どこまでも緑に染まる中国山東省煙台市の7月の海岸
中国の海岸線は、ここ数年、夏になると「大量の青藻」に覆われることが多いですが、今年も夏の到来と共に、中国の「藻」の季節がやってきました。
しかも、現在の海水の高温化が関係しているのか、例年よりはるかに多い量の藻が、特に山東省の海岸などを埋め尽くしているのです。
緑の海と煙台市のビル群
この「どこまでも緑が広がる」という表現は何だか美しいですが、実際は、これだけの藻が大発生していると、海中の酸素が不足し、基本的には「死の海域」となっていることが予想されます。
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青藻は、海洋生物にとっての死の海域を示しているというだけではなく、人間にも有害な面を持ちます。
以前、
・「大量死が著しく増加している原因」も「アルツハイマー病が著しく増加している原因」も、どちらも同じ理由が絡んでいるかもしれない — それは「世界中で増大する藻=シアノバクテリア」
2016/02/21
などの記事で書いたことがありますが、青藻の持つ毒素(BMAA)は、人間に対して有害であることが次第にわかってきていて、特に、「アルツハイマー病」を引き起こす要因のひとつである可能性が濃厚となっています。
なので、「海の藻が増え続ける」ということは、人間社会への問題も抱えてしまうということを意味します。
しかし、中国の人たちは、それが有毒なものであろうが気にしていないようで、新華社の報道などによれば、何と、
「藻を日焼けよけに使ったり、藻の場所で遊んでいる」
のだそうです。
日焼け防止のために青藻を体にまとう中国人女性
青藻の中で遊ぶ親子
見方によっては、終末的な光景ともいえますし、あるいは「中国人は強い」ということを示しているのかもしれないですが、やはり、少し「おいおい……」と呟いてしまう部分はあります。
当局も定期的に藻をショベルカーなどで撤去しているようなのですが、発生する藻の量が多くて、海岸から藻が完全になくなることはしばらくなさそうです。
なお、この山東省というのは下の位置にあります。
山東省の場所
・山東省
朝鮮半島とも近いですし、九州などの西日本ともそれほど遠いという海域ではないことから、韓国近海や日本近海などでの漁業などへの影響はないのかなとも思います。
藻の大発生は、魚類の大量死と結びつきやすいのです。
しかし、もうここまで来たら、「緑の海」を楽しむしかないというところなのですかね。
この「緑の海を眺める」というのも、見ようによっては、新しい時代の新しい光景と言えるのかもしれません。