アメリカのペンシルバニア州立大学による、これまでで最大規模の「キノコ接種とうつ病発症リスクの関係」の研究が論文で発表されていました。
その結果、キノコ接種がうつ病のリスクを有意に低下させることがわかったという内容でした。
以下が論文です。
Mushroom intake and depression: A population-based study using data from the US National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES), 2005–2016
きのこの摂取量とうつ病:米国国民健康栄養調査(NHANES)、2005年から2016年のデータを使用した人口ベースの研究
これについて説明していた記事は、こちらにあります。
こんな話題が今、気になったというのは、ワクチン接種が拡大していく中で、今後、「うつ的な場合が増えるのかな」ということがあります。
そのあたりは、ワクチンによるヒトヘルペスウイルスの再活性化というものと関係するのですけれど、以下の In Deep の記事を参照していただければと思います。
数年後の社会 : 双極性障害、大うつ病性障害、統合失調症、アルツハイマー病… HHV-6の再活性化が及ぼす広い影響に戸惑うばかり
In Deep 2021年9月16日
うつ病……帯状疱疹……
In Deep 2021年9月8日
私自身の周囲の過去の経験でいえば、発症してしまった後には、いわゆる抗うつ剤というものは本当に効果がないことが多いのです。副作用も強烈ですし。
これまで誰も体系的に触れられなかった聖域「抗うつ剤の離脱作用の激しさと、飛び抜けた有害性の現実」が国際的な研究によって明らかに
In Deep 2018年10月18日
うつのリスクを減らすこと自体、現在のこういう世の中では難しいとは思いますが、避けられる要素があるなら、それを行うことも悪くないかなとも感じます。
日本は世界で最も多種多様なキノコを食用としている国のひとつでもあります。
論文では、うつ病のリスクが減少する要因として、
「エルゴチオネイン」
という、ほとんどのキノコに含まれている成分が要因だろうとしています。
このエルゴチオネインというものを私は知らなかったのですが、調べますと、うつのリスク軽減ということを別にしても、非常に有効なもののようです。
以下は、日本の企業のウェブサイトからの抜粋です。
エルゴチオネイン
エルゴチオネイン(以下、EGTと略す)は希少アミノ酸の一種で、優れた抗酸化能を有した天然物です。EGTを産生できる生物は、キノコ(担子菌類)、麹菌などの真菌類、放線菌、シアノバクテリアといった一部の微生物だけであり、ヒトがEGTを取り込むにはキノコや麹菌発酵食品などからEGTを摂取するしかありません。
EGTは1909年に発見され、古くから知られていた物質ですが、近年になって興味深い性質があることがわかり、注目されています。 (nagase.co.jp)
この資料にはいろいろと書かれているのですが、以下の部分がありました。
> EGTは血液脳関門を通過することができ、中枢神経に蓄積されることがわかっています。酸化ストレスと神経変性疾患の発症には密接な関係があり、神経変性疾患に対するEGTの有効性が次々と報告されています。(nagase.co.jp)
このキノコに含まれる物質は、血液中の多くの異物を通さない脳の関門である「血液脳関門 (BBB)」を突破して、直接、脳の中枢神経に作用するもののようです。食べ物の成分として、血液脳関門を突破するものは、わりと珍しいと思われます。
この文章が引用していた論文は以下の 2016年のもので、研究者たちのお名前から、日本人による研究のようです。
Food-derived hydrophilic antioxidant ergothioneine is distributed to the brain and exerts antidepressant effect in mice
食品由来の親水性抗酸化物質エルゴチオネインは脳に分布し、マウスに抗うつ効果を発揮した
論文には、以下のようにあります。
> 経口摂取されたエルゴチオネインは、血液脳関門を越えて脳に輸送され、そこでニューロンの分化を促進し、毎日の摂取のもっともらしいレベルでうつ病の症状を緩和する可能性がある。
要するに、普通にたまにキノコを食べるだけで、うつ病の症状を緩和するということだと思われます。
若い人たちや、あいは外食中心の場合などは、キノコを食べる機会は少ない気はしますが、適度に食べることは、こういう時代だからこそ良いことのようには思います。
そして、古来からキノコをたくさん食べてきた本来的な日本人の食生活には、かなり健全な部分があるということなのかもしれません。