パンデミックが始まって以来のこの1年間ほどは、人が多数集まる店舗、施設などのほぼすべてで「店頭に消毒剤が置いてある」ことが普通になりました。
スーパーなどでは、消毒剤で手を洗った後、スーパーのカゴの隅々までをも消毒剤をつけた布で拭き取っている人さえ見ることがあります。
それらの光景を見て、ずっと思っていたことは、
「物の表面からウイルス感染するなら、カゴを拭いても、他の何かをさわれば同じことになるが」
ということでしたが、いずれにしても、こんな過剰な消毒の生活習慣がこんなに長く続いているということには、もはや異常な部分を感じていました。
まあ、物の表面から感染することもあるだろうけれど、そんな確率がわかっているわけではないし、思っていたのですが、最近その「確率」がわかりました。
アメリカ CDC の公式なリリースにあります。
CDC ウェブサイトの以下にあります。
SARS-CoV-2 and Surface (Fomite) Transmission for Indoor Community Environments (CDC 2021/04/05)
屋内コミュニティ環境向けのSARS-CoV-2および表面(フォマイト)感染
ここには以下のようにあります。
2021年4月5日の CDC の文書より
環境伝送の効率に影響を与える多くの要因のため、SARS-CoVの-2 の媒介物を通した感染伝達の相対リスクは、直接接触、液滴送信(飛沫感染)、あるいは空気感染と比較して低いと考えられている。
しかし、SARS-CoV-2 感染が、どの程度、表面感染によってもたらされるかは明らかではない。
潜在的媒介物の伝送に起因する(物の表面から感染したと考えられる)COVID-19 事例はいくつか報告されているが、多くの場合、感染は複数の感染経路に起因する可能性がある。
無症状の人からの呼吸の送信を除外することはできないので、媒介物の送信は、部分的に明確に証明することは困難である。
定量的微生物リスク評価(QMRA)研究は、SARS-CoV-2 フォマイト感染(物の表面から感染すること)の相対リスクを理解および特徴付け、リスクを低減するための予防措置の必要性と有効性を評価するために実施された。
これらの研究の結果は、フォマイト感染経路を介した SARS-CoV-2 感染のリスクは低く、一般に 10,000分の1未満であることを示唆した。
つまり、汚染された表面との各接触での感染は、10,000分の1 未満の確率で発生する。 (CDC)
このように、
> SARS-CoV-2 感染のリスクは低く、一般に 10,000分の1未 満であることを示唆した
と CDC は説明しています。
1万分の1 以下とありますけれど、「以下」の数値は無限ですので、この数値以上にさらに低い可能性があります。
現在、さまざまな店舗や飲食店で、店員さんやスタッフたちが一生懸命に、壁だのテーブルだの、いろいろなところを頻繁に消毒している光景を見かけますが、
「あの意味は基本的にない」
ことになります。物の表面からの感染の可能性は、その人が健康であれば、基本的には「ゼロ」だと考えて構わないかと思われます。
学校や公共施設などでも「半強制的」に手の消毒を求められますが、何の意味もないことを強制しているという意味では、法的に問題さえありそうです。
今はさすがにあまり聞かなくなりましたが、一時は「消毒剤の空中噴霧」などもおこなわれていたわけで、それも無意味ということになりそうです。無意味だけではなく、「健康に大変に悪い」ことについては、以下の記事などをご参照いたたければと思います。
世界中で拡大する大規模な消毒剤の空中散布や、日常的な手の過剰殺菌により、いよいよ人類の健康状況は終末の局面に至ると予測される
In Deep 2020年4月19日
過剰な消毒と殺菌が「人間の肺を破壊するメカニズム」がわかった
In Deep 2020年5月25日
人類絶滅への道 : コロナウイルスとイナゴに対しての「殺菌と消毒の嵐」が吹き荒れる中、地球の微生物と昆虫類が「大絶滅」に向かう可能性。そしてその次は…
In Deep 2020年3月29日
過剰な消毒で破壊された人体、特に肺などの内臓は基本的に元に戻りません。
消毒剤で空間が満たされた社会が招く少し先の未来は、そのような影響の後遺症が拡大する世となっていくはずです。
あらゆる面において、取り返しのつかない社会の状態がもう1年続いています。