ツメノドリ(Puffin)
2016年10月中旬 プリビロフ諸島で発見されたツメノドリたちの死体
「私はこのような光景を一度も見たことがありません。私たちは今、未知の領域にいます。そして、私たちは特別な時代の真っ只中にいると思わざるを得ません」 — ネイト・マンツゥア(アメリカ海洋大気庁の生態学者)
Sponsored Link
カムチャツカ半島などの北太平洋の海域に生息しているツメノドリという海鳥がいます。このツメノドリは、人間の表情にあてはめれば「ちょっと困ったような」特徴的な顔つきもあり、イラストなどに使われることも多いです。
ツメノドリ
・animals.nationalgeographic.com
このツメノドリが、北太平洋のベーリング海で「何百羽も死亡している」のが最近発見されました。
10月中に何らかの理由で大量死を起こしたもののようですが、原因は今のことろわかっていません。
ツメノドリの死体が次々と発見されているのは、ベーリング海にあるプリビロフ諸島というところで、下の位置にあります。
ベーリング海とプリビロフ諸島の位置
・Google Map
原因は今のところはっきりはしていませんが、昨年以来の「海水温の異常」が関係していると見られ、具体的には、ベーリング海に異常に暖かい海流が入り込んだことによって、この海域の生態系が崩壊しつつある可能性があります。
このベーリング海を含むアラスカなどでは、エコウォッチの記事によれば、今年、サーモンやカニの漁獲高が激減していることが伝えられていて、北太平洋全体の海の生態系に異変が起きていると考えられます。
このアラスカでは、昨年から今年初めまで、おびただしい海鳥の大量死が発生していたことを、
・アラスカで「空前の規模の海鳥ウミガラスの大量死」が起きていることが発覚
2016/01/14
という記事でお伝えしたことがありました。
・USA Today
その前年には、アメリカ西部の海岸で、やはりおびただしい海鳥の大量死が起きています。
・陸地では数千万羽のニワトリが死に、海では「デッドゾーン」の中であらゆる海洋生物が死に続けるアメリカで
In Deep 2015/05/20
これらの「海の大きな異変」については、今回のようなことを含めまして、改めて記事にしたいと思っていますが、海の生態系の異変は進行し続けているのかもしれないと今回のことで感じます。
私たちの生活を含めて、いろいろな方面に大きな影響が出てくるのもそう遠くはないのかもしれません。
冒頭のアメリカ海洋大気庁(NOAA)の生態学ネイト・マンツゥア(Nate Mantua)氏の「私たちは特別な時代の真っ只中にいる」という言葉が示すように、今、私たちは本当に大きな変化の中にいるのかもしれません。