英インディペンデントの報道より
日本も含めて、今、世界中で「はしか(麻疹)」の大流行が続いていますが、その中でも、インド洋の島国であるマダガスカルでは、非常に激しい流行が起きていまして、昨年 9月以来、子どもを中心に 1000人近くの死者が出ていることが報じられています。
マダガスカルは、以下の場所で、アフリカ大陸の東のインド洋上に位置しています。
こう見ると、小さな国のようですが、面積は日本よりも広く、小国という規模ではありません。
日本とマダガスカルの比較
・Google Map
今回ご紹介するインディペンデントの報道によれば、マダガスカルでは、子どもの栄養失調率が 47パーセントに達しているのだそうで、そのあたりも含めて、感染症の流行での脆弱な部分があるのかもしれません。
2017年には、マダガスカルでペストが大流行したことも以下の記事で取りあげさせていただいたことがありました。
マダガスカルでペストが過去最大級の流行。これまでに1200名が感染し、120名以上が死亡。周辺9カ国にもWHOから「ペスト警報」が発令される
しかし、今のはしかは、この時のペスト以上の死者を出すことになってしまっています。
冒頭のインディペンデントの記事をご紹介させていただきます。
Measles outbreak kills almost 1,000 children in Madagascar despite emergency vaccination scheme
Independent 2019/02/15
ワクチンによる緊急予防接種計画がおこなわれたにも関わらず、はしかが、マダガスカルでおよそ1000人の子供を殺している
アフリカで子どもの栄養失調率が最も高いインド洋の島国マダガスカルで、はしかの感染による健康リスクが高まっている
世界保健機関(WHO)は 2月21日、大規模な緊急予防接種プログラムが実施されたにもかかわらず、2018年10月以来、マダガスカルで少なくとも 922人の子どもと青少年がはしかにより死亡したと声明を発表した。
WHOの予防接種拡大プログラムの責任者であるカトリーナ・クレッシンガー博士(Dr. Katrina Kretsinger)は、この死者数は公式な数字に基づいて計算されているが、現在のマダガスカルの感染総数が不確定であることと同様に、死者の統計数も不完全なものである可能性があると述べた。
はしかは非常に伝染性の高いウイルス性疾患で、失明や脳症などの合併症を引き起こし、他の疾患に対する感受性を高めることがある。
インド洋のマダガスカルは、アフリカで最も貧しい国のひとつであり、2017年の時点で、はしかの予防接種を受けていたのは、全体の 58パーセントだけだった。
その後の緊急対応計画により、これまでのところマダガスカルの 2600万人のうち 220万人に予防接種が行われたとクレッシンガー博士は述べた。
「私たちの予防接種計画は、はしかの大規模な流行を食い止めるために役立つはずです」と博士は言う。
マダガスカルは、子どもの栄養失調率がアフリカで最も高く、47%にのぼる。
この栄養失調率の高さは、子どもたちが、はしかに感染した場合に、深刻な合併症による死亡のリスクを高める可能性があると WHO は述べる。
今後、WHOの予防接種プログラムの計画の下、マダガスカルでは今年後半から定期的な二度のワクチン接種プログラムを標準化する予定だ。
ここまでです。
なお、現在のはしかの大流行は「世界的な規模」となっていて、世界の患者数が、50パーセント増加していることが報じられています。
その報道も掲載しておきます。
はしかとの闘い「後退」 WHOが警告、世界の患者数50%増
AFPBB 2019/02/15
国連の世界保健機関(WHO)は14日、2018年の世界の麻疹(はしか)患者数が前年比約50%増だったとして、はしかの流行を阻止するための取り組みが「後退している」と警鐘を鳴らした。
WHOは、はしかの再流行という憂慮すべき傾向が、世界規模で起きていることを示す予備データを提示した。予防接種率が過去最高水準に達している富裕国でも、この傾向が認められている。
WHOの予防接種・ワクチン・生物学的製剤部門を統括するキャサリン・オブライエン氏は記者団に「WHOのデータは、はしか患者数の大幅な増加を示している。この傾向はあらゆる地域でみられている」と語った。
オブライエン氏は「現在起きている流行は長期化しており、かなり大規模で、さらに拡大している」とし、「これは個々に孤立した問題ではない」と述べた。
これまでに寄せられたデータの段階で、前年約17万人だった患者数は約22万9000人に増加している。WHOの暫定統計によると、2018年のはしかによる世界の死者数は約13万6000人に上るという。