イスラエルは何だか大変で(日本も大変なのかもしれないですが)、世界最速最大規模のワクチン接種を進めてから数カ月で、ほぼその半年前の状況に戻ろうとしているほど感染拡大が深刻化しています。
しかも、重症化の大半がワクチン接種者で占められているという現実もあります。
そのこともあり、3回目の接種となる、いわゆるブースターショットを開始しており、イスラエルの報道(タイムオブイスラエル)によれば、8月8日までに約 40万人が3回目の接種を受けたようです。
ところが、3回目の接種の後にも、コロナの感染者が次々と出てきており、次第にブースターショットに対しての議論も出てきているようです。
まずは、イスラエルの報道です。
14人のイスラエル人が3回目の接種後に COVID-19 に感染した
14 Israelis who got 3rd shot later infected with COVID-19
timesofisrael.com 2021/08/08
イスラエル保健省のデータによると、14人のイスラエル人が 3回目の COVID-19 ワクチン接種を受けたにもかかわらず COVID-19 と診断された。報道によると、ブースターショットを受けた後に感染した 2人が入院した。
これらの 14人が、ウイルスに感染したのが、ブースター接種を受ける前なのか後なのかは明らかではない。また、このような散発的な事例は、医療関係者が、デルタ変異体と戦うための 3回目のワクチン投与の一般的な有効性について結論を出すのに十分ではない。
報道によると、14例中 11例は 60歳以上で、残りの 3例は 60歳未満の免疫不全患者だった。入院した 2人は 60歳以上だった。
先週始まったブースターショットで、これまでに約 420,000人のイスラエル人に 3回目のワクチン接種が投与された。
一方、ヘブライ語のメディアに掲載された情報によると、8月9日の閣議で、政府の大臣は、COVID-19 の症例が急増する中、来たるイスラエルの大きな祝日期間中に全国的なロックダウンの見通しをめぐって争ったとされる。
報告によると、論争を起こした教育大臣ウィファット・シャシャ-ビトン(Yifat Shasha-Biton )氏は、学校の生徒にワクチンを接種する計画を「犯罪」と呼び、また、閣議で、ロックダウンのオプションは「取り外されなければならない」と述べたとされる。
ウィファット・シャシャ-ビトン教育大臣
ウィファット大臣は、そのようなオプションはイスラエル経済の不安定化につながり、人々の生計に影響すると述べた。
また、「イスラエルの(以前の)ロックダウンがコロナウイルスの罹患率のチャートと関係したと見ることはできない」と述べた。
一方、イスラエル保健省は 8月8日の朝に新しい数字を発表し、深刻なコロナウイルスの症例が引き続き増加していることを示し、8月7日の新たな重症感染数が、8月5日の 257人から 348人に増加したと述べた。
保健省当局者は、イスラエルでの重病患者数が 600人から 700人に達した場合、ロックダウンが必要であると示している。
同省は、約 930万人のイスラエルの人口のうち、580万人以上が少なくとも 1回のワクチン接種を受け、540万人近くが 2回接種され、 42万人以上が 3回目の追加接種を受けたと述べた。
同時に、この日の閣議では、グリーンパスシステムの下での集会に対する制限を大幅に拡大することを承認した。
現在、イスラエルでは、集会に対する制限は、ホテル、レストラン、ジムにまで拡大されている。屋内外を問わず、あらゆる規模の集会は、ワクチン接種を受けた人、ウイルスから回復した人、または COVID 検査で陰性の人に限定されている。
ここまでです。
以下は、過去三ヶ月のイスラエルの、新たな感染確認数、新たな重症患者数(入院数)、ワクチン接種数の推移です。ワクチン接種がここに来て急激に上昇しているのは、ブースターショットの関係と見られます。
このデータ自体では、ワクチン接種をした人と、していない人の感染率や重症率はわからないのですが、ただ、イスラエル保健省が日々発表しているデータでは、全体の年齢層では、
「ワクチンを接種しているほうが重症化している」
ことが示されています。
以下は、そのサイトのヘブライ語の一部を日本語したものです。
濃い緑(●)が、二度の完全な接種を受けた人で、その人たちが最も高い重症化数を占めています。
以下の記事でも、エルサレムの病院長の話として、そのことを示している事例を取り上げています。
「コロナ重症患者の95%がワクチンを接種した人たちで占められている」 : エルサレムの病院長が報道で深刻なイスラエルの感染状況を述べる
投稿日:2021年8月8日
その上、今後もさらにブースターショット後に、感染あるいは重症例が続出していった場合、いろいろと目的や結果がわからないものになる可能性もありそうです。