フランス南西部のルフレッシュ。雹嵐により作物が全滅したトウモロコシ畑。 RTE
日本でも、6月の初旬に、関東から東北などにかけて各地で雹が降り、農業被害が出ていることが報じられていましたが、フランスでは、同じような時期に、ほぼフランスの全土で最近の数十年ではなかったような悪天候に見舞われ、農作物に非常に大きな被害が出ていることが報じられています。
天候状況については以下のように報じられていました。
フランス - 65県で激しい嵐が大混乱を引き起こした
France – One Dead as Fierce Storms Wreak Havoc Across 65 Departments
floodlist.com 2022/06/056月3日から、激しい雷雨、大雨、雹がフランス全土で大混乱を引き起こした。1人がルーアンの洪水で亡くなった。
フランス内務省は 6月4日、全国の 65の県が悪天候の影響を受けたと報告した。電力インフラの損傷により、多くの家が停電した。内務大臣は、ルーアンの洪水で1人が死亡したと述べた。全国で15人が負傷し、そのうち2人が重傷を負った。
フランス気象局は、20年以上ぶりに、国内の 65県にオレンジレベルの警報を発行した。他の多くの地域もイエローレベルの警告を受けていた。
フランス気象局は、6月5日、わずか 12時間で 1か月分の雨が降ったと報告した。
気象局はまた、6月5日までの 24時間で約 50,000回の落雷を報告し、いくつかの地域で、時速 100kmを超える突風を記録した。アリエ県の一部では、5cmから 8cmの雹が報告された。
ここまでです。
数十年に一度の悪天候というようなものだったらしいですが、農業被害がかなり深刻になっているようです。
フランスは、農作に関しては、干ばつは深刻であったとはいえ、それでも、フランスの小麦やトウモロコシの収穫量については、アメリカなどに比べると比較的明るいものだったことが先日まで報じられていました。
今回の豪雨で、干ばつそのものは緩和される可能性があるのかもしれないですが、しかし、農業被害が少し大きすぎる可能性があります。
今回の豪雨と雹嵐は、地域によっては、
「農作物が 100%ダメージを受けた」
と報じられています。
小麦やトウモロコシの大輸出国であったロシアとウクライナからの穀物の流入が激減した後、やはり小麦の大生産国であるインドも、熱波による収穫量の低下が見込まれる中で小麦と砂糖の輸出を禁止し、現在、世界中のバイヤーたちが、穀物の輸入先を探しています。
世界第4位の小麦生産国であるフランスを含む EU は輸入代替先の大きなひとつだったと思いますが、今回の被害を含めて、やや雲行きがあやしくなっています。
それについての報道をご紹介します。
フランスとイタリアの農業生産者たちは嵐と干ばつの被害を集計している
French and Italian farmers count cost of storms and drought
RTE 2022/06/06
フランス全国農作者連合(FNSEA)は 6月6日、フランス全土の農場が激しい雹と激しい嵐に見舞われたと述べ、イタリアの農場では、干ばつが作物の収穫量に与える影響について警告した。
FNSEA は声明のなかで、雹、強風、集中豪雨により、フランスの 65近くの県で被害が発生し、小麦だけでなく、果物やブドウ園にも影響が及んだと述べている。
「被害は非常に大きく、一部の農場では作物の 100%が影響を受けた」と声明は述べている。
世界第 4位の小麦輸出国であるフランスでは、小麦の収穫が近づいている。
また、イタリア北部の、ピエモンテ、ヴァッレダオスタ、トレンティーノアルトアディジェなどの地域も嵐に見舞われたが、しかし、現在のイタリアの主な懸念事項は干ばつであり、国の大部分でさらに 1週間の高温が予測されている。
イタリアの農業分析専門家のコルディ・レッティ氏によると、イタリアは 2022年にこれまでのところ通常の半分の降雨量しか受けていない。
コルディ・レッティ氏は声明のなかで、「最も影響を受けた作物は、1万ヘクタールの米と、小麦からトウモロコシまでのその他すべての穀物で、今季の収穫量の減少が予測されている」と述べた。
西ヨーロッパの小麦作物への被害は、ロシアのウクライナ侵攻によりすでに緊張している世界的な供給に圧力を加える可能性があり、両国が主要な小麦生産国であるため、価格を押し上げている。
フランスでは、果物作物とブドウ園も嵐の深刻な被害を受け、農業大臣のマーク・フェスノー氏は 6月6日、ジロンドとゲルス地域のワイン生産者を訪問した。