグァン・イ(Guan Yi)博士は、 H7N9 突然変異体は、家禽を、さらに容易に殺すだろうと語った。

「突然変異の前、H7N9 ウイルスは家禽の腸および気道にのみ感染していたと考えられますが、突然変異の後のウィルスは鶏のすべての器官に移動できることを意味しています」とグァン博士は語った。

このような突然変異は「数日で」鶏を殺すと見られている。

この突然変異体がヒトに直接的な影響が大きくなっていることは示されていないが、家禽の感染リスクが高いことを考えると、家禽からヒトへの感染でのより多くの感染症を引き起こす可能性がある。

この冬、中国では 100人以上の人々が鳥インフルエンザで死亡し、多くの省で家禽の取引が中止されている。







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