ベトナムでの報道より
ベトナムのザライ省で「3つの太陽が目撃される」というようなタイトルで報道されていた現象が起きました。
その現象は下のようなもので、太陽の両方に「別の光」があるように見えますが、これはザライ省で多くの人々に目撃されました。
これは、大気光学的には「幻日」と呼ばれるものと同じ出現の仕方をしているのですが、しかし、どうも理解できない部分があります。
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下はその様子を撮影した動画です。
https://www.youtube.com/watch?v=4Oiunz7H1ww
光の現象に見入るザライ省の人々
先に書きました「幻日」というのはどのようなものかといいますと、辞書的には以下のような説明となります。
幻日(げんじつ) - tenki.jp
「幻日」とは、光が空中に浮かぶ小さな氷の結晶で屈折してできたもので、夕暮れ時のように太陽の高さが低くなる時間に見られます。
このような現象ですが、この幻日そのものは珍しいものではなく、「寒い地方の冬」ではよく見られる現象です。そういう場所では、激しく美しい幻日が出現することも多いです。
ロシアの北極圏で2015年11月に撮影された幻日
このように、幻日そのものは現象として説明されているものですが、先ほどの説明に、
> 空中に浮かぶ小さな氷の結晶で屈折して
とありますように、幻日が出現するには「氷の結晶」が必要なのです。
つまり、「大気中の水分が低い気温によって氷結する必要がある」のだと思われます。
さて、今回のベトナムのザライ省場所は下のようになります。
ベトナム・ザライ省の場所
・Google Map
亜熱帯のきわめて温暖な場所で、しかもすでに3月。
ベトナムにも、北部の山岳地帯では気温の下がる場所もあるでしょうが、ベトナム中部から南部の現在の気温は下のようになっています。
3月28日のベトナム中部から南部の気温
・tenki.jp
こういう「湿気が多く、気温が高い」場所に幻日が出ることがあるのかなあ、とは正直思います。
おそらく何か他の現象だと思われるのですが、ベトナムの報道でも幻日として報じられていて、「なぜ幻日の元となる氷の結晶が湿気が多く暖かいベトナムの大気の中に出現したのか」という謎についてはふれられていません。
2015年の12月に、インドネシアで「2つの太陽が並ぶ」という現象が目撃され、これをご紹介したことがありました。
2015年12月5日 インドネシア・タラカンにて
この際にも、その場所と、あるいは「光の並び方」から幻日とは考えにくいということを記したように記憶しています。
太陽をめぐる光の現象は、多くの場合「今まで観測された既成の現象に当てはめて理解する」というほうに向きですが、冷静に考えると、それらには当てはまらないかもしれない現象も多いです。
もちろん、当てはまるのかもしれないですが。