NOAA による異常な予測
太陽というのは、約 11年の周期で、強い太陽活動の時期(太陽黒点が多い時期)と、弱い太陽活動の時期(太陽黒点が少ない時期)を繰り返しています。
以下は、1970年からの黒点数の推移ですが、このように、活動が大きくなって、また小さくなるという周期を持っています。
1970年から2020年までの太陽黒点数(黒点相対数)の推移
kyokuchi.or.jp
上の図に第24期とあるサイクル24と呼ばれる太陽活動周期は 2019年に終了し、2020年から、サイクル25と呼ばれる太陽活動周期に入っています。
(参考記事)新しい太陽活動周期「サイクル25」が始まったとNASAとNOAAが公式に発表
In Deep 2020年9月16日
そして、今の太陽は、その「極大期」といわれる最も太陽活動が大きな時期に向かっています。以下のように、極大期に至る以前に、すでにその前のサイクル24の極大期の黒点数を超えており、サイクル25の太陽活動は比較的活発です。
NASA や NOAA (アメリカ海洋大気庁)などの予測ですと、2025年頃に今サイクルの極大期が来ると予測されていますが、これは実際には後から(そのサイクルが終わってから)わかることですので、現時点では正確な予測はできませんが、通常の 11周期の通りに進めば、2024年から 2026年のあたりが黒点の最大期となると思われます。
さて、最近、NOAA の宇宙天気予報センターにある、
「長期の太陽黒点数の予測」
というページを見ました。
まず、現時点を含む 2023年は以下のようになっています。
2023年の黒点数の予測
noaa.gov
平均数が、100から 120くらいで、黒点数の最小時でも 90から 120くらいの間の比較的高い数値となっていて、現在の太陽活動の活発ぶりを伺わせます。
ところがですね。
NOAA などによれば、「 2025年前後に極大期が来る」と予測されていまして、つまり、その頃は「今より太陽黒点数が多くなる」と予測されるのが普通だと思われるのですが、2025年の黒点数の予測は以下のようになっています。
2025年の黒点数の予測
noaa.gov
特に増加しない予測が示されていますが、まあ、このくらいの範囲なら理解できます。
現在のサイクル25が、2020年から始まったということは、その 10年後の 2030年頃にかけて終了していくと見られ、2031年頃から、サイクル26が始まります。
この「 2030年頃からの NOAA の予測が異常」なのです。
先に書きますと、
「 2030年頃から黒点が出ない状態が 10年くらい続く」
という予測となっているのです。
まず、サイクル26が始まるあたりだと思われる 2031年は以下です。
2031年の黒点数の予測
noaa.gov
かなり少なくなっていますが、太陽活動の始まりはおおむねこのようなものですので、これはいいとして、サイクル26の極大期にあたる頃だと推測される 2036年あたりは以下のようになっているのです。繰り返しますが、時期的には「太陽活動の極大期」あたりに相当する時期です。
2036年の黒点数の予測
noaa.gov
「太陽活動の最初の頃より下がってるじゃないかよ」
と思いながら見ていきますと、ついに、2040年頃の予測は、
「ゼロ」
となっているのです。
2040年の黒点数の予測
noaa.gov
「なんだこりゃ……」と呟かざるを得ない感じですが、この予測だと、「 2032年頃から、太陽にはほとんど黒点が出ない」ということになってしまいます。
いくら何でもこれはおかしいと思うのは、そんな先の予測は的確にはできないとはいえ、「過去のデータからの予測」であるならば、こんな異常な数値は出てこないはずだからです。
なぜこんな予測が示されているのかはよくわからないですが、とにかく異常な数値を見ましたので、ご報告させていただきました。