数日前に、世界の各地で、過去に見られないような鳥インフルエンザの激しい流行が起きていることを以下の記事で取りあげました。
世界的単位で見れば「意味がない鳥インフルエンザでの殺処分」。しかし、世界の鳥インフルエンザでの殺処分数はすでに数百万羽規模に
2020年12月9日
この記事を書きました 12月9日までの時点で、世界で数百万羽の鳥が殺処分されていたのですれど、その翌日の 12月1日に、農林水産省は、「鳥インフルエンザの発生が前例のない広がりとなっている」と警告を出しています。
そして、その 12月10日時点の日本での鳥の殺処分数は 250万羽と発表され、2010年の鳥インフルエンザ・シーズンに記録された 183万羽の殺処分数を越え、日本における殺処分数として過去最大となったことが報告されました。
この 12月の初旬というのは、通常では鳥インフルエンザの流行時期の「初期」にあたるわけで、今後どれだけ鳥インフルエンザの流行が拡大していくのかわからない面があります。
また、気温が今後下がっていくため、むしろこれから感染が拡大していく可能性も高そうです。
ちなみに、人間のほうのインフルエンザはまったく流行しておらず、現時点でのインフルエンザの感者数は何と「前年の 0.2%」だそう。
インフル患者、昨年比0.2% コロナと同時流行、兆候なく―「ウイルス干渉」か?
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、同時流行が懸念されるインフルエンザの患者数が異例の低水準で推移している。例年なら流行入りの時期だが、11月の全国の報告数は139人で、昨年の0.2%ほどに激減。手洗いやマスク着用の効果に加え、コロナ感染により後から来たウイルスの感染が阻害される「ウイルス干渉」の可能性も指摘される。 (時事通信 2020/12/12)
このように人のインフルエンザは、これはこれで信じられないほど感染者が少ないのですが、鳥インフルエンザのほうは、まさに爆発的に感染が拡大しています。
この鳥インフルエンザの現況について報道からご紹介します。
過去最悪の鳥インフルエンザのシーズンとなる可能性がある中、250万羽の鳥が日本で殺処分された
2.5 million birds culled in potentially worst avian flu season
THE ASAHI SHIMBUN 2020/12/11
農林水産省は、日本における鳥インフルエンザの拡大が前例のないものとなる可能性があることについて全国的な警告を発した。それはすでに記録的な数の鶏の殺処分につながっている。
省当局者は、47都道府県すべてに、養鶏場において動物衛生対策をチェックし、報告書を提出するように指示した。すべての養鶏場は飼育小屋を徹底的に消毒するように求められている。
これまでに確認された鳥インフルエンザの症例のほとんどは、西日本で発生している。しかし、鳥インフルエンザウイルスは北海道の野鳥の糞便で早期に発見されており、専門家はすべての都道府県がこの病気の危険にさらされていると述べた。
「10月下旬に北海道の野鳥で最初のウイルスが検出されており、鳥インフルエンザはその時点ですでに日本の海岸に到着していた可能性があり、強度には多少の違いがあるかもしれませんが、どの地域でも感染のリスクがあります」と北海道大学獣医学部教授は述べた。
これまでのところ、12月10日時点で約 250万羽の鳥が殺処分されている。数には 205万羽の鶏と43万羽のブロイラーが含まれ、これは 2010年の鳥インフルエンザシーズンに殺処分された過去の記録である183万羽を上回っている。
農林水産省当局者は、日本国内では鶏とブロイラーがそれぞれ約 1億 4000万羽飼育されているため、殺処分が卵の供給や鶏肉の供給に影響を与えることはないと述べた。
日本の家畜伝染病予防法では、高病原性鳥インフルエンザの症例が疑われる飼育場ですべての家禽を処分することを求めている。政府は、殺処分された鳥は補助金で補償すると述べた。
専門家は、全国の養鶏場で鳥インフルエンザが確認されているということは、鳥インフルエンザウイルスが前例のない状況で自然環境に拡散したことを示していると述べている。
今シーズン最初の鳥インフルエンザウイルスの徴候は、10月24日に北海道紋別市で採集された野鳥の糞から検出された。
養鶏場での鳥インフルエンザの最初の報告は、11月5日に香川県三豊市からもたらされ、これが養鶏場での鳥インフルエンザの最初の報告だった。
その後、福岡県と兵庫県で鳥インフルエンザの確認が報告された。12月には、宮崎県、奈良県、広島県で鳥インフルエンザの症例が報告された。
12月10日には、和歌山県と大分県の農場で、高病原性鳥インフルエンザに鳥が感染していることが確認された。
これまでに、9県の 22の農場で感染した鳥が報告されている。過去最大の流行のシーズンだった 2010年には、9つの県の 24の農場が影響を受けたことが記録されている。
日本では、2003年に 79年ぶりに高病原性鳥インフルエンザが確認された。それ以来、鳥インフルエンザは 3、4年の周期で日本に到達している。鳥インフルエンザは通常、野鳥によって運ばれるため、他から離れた孤立した農場でも感染が発生する。