初めてとなる全土での演習
ロシアが、
「西側からの核攻撃の可能性に備えて、全国規模の核攻撃演習を実施する」
ことが文書から明らかになったことが報じられています。
実施日は 10月3日とのことで、やや唐突感はあります。
今回の演習は、報道によれば、
> ロシアに戒厳令が導入され、総動員が行われたというシナリオが想定される。
とのことです。ロシアで全国規模の核攻撃演習が行われるのは実はこれが初めてのことで、ロシアは国土が広いですので、このような演習をするとしても、常に「地域的」に行ってきました。
ちなみに、ロシアでは、例えば、首都のモスクワには「市民全員分の核シェルターが完備されている」のですけれど、そういうものも使われるのかもしれません。
以下は、7年前の記事ですが、ロシア政府が「モスクワ市民全員を避難させられる地下シェルターが完成した」記事を取り上げています。
(記事)ロシア非常事態省が「モスクワのすべての市民を地下シェルターに避難させる用意ができた」と発表
In Deep 2016年9月30日
2016年9月のロシアRTの報道
RT
その後、こういうシェルター的施設がさらにロシアに全国的に拡大して設営されたかもしれません。
ロシアのこの演習について報じていた英国メトロの記事をご紹介いたします。
プーチン大統領、西側からの核攻撃を想定した初の全国規模の演習を実施へ
Putin to stage first nationwide exercise simulating nuclear attack from the West
metro.co.uk 2023/09/29
ロシアは、核戦争の可能性に備えて、初の全国規模の核攻撃演習を11のタイムゾーンで実施する。
10月3日に開催される予定で、ウラジーミル・プーチン政権が西側諸国を核侵略者として提示することになる。
この1日核攻撃演習は、ロシアではこれまで地域ごとにのみ実施されてきたものだ。今回は、ロシアの住宅と生命維持施設が、最大70%破壊された想定に備えることが含まれている。
ロシアに戒厳令が導入され、総動員が行われたというシナリオが想定される。
実験のシナリオには、「ロシア連邦の一部の構成地域で、緊急事態または他の種類の物理的衝撃の結果、生命維持施設と住宅の最大 70%が完全に破壊される可能性がある」と書かれている。
それは、「二次災害」を引き起こす可能性のある「水力構造物、化学的および放射線の危険性のある施設での事故」を想定している。
公務員や地方自治体職員は「職員以外の緊急救助チーム」を組織し、食糧や医薬品の確保、放射能防護からの防護を命じられる。
この文書はさらに、「武力紛争が核保有国を含む地方戦争や地域戦争にエスカレートするリスクが増大している」と警告している。
「住民の安全に対する脅威は、敵が現代の長距離攻撃手段を使用する可能性や、無人航空機や水上バイクを使用した攻撃の可能性によってもたらされる」
プーチン政権は「民間防衛軍の即応性を高めることを目的とした措置と、危険地帯からの一般避難を含む、ロシア連邦領土内の人口、物資、文化財を保護するための措置を講じる手段を開発する決定を下した」と記されている。
プーチン大統領は、核ハルマゲドンに備えて宮殿内にいくつかのバンカーを設置しているほか、「終末」Il-80マックスドーム航空機の艦隊を保有していることが知られている。
この演習は、プーチン大統領が 71歳の誕生日を祝う 4日前に開催される。プーチン氏はウクライナとの戦争のさなか、国家予算の 40%を軍隊、警察、諜報機関に費やしている。
この演習の詳細は、プーチン大統領の取り巻きであるクルチャトフ研究所所長のミハイル・コヴァルチュク氏がソ連崩壊以来初めて北極での核兵器実験の再開を要求している中で明らかになった。
同氏は、ソ連が 1961年に容量 50メガトンを超える史上最強のツァーリ・ボンバを実験したときと同様の衝撃を西側諸国の指導者たちに呼び掛けた。
ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣は先月、試験が間もなく再開される可能性を示唆してノバヤゼムリャ(ロシアの北極諸島)を訪問した。
これは、プーチン大統領に核兵器使用の用意を要求した支持派議員で陸軍司令官のアンドレイ・グルリョフ中将が提起したものだ。
「我々の戦略能力は核の三つ組だ」と彼は言った。
「これは、特にアメリカ合衆国の大陸向けに設計されたものだ」
「そして彼らは、その後にはアメリカ合衆国が存在しないことをよく知っている。我々は 100%アメリカに容認できない敗北を与える。彼らはそれを知っている」