史上最悪の「極渦」を報じるアメリカのニュース
ただでさえ、すでに非常に気温が低くなっている地域が多くなっている北米に、「極渦」と呼ばれる、北極からの旋風がやってきていることが報じられています。
極渦とは下のようなものです。
極渦(きょくうず、きょくか)とは、北極および南極の上空にできる、大規模な気流の渦のこと。
図で示しますと、以下のように北極から旋風がやって来ます。
・AccuWeather
これが現在、アメリカとカナダの一部にかかっているのですが、たとえば、USA トゥディは、見出しに「全米の 2億人が命を脅かされる寒さと対峙する」というように報じるほど、激しいものとなっているようです。
極渦の位置はおよそ下のようになっていまして、紫色の部分は、平年よりも異常なほど気温が低くなっています。
2019年1月25日時点の極渦の位置
上の地域での気温も、北米の気温としては大変なことになっていまして、1月27日には、以下のような気温分布となっていました。
2019年1月27日のアメリカ北東部とカナダ東部の最低気温
カナダでは、オンタリオ州とケベック州で、-40℃以下の気温となる場所が続出し、オンタリオ州にあるランズダウン空港では、気温が -47.5℃にまで下がりました。
ケベック州の気象ステーションでも -43℃を記録。
アメリカでも、今週は週の半ばにかけて、シカゴやデトロイトにおいて、気温が -30℃以下になると見られています。
ミネソタ州ミネアポリスの 1月28日の最低気温の予測は -34℃となっていて、極めて厳しい寒さとなるようです。
なお、冒頭にご紹介していますアメリカの報道のタイトルに「 2014年を思い出させる」というようにありますが、これは、2014年の暮れから 2015年にかけて、やはり北米を極渦が襲い続けた時のことを述べています。
このことは、当時の以下のような記事でもご紹介しています。
・北極からの大寒波の下のアメリカ : 全米で1億人以上が氷点下17度以下の気温を経験することに
地球の記録 2015年02月17日
この時も、アメリカの各地で、気温が氷点下 20℃近くまで下がりました。
2015年2月15日 気温が-20℃まで下がったボストンの朝
・Mashable
しかし、今年の極渦は、その 2014年から 2015年の時よりもさらに厳しい寒波をもたらすと予測されていまして、場所によっては、-50℃近くにまで気温が下がる場所も出てくるとされています。
北極から来る冷たい空気ではあるのですが、アメリカとカナダでは北極よりも気温が低くなる場所も出てくると思われまして、「ミニ氷河期そのもの」という光景が広がりそうです。
このような激しい極渦による寒波は、以前はほとんど見られなかったもので、地球の大気の循環が完全に変わったことを示しているのかもしれません。