この 4月になってから、急激に感染確認数が増加している国や地域が多くなっていますが、まあ、日本も地域的にそうですけれど、そのようなレベルとは異なる激しい増加を見せているのが南米です。
南米の大国であるブラジルやチリ、ペルーなどは、ここにきて感染確認数と死者数が過去最大を更新するか、それに迫るものとなっています。
ペルーでは、4月1日に、パンデミックが始まって以来最大の感染確認数が記録されています。
これは、1月に WHO が PCR検査のガイドラインを変更した後のものですので(以前より多少は実際の数と近くなっている)、実際には昨年とは比較にならないほどの急増を示していると考えられます。
他の南米の国々も 3月から非常に鋭角的な増加の曲線を描いています。
以下は、チリとペルー、アルゼンチンの3カ国の人口100万人あたりの感染確認数の推移となります。
南米チリ、ペルー、アルゼンチンの感染確認数の推移
Daily new confirmed COVID-19 cases per million people
また、人口 340万人と小さな国ではありますが、南米のウルグアイは、昨年のパンデミックの際には、ほとんど感染確認者は出ていませんでした。ところが、12月頃から感染確認者が少しずつ出始め、3月後半からいきなり指数関数的といえる増加を示しています。
ウルグアイの過去1年間の感染確認数の推移
Daily new confirmed COVID-19 cases per million people
たった 1ヶ月で、4倍などの数字となっています。
南米の各国ではコロナによる死者も増加していますが、その理由は、感染者が増えたことによるものだと見られ、言われることもある「変異種は重症率が高い」というようなことはデータでは示されていません。
以下は、過去半年間の先ほどの南米4カ国の「致死率」の推移です。いずれの国も、むしろ緩やかに致死率は下がっています。
チリ、ペルー、アルゼンチン、ウルグアイの致死率の推移
Case fatality rate of the ongoing COVID-19 pandemic
この感染者急増の原因はよくわかりません。もちろん変異種というようなことも関係しているのかもしれないですが、南米で流行している変異種がそれほど感染力が高いものなのかどうかは確認されているわけではないはずです。
なお、これらの南米の国でもコロナワクチン接種が進んでいまして、感染者数が急激に増加しているペルーでは、2月からワクチン接種が始まっています。
ただ、南米では他の国もそうですが、「さまざまな国のコロナワクチン」を使用しており、データによれば、ペルーでは、3種類のワクチンが接種されています。
ペルー政府から注文を受けたコロナワクチン
・中国シノファーム社のワクチン 3800万回分
・米国ファイザー社のワクチン 2000万回分
・英国アストラゼネカ社のワクチン 1400万回分
ペルーでは、異なる国や企業のコロナワクチンが、それぞれ大量に接種されていることになりそうです。
今後どのようになるのかわからないですが、他の地域でも、4月から感染確認数が増加している国が増えており、また混沌とした状況が出現してくる可能性もあります。