現在、世界で最も急速にサル痘症例が増加しているのは英国で、6月7日午前の時点で、302例の確定症例が報告されています。これ自体は大した数には見えないですが、「この 24時間だけで 77例増加している」ということもあり、急拡大の雰囲気もないではないです。
なお、このサル痘というのは、診断の確定までに時間がかかるもののようで、PCR のように瞬時に(偽陽性を含めて)診断が確定するというタイプのものではなく、
「診断確定に 48時間から 72時間かかる」
ものであることが報じられています。
比較的最近のイギリスの報道では、英国健康安全保障局(UKHSA)の発表によるサル痘症例の、地域、性別、年齢が示されていました。
その報道をご紹介したいと思いますが、おおむね以下のようになっています。
・症例の約 99%は男性 ( 5月31日までの症例 190人のうち女性は 2人のみ)
・症例の 60%ほどが同性/両性愛者 ( 190人中 111人)
・年齢層はほとんどが 20歳から 49歳
何だかよくわからないままに性感染症的な雰囲気がさらに強くはなっていますが、ただ、「4割ほどは同性愛者ではない」ということのほうが重要なのかもしれません。
また、英国健康安全保障局は、感染経路として、物理的接触によるものと共に、
「空気感染」
も挙げていまして、一応は多彩な感染経路を持つようです。
オリジナルのサル痘は、基本的にエアロゾル感染をするものです。以下の記事で、かつての論文をご紹介しています。
[記事] サル痘ウイルスは「感染力を保持したままエアロゾル化して浮遊する」ことを示す過去の論文。そして今後の問題となるのは、またもウイルスそのものではなく「ワクチン」かも
In Deep 2022年5月25日
以下はその論文からの抜粋です。
> ウイルス濃度は 18時間か ら90時間の間安定しており、サル痘ウイルスがエアロゾルの感染力を 90時間以上保持する可能性を示唆している。 (ncbi.nlm.nih.gov)
これから拡大するのか、このまま収束していくのかはまったくわからないですが、今のところ死者は「ゼロ」で、短時間での致死率は非常に低く見えますし、あまり気にするようなものではないのかもしれません。別の懸念はないではないですが、今はわからないですので、それはいいです。
感染はいまだにほぼ欧米での拡大となっていて、アジアでの症例は今のところゼロです。
英スカイニュースの記事をご紹介します。英国の症例が 196件と記されていますが、5月31日までのものですので、 1週間で 100件以上増えたことになります。
サル痘:感染症例の半分以上が男性のゲイコミュニティであることを英国健康安全保障局のデータは示した
Monkeypox: More than half of infections in the male gay community, new UKHSA data shows
sky news 2022/06/01
英国で確認されたサル痘の症例の半分以上は、ゲイ、バイセクシュアル、または男性と性行為をする男性で発生したことを新しいデータが示している。
5月6日から 31日に英国健康安全保障局(UKHSA)によって特定された 190件の確認されたサル痘症例のうち、183件がイングランド、 4件がスコットランド、 2件が北アイルランド、 1件がウェールズでのものだった。
調査結果によると、イングランドの症例の 86%はロンドンの居住者であり、女性は 2人だけだった。
ほとんどのサル痘の症例は、20〜49歳の人々に発生している。
190例のうち 111例は、同性愛者、両性愛者、または男性と性行為をする男性であることが知られている人たちだった。
英国健康安全保障局によると、これまでの調査では、ゲイバー、サウナ、および英国内外での出会い系アプリの使用へのリンクが特定されているという。
ロンドンの公衆衛生担当地域ディレクターであるケビン・フェントン教授は、次のように述べている。
「特にゲイやバイセクシュアルの男性でサル痘の症状がある場合は、英保健当局、または地元の性的健康クリニックに連絡して、すぐにアドバイスを求めるようにしてください」
最新の英国健康安全保障局の発表では、英国の症例は 196件に増えた。