オーストリア・ウィーンのワクチン接種センター。 nytimes.com
ヨーロッパの複数の国や地域では、10月後半以来、激しい感染拡大が起きていますが、そのような国のひとつであるオーストリアでは、
「ワクチン未接種者の、ほぼすべての施設への入場を禁止する」
という措置を発効するとオーストリア首相が発表したことが報じられています。
11月5日に発表されたこの措置は、「月曜日から適用される」とのことですので、本日 11月8日から実施されていると見られます。
ワクチン未接種者が入場できない場所は、カフェ、バー、レストランから、劇場、スキー場、ホテルなどを含むすべての公共施設などのあらゆる範囲となっています。
しかし政府は、オーストリアに約 600床ある集中治療室が逼迫した場合、さらに未接種者に対して厳しい措置を実施すると述べています。それは「食糧の購入以外のすべての外出を禁止する」ものとなると見られています。
オーストリアの感染数は以下のように推移しており、昨年11月の過去最大の感染数を超えるまで、あと数日程度だと見られます。
このオーストリアは、 In Deep の記事でも取り上げましたが、チェコ、ハンガリー、スロバキアなどと共に、現在、アルファ変異株の亜系統である「 B.1.1.7 」という変異株の流行に見舞われており、その４カ国は共に同じような感染数急増の渦中にあります。
チェコ、ハンガリー、スロバキア、オーストリアの過去半年の感染数の推移
ourworldindata.org
これに関しての記事は以下にあります。
ヨーロッパを過去最悪の感染状況に陥れている「アルファ変異株」と「デルタ変異株」のどちらが覇者になるかはわからなくとも、どちらにもワクチン中和抗体は効かない。つまり「これからが本番」
投稿日：2021年11月7日
この記事では、ドイツの研究論文を取り上げましたが、このアルファ変異株には、現在のワクチン抗体はほぼ効きません。
つまり、ワクチン未接種者の行動を制限したところで何の意味もないことなのですが、この波が収まるまで未接種者の外出制限を続ける可能性もあります。
現在のヨーロッパでは、過去最悪のペースで感染が急拡大している国や地域が増えており、他の国がオーストリアの例を見てどうしていくのかというところです。
なお、オーストリア政府は、「 5歳から 11歳までのコロナワクチン接種」も承認したことを米ニューヨークタイムズが伝えています。
欧州連合は、まだ 12歳未満の子どもへのコロナワクチン接種を承認していませんので、オーストリア政府独自の判断によるものと見られます。小さな子どもたちへの接種も進行していくようです。
オーストリア政府の新しい制限措置について報じていた記事をご紹介します。
オーストリア政府がワクチン未接種者の公共の場への入場を禁止
Austria to BAN unvaccinated from long list of public spaces
RT 2021/11/05
オーストリア政府は、Covid-19の症例が予想外に急増したことを受け、まもなく、バー、カフェ、ホテルなど多くの公共の場所にワクチン未接種者が入ることを禁じることになる、と国の首相は述べた。
入国禁止は 11月8日に発効し、カフェ、バー、レストラン、劇場、スキーロッジ、ホテル、美容院、そして 25人以上が参加するあらゆるイベントに適用されると、シャレンバーグ首相は記者団に語った。この動きはオーストリアの人口の広い範囲に影響を与える可能性がある。
オーストリアのワクチン接種率は 64%であり、人口の約 36％はいまだにワクチンを接種していない。
シャレンバーグ首相は、新しい外出制限を発表した際に、「感染数の増加ぶりは、並外れており、オーストリアの集中治療室の占有率は予想よりも大幅に速く増加している」と述べた。
11月5日の新たな感染確認数は 9,388件に達し、昨年記録されたオーストリアのこれまでの 1日の感染数の記録である 9,586件に近づいている。政府は、感染数は今後数週間で最高値に達すると予測していると述べた。
政府は、オーストリアに 600床ある集中治療室ベッドがこれ以上 Covid患者で満たされ、事実上機能しなくなった場合、ワクチン未接種者に対する「さらに厳しい制限を課す」と述べている。ロイター通信によると、11月4日の時点で、オーストリアの集中治療室の使用数は 352床だが、1日あたり 10床を超える割合で増加している。
ドイツも現在、オーストリアと同じ概念を検討している。ドイツのいくつかの州が段階的な封鎖とワクチン要件を実施するにつれ、メルケル首相は今週初めに、ドイツ全土でワクチン未接種者に対しての「厳しい制限」を要求した。