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オーストラリアのニューサウスウェールズ州政府が「牛」への mRNA ワクチン接種計画を発表

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口蹄疫とランピースキン病が対象

オーストラリアのニューサウスウェールズ州政府が、

「牛への mRNA ワクチン接種計画」

を先日、発表していました。

対象となる疾患は、口蹄疫「ランピースキン病」というものです。

まだワクチンは開発段階とはいえ、ヒトに使われた mRNA コロナワクチンの開発の迅速さを思いますと、かなり早い段階で実施される可能性もあるのかもしれません。

対象となる疾患のうちの口蹄疫はともかく、ランピースキン病というのは、あまり馴染みのないものだと思います。

私も先日まで知らなかったのですが、9月に、

「インドでランピースキン病により数千頭の牛が死亡した」

というインドの報道の際に初めて知りました。

その報道を翻訳したものは以下にあります。

(報道) インドで感染性の皮膚病で5万頭以上の牛が死亡。100万頭以上が感染している模様 (2022/09/17)

 

この時に調べて知ったのですけれど、ランピースキン病を起こすウイルスは、「ポックスウイルス科」なのですね。

> ランピースキン病の病原体は、羊痘・山羊痘に類似したポックスウイルス科カプリポックス属に分類される。 農研機構 動物衛生研究部門

 

この「ポックス」というのは、幅広くあるのですけれど、天然痘ウイルス、サル痘ウイルスなども、このポックス科ですオルソポックス

ですので、このランピースキン病の牛のワクチンが「成功」した場合、サル痘のヒトへのワクチンにも応用できるという流れにもなるのかもしれません。

ただ、口蹄疫ウイルスは、RNA ウイルスですが、ポックスウイルスは基本的に「 DNA ウイルスですので、

「 DNA ワクチンになる?」

とかいろいろと思いますが、ニュースリリースを読んだだけでは、そのあたりはよくわからないです。

それでも、なかなかスゴイことのかなとは思います。

というのも、RNA ワクチンにしても、DNA ワクチンにしても、遺伝子が組み込まれるわけですが、

「多くの飼育牛は、その後に、食肉や牛乳などと関係する」

ことになるわけですので、さまざまな肉料理やバターやチーズなどの乳製品に至るまで、「くまなく、その遺伝子が、人間の食事や料理に広がる」という可能性もあるのかもしれません。

そのあたりは、今はわからないですが (ヒトの mRNAワクチンのように数ヶ月など体内に残る場合なら、これはあり得ることです)。

ニューサウスウェールズ州政府のニュースリリースをご紹介します。




 


ニューサウスウェールズ州は、mRNA 口蹄疫およびランピースキン病ワクチンを迅速に追跡する

NSW fast tracks mRNA FMD and Lumpy Skin Disease vaccines
Deputy Premier, Minister for Agriculture 2022/09/28

ニューサウスウェールズ州政府は、口蹄疫とランピースキン病に対する世界初の mRNA ワクチンの迅速な開発に向けて新たな一歩を踏み出し、米国のバイオテクノロジー企業 Tiba バイオテック社 と契約を結びました。

ニューサウスウェールズ州の副首相兼地域担当大臣のポール・トゥール氏は、本日、オーストラリアの287億ドル規模の畜産産業を保護するワクチン技術の確保に向けた重要な節目を迎えると述べました。

「州政府は口蹄疫とランピースキン病の脅威を非常に真剣に受け止めており、このマイルストーンは潜在的な発生に備えるための新たな一歩です」とトゥール氏は言います。

「来年8月1日までにニューサウスウェールズ州ですぐに使用および製造できるワクチンの両方を開発するという私の挑戦に取り組むよう、ワクチン製造業者に書簡を送りました」

ドゥガルド・サンダース農業大臣は、Tiba バイオテック社との合意により、ニューサウスウェールズ州は、口蹄疫とランピースキン病の mRNA ワクチンの開発に向けた新たな道筋を得ることができると述べています。

「私たちの州の畜産部門を保護するために、口蹄疫とランピースキン病のための mRNA ワクチンをできるだけ早く開発することが重要です」とサンダース氏は述べています。

「現在の口蹄疫ワクチンはウイルス自体を使用しており、ランピースキン病に関してはオーストラリアで承認されたワクチンはまだないため、それらの疾患に対抗する mRNA ワクチンを作成することは、業界のゲームチェンジャーになるでしょう」

「 mRNA ワクチンは、安価で迅速に製造でき、効果が高く安全です」

「それらは完全に合成されており、動物や微生物製品を必要としないため、伝統的に派生したワクチンと同じリスクを伴いません」

Tiba バイオテック社の共同設立者であるピーター・マッグラス氏は、オーストラリアの重要な畜産産業と食料安全保障を守るために、政府、産業界、研究者たちと協力して取り組んでいることを喜んでいると語りました。

「当社の次世代 RNA 技術は、人間と動物の両方の健康ニーズに対応するワクチンを安全かつ効率的に提供することができ、既存の RNA 技術よりも実用的な保管要件を実証しています」とマッグラス 氏は述べました。

食肉および家畜オーストラリアのマネージング・ディレクターであるジェイソン・ストロング氏は、mRNA ワクチンは畜産部門にさらなる利益をもたらすと述べました。

このパイロット プログラムは、ニューサウスウェールズ州政府が外来動物の病気に備えて予防するための 6,500 万ドルの投資の一部であり、今年だけでバイオセキュリティ・コントロールへの総投資額は 2億 2,900万ドルになりました。







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