・北朝鮮との国境沿いの町である韓国のパジョ市。8月6日。 kyeongin.com
日本列島は雨が多い梅雨でした。私の住む関東も、7月はもうずっと雨ばかりで、記憶だけの話では、こんなに雨ばかりの 7月は思い出せないくらいです。
しかし、この傾向は、アジアのかなり多くの地域で同じようなことになっていまして、中国の洪水については何度か取り上げましたし、インドやパキスタンなどの南アジアでも、短期間雨量が観測史上で最大クラスとなりつつある場所が多いようです。
そんな中、お隣の朝鮮半島も同じで、実は今年の韓国は「記録的な長雨となった 7月から 8月」となっていました。
普通は日本の梅雨のように雨が降り続くわけではない韓国ですが、この 7月から 8月は記録的なことになっていまして、ボイス・オブ・アメリカの 8月4日の報道によれば、
少なくとも、今年の韓国では、
「 8月3日までの 42日間ずっと雨が降り続けていた」
そうなのです。
その後も、台風や低気圧の影響を受ける日が多くなっていたと思いますので、おそらくは、韓国は、45日間以上「雨が降り続けていた」という経験したことのない季節を迎えていたようです。
8月6日 水没した韓国ソウルの漢江公園
・heraldcorp.com
報道では、8月7日までに以下のような被害となっているようです。
韓国豪雨1週間で被災者2500人 死者17人・不明10人
韓国政府の中央災害安全対策本部は7日、首都圏と中部で1日から降り続いた豪雨により、7日午前6時までに計17人の死亡が確認され、10人が行方不明になっていると発表した。被災者は6市・道の1447世帯、2500人に上る。 (Yonhap News 2020/08/07)
韓国政府は、8月7日、韓国の 7つの市と郡を、大雨による「特別災害地域」と指定しました。
特別災害地域に指定されたうちのひとつである京畿道安城市の農場
・joongboo.com
洪水で壊滅した忠清南道礼山郡のスイカ畑
・newstnt.com
農作物の被害なども甚大なようで、この「農作物の被害」も、中国、あるいは日本も含めて、アジアの広範囲に拡大しているようです。
そして、この数日、北朝鮮にも悪天候が繰り返しおとずれているようで、特に 8月7日頃からは、北朝鮮は台風の影響を受けるとされていて、ただでさえ、脆弱だと見られている北朝鮮の食糧生産体制に懸念が出ています。
北朝鮮は当局は、8月5日に、国営テレビ放送を通じて、北朝鮮の洪水の惨状を報道していますが、普通あまりそういう映像を外部には広げないだけに、危機感の大きさがわかります。以下は、8月5日の北朝鮮の朝鮮中央放送で流れた北朝鮮の江原道の様子です。
8月5日の朝鮮中央放送より
・edaily.co.kr
普通の平野部の都市でこのようになっているということは、場所によっては、さらに厳しい状況になっている可能性があります。
また、韓国の報道によると、北朝鮮は、この数日の大雨と洪水に対して、
「特急警報」
と呼ばれる最大警報を出したことが伝えられています。
東アジアでは、台風シーズンが本格化するのはこれからですので、雨のダメージはまだ続いていく可能性があります。
そして、たとえば、日本ではその被害が年々ひどくなっているように、今年も、あまり楽観することはできないのかもしれません。