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インドという国が消滅する可能性。大統領が「植民地時代に英国から与えられた国名」から古代サンスクリット語の「バーラト」に変更する意志を表明

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消滅する可能性のある「インド」という国名

アフリカの多くの国で、フランスなど旧支配国に対しての反逆が相次いでいますが、そのような国とはまた異なる「本物の大国」であるインドで興味深い動きが出ています。

2023年9月9日から、インドのニューデリーで(中国の主席が出席しない) G20が開催されます。参加国宛てに、インドのモディ大統領から「夕食会への招待状」が届いたのですが、そこには「インド大統領」という文字はなく

「バーラト大統領 (The President of Bharat)」

と記されていたのです。

以下が、その招待状です。日本にも届いているのではないでしょうか。

G20出席者に送られた招待状

インド大統領ではなく、「バーラト(Bharat)大統領」とあります。 aljazeera.com

この「バーラト」というのは、古代サンスクリット語で、インドという国名と平行して知られている国名なのだそうです。

インドという国名は、あくまで英名であり、「インドという国名は植民地時代の用語」だとする考え方がずっとあるようです。

 

そもそも今のインドは、英国など西側諸国の影響は「不要」となっており、昨年の時点で、インドの GDP は英国を抜き、米国、中国、日本、ドイツに次ぐ世界五位の経済大国です。

(記事)インドが英国を抜き、世界第5位の経済大国に
 地球の記録2022年9月5日

重要なこととして、 GDP 上位の米国、中国、日本、ドイツや、あるいは主要国のほとんどが「大規模な人口減少」に見舞われている中、「インドは人口が増え続けている」という現実があります。

以下は、正確なデータがあるデリーの 2023年までの人口の推移です。

1950年から2023年までのデリーの人口の推移(2030年は推定)

Population of Delhi metropolitan area in India from 1950 to 2023

この「著しい人口減少中の国家」と「人口増加中の国家」の差は、たとえば、10年単位などでは大変に大きなものとなると思います。

そして、米国、中国、日本、ドイツ、インド、という大国の順位も時間の経過と共にまた変化していくはずです。激しい人口減少の中で成長していった国家は、少なくとも過去にはありません。

 

今年インドは、「ドル決済とは別のルピーによる国際決済システム」を導入し、そこに 18カ国が参加しています。

(記事)ドル支配の終わりへ: 世界18カ国の銀行が「インドルピーでの決済」専用のアカウントシステムに参加
地球の記録 2023年3月20日

もはや現在のインドは、植民地時代のあらゆる「遺物」を国から葬り去ったとしても何の不自由もないはずです。

いずれにしても、西側と東側の関係性と優位性が大きく変化していく中にあることを感じさせる今回の「バーラト」騒動でした。

アルジャジーラの報道をご紹介します。





インドのモディ政権、G20夕食会招待で自らの国名を「バーラト」に置き換える

India’s Modi gov’t replaces country’s name with Bharat in G20 dinner invite
aljazeera.com 2023/09/05

ナレンドラ・モディ首相率いる政府は、今週開催される 20カ国・地域(G20)首脳会議出席者に送る夕食会の招待状の中で、インドという国名をサンスクリット語に置き換えたことで、国名が正式に変更されるのではないかとの憶測が広がっている。

9月5日に G20出席者に送られた招待状では、「インド大統領」ではなく、「バーラト大統領」と表記されている。

インドは 9月9日と 10日にニューデリーで年次 G20首脳会議を主催する。ジョー・バイデン米国大統領やフランスのエマニュエル・マクロン大統領を含む多くの世界の指導者たちが出席する。

人口 14億人を超えるインドは、正式にはインドとバーラトという 2つの名前で知られているが、国内でも海外でも前者(インド)が最も一般的に使用されている。ヒンドゥスタンは国家を表す別の言葉で、文学やその他の大衆文化の形式でよく使用される。

バーラトは古代サンスクリット語であり、多くの歴史家は初期のヒンズー教の文書にまで遡ると考えている。

モディ首相率いる右派インド人民党(BJP)の関係者たちは国名変更を支持している。彼らは、インドという名前はイギリス植民地によって導入されたものであり、「奴隷制の象徴」であると主張する。

イギリスは、1947年にインドが独立するまで、約 200年間インドを統治した。

インド人民党は長い間、インドのムガール帝国と植民地時代の過去に関連する名前を抹消しようとしてきた。

この動きに対して、憲法上非宗教的なインドからヒンズー教民族国家を樹立することを目的とした国家主義的な政策を追求していると、政府は非難されてもいる。

政府は昨年、ニューデリー中心部にある儀式用の軍事パレードに使用される植民地時代の大通りの名前も変更した。モディ政権は、改名はインドのヒンズー教の過去を取り戻す取り組みであると述べている。

ウッタラーカンド州選出トップのプシュカル・シン・ダミ議員は、「奴隷制度の考え方に新たな打撃が加わった」と X(ツイッター)で述べた。インド人民党党首のダミ氏は、自身の投稿で G20夕食会への招待状を共有した。

しかし、インドの野党は、この政府の動きを批判している。

議員のシャシ・タルール氏は、インドは「歴史をしのばせる名前、世界中で認知されている名前(インドのこと)に対する主張を放棄するのではなく、両方の言葉を使い続けるべきだ」と述べた。

「国の 2つの正式名称のうちの 1つであるインドを『バーラト』と呼ぶことに憲法上の異議はないが、政府が長年にわたって築き上げてきた計り知れないブランド価値を持つ『インド』という名称を完全に廃止するような愚かなことはしないことを望む」と彼は X に投稿した。

「インド」対「バーラト」をめぐる論争は、7月に野党が 2024年の国政選挙でモディ氏の失脚と同党の打倒を目的とした新たな同盟(インド国民開発包括同盟)を発表して以来、本格化している。

それ以来、モディ党の一部の当局者は、この国をインドではなくバーラトと呼ぶよう要求している。

インドの多くのメディアは 9月5日、関係者の話として、政府が今月の特別議会でその趣旨の決議を提出する可能性があると報じた。







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