オレンジに続いて桃も
今年のアメリカは、「果物」の収獲の問題が多く起きているようで、オレンジなどの柑橘類の大生産地であるフロリダ州では、昨年のハリケーンと、感染症の蔓延で収獲に大きなダメージを受けました。
[記事] 米国の柑橘類の収穫量が感染症の蔓延で戦後最低に。オレンジジュースの先物価格は史上最高値に近づく
地球の記録 2022年12月8日
感染症は、カンキツグリーニング病というもので、感染した後、最終的には枯死する病気です。
もうひとつのオレンジの大生産国であるブラジルでも、この感染症が拡大しており、昨年末から急速に世界でのオレンジの流通が厳しくなり始めました。
その後の半年間も国際オレンジ価格は上昇を続け、オレンジジュースの先物価格は、5月末に「過去最高」を記録しています。
5月26日までの46年間のオレンジジュース先物価格の推移
tradingeconomics.com
日本も影響を受けており、たとえば最近、原材料不足を受けて、トロピカーナのオレンジジュースが販売休止となりました。
オレンジの価格や流通が回復する目処は立っていません。
そして、今度は、ジョージア州で「桃がほぼ全滅した」ことが報じられていました。
ジョージア州は、アメリカ最大の桃の生産地なのだそうです。
これもまた、「気温の問題」なのですが、複雑な話で、
「成長過程で気温が低くあるべき時に気温が高く、高くあるべき時に気温が低かった」
ことで、最大 95%の桃の収穫が失われたのだそうです。温暖期と寒冷期が「通常とは真逆に訪れた」ということのようです。
そして思うのは、こんなに気温の状況が平年とは異なっていては、他にもさまざまな作物が影響を受けているだろうなということでした。
記事をご紹介します。
ジョージア州の桃が、悪天候と温暖化で収穫量が激減
Georgia peach crop decimated by bad weather, warming climate
WABE 2023/05/30
夏が近づいているが、ジョージア州では夏の作物といえば桃だ。
しかし、ジョージア大学の園芸専門家は、同州の作物のおよそ 90%が悪天候と気候温暖化によって破壊されたと述べている。
ジョージア州フォートバレーにあるピアソン農場のロートン・ピアソン氏によると、これほど状況が悪化したのは 1955年が最後だという。
「1955年には、まだ私は生まれていなかったですので、その状況は実際には見ていません。私の父もまだ 6歳の時でした。私の祖父の時代です」
桃が結実するには、最低でも 7℃未満の冷たい気温が続く期間が必要だ。
しかし、今年の 1月から 3月のジョージア州は、観測史上最も気温が高かったため、桃の結実が妨げられた。
ジョージア州では、ここ数年で寒くなる日数が減少している。
生産者たちは、冷たい気温がもっと少なくとも結実する新しい品種を実験しており、それらの品種の中には、今年の暖かい気温に適合したものもあった。
ところが、開花のまさにそのとき、今度は、不運な「極寒の天候」が突然ジョージア州を襲ったのだ。
「開花した後、氷点下 2℃以下の夜が 4晩続きました。このような気温に勝てることはありません」
桃を専門とするジョージア大学の園芸准教授ダリオ・チャベス氏は、同州全域で桃の収穫量の 85~ 95%が失われたと語る。
ピアソン氏は以下のように言う。
「スーパーで桃を見かけても、それはジョージア州産の桃ではありません。今年、ジョージア産の桃をスーパーで見かけることはないと思います」
ピアソン氏は、夏季の桃園スタッフを、通常の 250人から 40人に減らす予定だ。
氏は、桃のない木を見るのは苦痛だと言う。
しかし、ピアソン氏は、桃の季節が終わる 8月に向けて準備ができており、来年に目を向けることができていると語った。