最期の食糧危機 異常な現象 異常気象

アメリカでほぼ唯一の「春小麦とヒマワリ」のメジャー生産地であるノースダコタ州とサウスダコタ州が洪水と春の吹雪で、今なお植え付けに入ることができず

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アメリカの中央北部にあるノースダコタ州とサウスダコタ州が、もう4月ですのに、吹雪や冬の嵐、そして「極端な洪水」に見舞われていることが報じられています。

ノースダコタ州とサウスダコタ州は以下の場所で、両州合わせて「ダコタス (The Dakotas)」と呼ばれます。

アメリカ全体から見れば、特別大きな面積であるわけでもないノースダコタ州とサウスダコタ州が洪水や春の雪に見舞われていることの何が問題なのかといいますと、これらの州は、

「アメリカ最大の穀物産地のひとつ」

だからです。

広大なアメリカですが、それぞれの作物が栽培されている地域というのは、作物によっては限定されていまして、以下のアメリカ農務省の干ばつと農作物に関しての資料を参照してみます。

U.S. Drought Moniter (米国干ばつ監視情報)

 

先ほどの地図で、ノースダコタ州とサウスダコタ州の位置をご記憶いただいてご覧いただきたいと思います。色分けは以下のようになっていまして、「緑の地域」がそれぞれの作物のメジャーな生産地となります。

 

まず、ロシアとウクライナの戦争以来、世界的に懸念が出ている「小麦」です。今は、春小麦の植え付けシーズンが始まろうとしている時ですが、アメリカの春小麦のメジャーな生産地(緑のエリア)は、以下のように、

「ほぼノースダコタ州のみ」

となっています。

アメリカの春小麦の生産地と全土の干ばつ状況

USDA

あるいは、やはり現在、世界中、特にヨーロッパで供給が逼迫している「ヒマワリ油」の原料となるヒマワリの生産地は以下となります。

アメリカのヒマワリの生産地と全土の干ばつ状況

USDA

 

あと、パスタやマカロニなどに使われる「デュラム小麦」というのも、アメリカのメジャー生産地は、ほぼノースダコタ州となっています。

他にも、ノースダコタ州とサウスダコタ州は、トウモロコシや大豆などの主要な産地でもありますが、トウモロコシと大豆は、他の多くの州でも栽培されていますので、ほぼ、この2つの州「のみ」がメジャーな産地のように見える「小麦」「ヒマワリ」のアメリカの今年の栽培に問題が起きる可能性があるという話です。

アメリカでは、現在の厳しい干ばつが、今後も拡大するという見通しが立てられていて、ただでさえ、食糧生産の状況はあまりいいとは言えないのです。特に長く持続するラニーニャ現象が問題を大きくしているようです。以下の記事で、専門機関の見通しなどを記しています。

[記事] ラニーニャ現象が終わらない : アメリカをはじめ世界の穀倉地帯の干ばつと異常気象がさらに厳しく継続する可能性。その先には「もはや食糧は存在しない」世界が
 In Deep 2022年4月5日

 

それに加えて……その後どうなったのかはわからないのですが、

「アメリカでは肥料が運搬されていない」

という大きな問題があります。以下の記事で取り上げています。

[記事] アメリカ最大の貨物鉄道会社の「輸送量の削減義務」政策により、世界最大の肥料企業が「農家に春作物の肥料をまったく出荷できていない」状態であることが判明
 地球の記録 2022年4月18日

 

この肥料の問題が解決したのかどうかわからないですが、「解決した」という報道は見ていません。

このような問題がアメリカの食糧生産の場で起きている中で、春小麦やヒマワリなどの一大生産地であるノースダコタ州とサウスダコタ州が、今、洪水と春の降雪で、植え付け開始が遅れています。

まだ、少しの期間、猶予はあるようですが、かなり余談を許さないものとなるかもしれません。これについて書いていた米ゼロヘッジの記事をご紹介します。




 


洪水が植栽を遅らせ、ダコタに農業危機が訪れている。これは米国に食糧不足を引き起こす可能性がある

Farm Crisis Hits Dakotas As Floods Delay Plantings, May Trigger US Food Shortage
zerohedge.com 2022/04/27

過去数週間で、アメリカ北部平野部の農業生産者たちは、吹雪、冬の嵐、強風、そして極端な洪水に襲われた。

これらの気象現象により、生産者たちはメジャーな生産作物地域での作付けを遅らせている。植え付けが遅れるごとに収穫量は減少する。このことは、世界の食糧サプライチェーンが崩壊している今の不安定な時期に発生した。

民間の天気予報企業の BAMWX は、アメリカ北部平原から中西部、オハイオ渓谷にかけての植栽の遅れについて警告した。

一部の生産地では、平均以上の降雨があり、平均気温が平年よりはるかに低いため、少なくとも5月まで植栽することができない可能性があると述べている。

天気図は、過去1ヵ月のダコタスでの平均以上の降水量を示している。

 

過去30日間のアメリカの降雨量の平年との推移

 

また、この 1ヵ月は、北部平原から中西部、オハイオ渓谷までの多くは、平年よりかなり低い気温となった。

BAMWX の主任気象学者カーク・ヒンツ氏は、今後 2週間を見据えた気象モデルは、平均以下の気温が続き、より雨の多い状態が続くことを示している。

これらの気象リスクによって、植え付けの遅れが 5月前半まで続く可能性がある。

これまでのところ、この春はアメリカの生産者たちにとって混乱と不確実性に満ちている。燃料が高騰したり、洪水で畑が水没したり、あるいは洪水に見舞われた土壌が作物にとって悪い成長環境を作ったりするため、多くの人が畑で働くことができていない。

また、現在の寒い気候は植物の栄養素の摂取を妨げ、成長サイクルの非常に早い段階で苗木に損傷を与える可能性があり、早枯れを引き起こす可能性がある。

シカゴ商品取引所のトレーダーであり、リスクアドバイザーであるトミー・グリサフィ氏は、ノースダコタ州を始めとしたこの周辺地域では、低い気温が続いていることや、4月になお雪が降っていることなどから、多くの地域で植栽が遅れているという。

ノースダコタ州で植栽が遅れる重要な理由の1つは、洪水だ。 トミー・グリサフィ氏は、クライアントの生産者たちのいくつかの畑が水没している様子を次々知らされている。

また、グリサフィ氏は、「肥料の不足」の問題も、作付けの遅れに影響するとして、以下のように述べている。

「政府が戦略的な肥料備蓄を持っていれば状況は違っていました」

アメリカのメディアは、食糧危機の可能性について報じないが、専門家たちの多くが食糧危機を警告している。







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