COVID-19 ウォーゲームの後の会見。中央が、ベネット首相。 jpost.com
今年夏に、デルタ株による過去最大の感染流行が発生したイスラエルですが、現在は、その感染状況は落ち着いています。
しかし、イスラエル政府は、コロナが終息したとはまったく考えていないようで、次のコロナ変異株の出現に対しての「演習」を行ったことがイスラエル各メディアで伝えられています。
その変異株はまだどこでも検出されていない株を想定しており、イスラエル首相は、
「オメガ株」
と名づけています。
興味深いのは、この演習は、保健当局によるタイプの演習ではなく、「軍事演習」と位置づけていたところでした。机上でシミュレーションを行うウォーゲーム様式の演習です。
イスラエルのエルサレムポストの報道をご紹介します。
イスラエルはCOVID-19「ウォーゲーム」を無事に完了した
これは、ベネット首相によって「オメガ演習」と呼ばれた架空の新しい COVID-19 変異株への準備を目的としたものだった。
Israel successfully completes COVID-19 ‘war game’
jpost.com 2021/11/11
11月11日、ナフタリ・ベネット首相が「 COVID-19 ウォーゲーム」と呼んだ演習に数十人の高官が参加し、パンデミックの次の波に対する国の準備を評価した。
首相は演習の冒頭で、「ここでは前例のない事象が開始されている」と述べた。
「私たちは、まだ存在すらしていない新しい変異種に備えるために、軍事演習を行っている。これはイスラエル国内の規模だけではなく、世界レベルでも前例のないものだ」
首相官邸によると、ベネット氏が言うところの「オメガ演習」は「ウォーゲーム (地図の上で行なう机上演習」の形式で行われた。
首相が定期的に「オメガ株」と呼ぶこの株は、まだ発見されていない次の有害な COVID-19 変異体だ。
首相は、イスラエルがロックダウンせずにデルタ波から浮上したことにふれ、「適切な管理があれば、パンデミックを打ち負かすことができる」ことを証明した。
イスラエルでは、わずか2か月前に、1日あたり平均数千件の新たな症例が発生したが、現在は、1日あたり約 500件の新たな症例しかない。国は大規模なブースターショットキャンペーンを実施し、学校を閉鎖せず、経済の開放を維持しながら 400万人以上のイスラエル人にワクチンを接種した。
前政権下では、イスラエルは 3回ロックダウンを実施していた。
ベネット氏は、パンデミックがまだ終わっていないことを認め、ヨーロッパのいくつかのような国々での記録的な数の毎日の症例の現実を指摘した。
「最も脅威的なのは現在の状況ではなく、私たちがまだ知らない部分だ」と首相は述べた。「デルタ株が突然激しく拡大したのと同じように、他の、より致命的でより伝染性の高いワクチンに耐性を持つ変異体が到着する可能性がある」
演習はそのようなシナリオに備えるための積極的な試みであることを意図していると述べた。
この演習は、イスラエルのすべての省庁が次の波に備える準備ができていること、病院が極端な状況下でも管理できること、そして国の科学者たちが世界で出現したすべての変異種を厳密に追跡していることを確認することを目的としている。
エルサレム国立管理センターで行われた演習には、さまざまな省庁やセクターの上級職員やチームの代表者が演習に参加した。
ここまでです。
なお、他のイスラエルの報道によりますと、イスラエルでは 5歳から 11歳の子どもたちへのワクチン接種を開始したと報じられていて、また、12歳から 15歳へのブースターショットが検討されていることも報じられています。
上の記事で、イスラエル首相は、自ら、
> ワクチンに耐性を持つ変異体が到着する可能性がある
と述べているにもかかわらず、現行ワクチンのブースターショットをさらに進めるというあたりに大変な矛盾がありますが、より感染性の高い変異株が出現する「理由」が大規模なブースターショットにある可能性を知っているのかもしれません。
これはブースターショットを進めている国ではどこでも同じだと思われます。
本当のパンデミックが世界に近づいてきているようです。