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世界で100を超える天文台と天体観測所が「パンデミックの影響により運用を完全に停止」していた。現在、宇宙観測がほぼできない状態に

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・運用を停止されていない数少ない観測所であるパンスターズ天文台。astronomy.com




 

新型コロナウイルスの影響は、社会のさまざまなジャンルに広がっていますが、実は、天体観測や小惑星検出のほうにも深刻な問題を生じさせています。

4月10日の天体学の専門誌「アストロノミー」によれば、この数週間の間に、世界中で、「各地域の最大の天体観測所」が次々と運用が停止に追い込まれているということが明らかになりました。

多くが再開の目処が立っていないようで、つまり、宇宙時代が始まって以来、はじめて、

「宇宙観測がまったくできない状態に」

なっているのです。

現在、運営しているのは、地球に接近する天体や小惑星を監視するためのハワイと米アリゾナ州の天体観測所ですが、これらの地球近傍天体観測所も、今後のウイルス流行状況によっては、運用が停止される可能性もあるとしています。

移動の制限などにより、機器の保守が難しくなっていることもあり、パンデミックが長引くと、観測そのものができなくなることもでてきそうです。

何より、現在、各国の経済に大きな亀裂が生じていることが明らかになっている中で、天体観測や宇宙開発に、これまでのように国家や企業が予算を計上できるのかどうかという問題もあります。

新型コロナウイルスの感染拡大と社会への影響は、小惑星検出を含む「宇宙観測の停止」という問題に発展していく可能性が出ています。

天文専門誌アストロノーの記事をご紹介します。

 


地球最大級の天体望遠鏡を持つ天文台の数々が閉鎖されているが、危険な小惑星の捜索をする観測所の運行は続いている

Earth's best telescopes have closed, but the hunt for dangerous asteroids continues
Astronomy 2020/04/10

新型コロナウイルスの感染拡大の中、最近の数週間で 100を超える天文所が閉鎖された。地球近傍小惑星の検出活動は運行が続けられているが、その状況は厳しく、いつまで小惑星の観察を続けることができるかは不明だ。

新型コロナウイルス COVID-19 の危機が地球のあちこちで続いており、多くの人が、パンデミックの推移を気にかけている。

この流行の中で、天体学上の大きな問題が起きている。過去数週間で 100を超える地球最大級の天体研究用の観測望遠鏡施設の数々が運用を停止せざるを得なくなっているのだ。

天体観測の中には、地球に接近して被害を与える可能性のある小惑星の観測も含まれている。しかし、この小惑星の観測については継続して運行されており、今のところ心配する必要はない。

NASA は、ほとんどの主要な小惑星の探査活動に資金を提供している。宇宙機関は議会の使命を持ち、直径 460フィート(140メートル)を超える地球近傍天体(NEO)の約 90%を見つける必要がある。

その取り組みの主力施設は、ハワイにある二機のパンスターズ望遠鏡、およびアリゾナ州の三機のカタリナスカイサーベイ(CSS)望遠鏡となっているが、これらの観測所は、すべて運行が継続されている。

パンスターズは、ハワイのマウイ島ハレアカラ山の頂上にある望遠鏡で、アリゾナ州のカタリナスカイサーベイ望遠鏡と同様に、詳細な検出望遠鏡であり、毎日、小惑星の検出をおこなっている。これらの観測所は、時に、一晩で数十の新しい小惑星を見つける。

通常、世界中の観測所のデータと照らし合わせて、小惑星の探査のデータが集められるが、現在、世界中のほとんどの望遠鏡が運用を停止しているため、天体の発見に関する詳細を確認して収集するために残されている機器が少なくなっている。

そのため、パンスターズとカタリナスカイサーベイは、どちらも独自の調査作業に取り組むことを余儀なくされており、ここ数週間、新しい小惑星の発見をする能力が低下している。

もう 1つの長期的な問題は、社会的距離の制限により保守作業が停止したことだ

それと共に、仮に、これらの運営している天文台のスタッフが新型コロナウイルスのに感染した場合は、その天文台は閉鎖されることが決定している。そのため、天文台の完全な停止を避けるために、パンスターズでは、2人以上のメンバーが建物に同時に入らないという措置を取っている。

しかし、機器とスタッフを保護するための運用停止は、いつでもあり得ると、パンスターズのスタッフは述べる。

小惑星の地球への衝突は歴史上で何度も起きているが、いつの日か、地球への衝突が再び起きることは間違いない。だからこそ、パンデミックの時であっても、天体の監視の継続は重要だ。







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