最期の食糧危機 疾病と感染症

米国の柑橘類の収穫量が感染症の蔓延で戦後最低に。オレンジジュースの先物価格は史上最高値に近づく

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カンキツグリーニング病に感染したマンダリンオレンジ。 wikipedia.org




 

身近なドリンクも次第に高嶺の花に

オレンジ、などといっても、そんなに食糧問題と関係しないような感じもないではないのですが、しかし、食糧先物取引には「オレンジジュース先物」という古い歴史を持つ取引がちゃんとあり、重要な食品価格指標となっています。

そのオレンジですが、アメリカあるいは南米で、「カンキツグリーニング病」という感染症が広がっているようで、アメリカで最もオレンジの収穫の多いフロリダ州で壊滅的な被害状況となっていることが伝えられています。

カンキツグリーニング病は、柑橘類に致命的な被害を与える病害。感染するとまず葉に黄色い斑が生じ、枝とともに変形していく。

果実は成熟しても小さく、表面に緑色の斑が残り、苦い。

進行すると徐々に衰弱して枝の先端から枯れていき、最終的には枯死する。2008年現在では、感染した樹木を伐採除去する以外の有効な対抗策がなく、世界各地の柑橘類生産に深刻な影響を及ぼしている。カンキツグリーニング病

 

フロリダ州の柑橘類の収穫は、1943年以来最低の収穫量となる見込みということで、約 80年ぶりの状態となっているようです。

それに伴い、オレンジジュースの先物取引価格が、過去最高値に近づいています。

オレンジジュースの国際先物価格 (1977年 - 現在)

tradingeconomics.com

日本は、ジュースのオレンジの輸入先はアメリカが多いと思われますので、こういうものにも値上げの影響は出てくるのかもしれません。資料を見ますと、日本のオレンジは、約 6割が米国からのもので、4割がオーストラリアからのもののようです。

このオーストラリアがまた、天候が非常に良くない状態で、現在、南半球は季節として夏ですが、「夏が来ない」状況が続いているようです。

 

[記事] 夏が来ないオーストラリア。日本でいう7月に入り、まだ雪が降っているという異常
 地球の記録 2022年12月2日

 

その後も、たとえば同じ南半球のニュージーランドも夏に入ったのですが、先日のニュージーランド気象庁のツイートでは、

「氷点下に達した場所がある」

と伝えていまして、夏は来ていないようです。

ニュージーランド気象庁の12月3日のツイートより

metservice.com

オレンジジュースがなくなったとしても、それが生活に直接影響するということではないのかもしれないですが、さまざまな食糧に(原因はそれぞれ異なるながらも)供給不安が拡大しているようです。

オレンジの状況についてのアメリカの記事をご紹介します。




 


オレンジジュースの先物価格は、世界的なタイトな供給状況の中で上昇し続けている

Orange Juice Futures Limit Up On Global Supply Squeeze
zerohedge.com 2022/12/08

オレンジジュースの先物価格は、12月9日に発表予定のアメリカ農務省の作物レポートに先立って、記録的な高さに上昇した。

農務省の次の報告書では、フロリダの 2022年から23年のオレンジ収穫量の見積もりが提供される。

予想される数字は、フロリダが今シーズンに 2800万箱のオレンジしか生産しないことを示した 10月の悲観的なレポートに追加され、前年から 32%減少となる。今季のフロリダのオレンジ収穫量は 1943年以来の最低収穫となる見通しだ。

熱帯低気圧イアンによるフロリダ州の柑橘類の果樹園の荒廃と、何年にもわたる柑橘類のカンキツグリーニング病が相まって、同州の柑橘類産業は打撃を受けており、回復の見通しが立たないまま下落が続くと予想されている。

ソフトコモディティ社のコンサルタント、ジュディ・ゲインズ氏はブルームバーグにこのように述べた。

「熱帯低気圧イアンがより多くの被害を出していたとしても、この不作が、気象現象によるものか病気によるものかを区別するのは難しいかもしれなく、今回の(アメリカ農務省の)下方修正より低くなるかもしれなません」

レポートに先立ち、ICE 取引所のオレンジジュース先価格物は 4.8% (上限) 上昇し、1ポンドあたり 2.185ドルになり、過去最高の 2.20ドルに近づいている。

この価格は、2020年初頭の 1 ポンドあたり 94セントという安値から 128%上昇している。

もう 1つのオレンジのトップ生産国であるブラジルでは、非常に供給が逼迫しており、カンキツグリーニング病が、ブラジルでも柑橘類の栽培地域全体に広がっている。

ゲインズ氏はこう語った。

「ブラジル(の今季のオレンジ生産量)も疑問符のままであり、カンキツグリーニング病感染が拡大し続ければ、より大きな問題になる可能性があると思われます」

オレンジジュースの供給がタイトになると、スーパーマーケットでの価格が上昇することになり、もともと手頃な価格であるオレンジジュースに問題が発生する可能性がある。

一部の消費者たちはビタミンC栄養価の高いこのジュースを諦めざるを得なくなるかもしれない。







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