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米国の研究が「ビタミンDの摂取がテロメアの長さを維持し、老化を遅らせる」ことを示唆する。ただ、過去のさまざまな研究では弊害も

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ビタミンD摂取がテロメアの長さを維持する

米オーガスタ大学の研究者たちが、

「ビタミンDサプリメントの摂取がテロメアの長さを維持し、老化を遅らせる」

ということを示唆した論文を発表しました。

テロメアというのは 46本の染色体の末端にあるもので、細胞が複製されるたびに短くなります。テロメアがある短さになると、細胞はそれ以上は分裂できなくなり、死滅します。つまり、テロメアは細胞分裂の回数制限を決めていまして、そのようなことから、「テロメアの長さが寿命の長さと関係する」というように言われています。

テロメア

一般的には、年齢が進むにつれて、テロメアの長さは短くなり、つまりそれが「老化と寿命と関係する」ということになっていくとされています。

今回の研究は、ビタミンDサプリの摂取により、このテロメアの長さを維持できる、つまり老化を遅らせることができる可能性について示したものです。

それは事実だとして、また、ビタミンDにはさまざまな有用な点がありますけれど、ただ、過去のいくつかの研究を見ますと、

「無意味に大量にビタミンDサプリを摂取することへのリスク」

はあり得ます。

たとえば、以下の記事では、台湾の研究機関が、ビタミンDの継続的な補給は、「認知症を発症させる可能性を高め、また、知能を退化させる」という結果を発表したことをご紹介したものです。

「ビタミンDのサプリでの補給はアルツハイマー病の発症と進行を悪化させる」という最新の台湾の研究。動物実験では知能も退化
地球の記録 2022年9月7日

 

 

さらに、以下の記事では、「カルシウムとビタミンDの同時服用は脳卒中になるリスクを高める」研究をご紹介しています。

「栄養補助サプリメントは健康にまったく寄与しない」という衝撃的な医学研究が米国で発表される。それどころか、カルシウムとビタミンDの同時服用は「脳卒中になるリスクを高める」ことが判明
In Deep 2019年7月10日

 

もちろん、ビタミンDの摂取には、風邪やコロナの予防や重症化に非常に効果的であることなど、有用な点は多くあるのですが、まあ…健康的に特に悪い部分がないのに、むやみにサプリを摂ることはどうなのかなあとは思います。

・太陽光によくあたる

・食事から摂る

という基本的な部分でいいのではないかなと。

ちなみに、日本人は世界から見て、比較的長寿な国であるという事実があるとして、その日本人には「圧倒的にビタミンDが足りていない」という事実をご存じでしょうか。

以下は、東京慈恵会医科大学の調査をご紹介したものです。

「98%の日本人がビタミンD不足」という東京慈恵会医科大学のプレスリリース
BDW 2023年6月5日

ほとんどの日本人がビタミンD不足であるにも関わらず、これだけ長生きなのだとすれば、過度に気にして摂取するようなことでもないのかなとも思います。

とはいえ、今回知りました研究の内容自体は「ビタミンDとテロメアの長さが関係する」という点で興味深いものですので、ご紹介させていただきます。

ここからです。





ビタミンDサプリメントは本当に老化を遅らせることができることを研究は示しているのだろうか

Can Vitamin D Supplements Really Slow Aging, As A Recent Study Suggests?
studyfinds.org 2025/09/01


最近の研究では、ビタミンDサプリメントは、健康にこれまで考えられていた以上に有益である可能性があることが示唆されている。

ビタミンDサプリメントは老化を遅らせる染色体のキャップを保護するのに役立つ可能性があり、太陽のビタミンが私たちをより長く健康に保ってくれるかもしれないという期待が高まっていると最近の研究が示唆している。

研究者たちは、毎日 2,000 IU(国際単位、ビタミンの標準測定単位)のビタミンDを摂取すると、テロメアを維持するのに役立つことを発見した。テロメアとは、細胞が分裂するたびに DNA を損傷から守る、靴ひもについたプラスチックのキャップのような役割を果たす小さな構造だ。

テロメアは 46本の染色体の末端にあり、細胞が複製されるたびに短くなる。テロメアが短くなりすぎると、細胞は分裂できなくなり、最終的には死滅する。

科学者たちは、テロメアの短縮が、がん、心臓病、変形性関節症など、私たちが最も恐れる老化関連疾患のいくつかと関連していると考えている。喫煙、慢性的なストレス、うつ病はすべてテロメアの短縮を加速させると考えられており、体内の炎症プロセスもテロメア短縮に悪影響を及ぼす。

 

ビタミンDは骨を強くするだけではない

ビタミンDは骨の健康に不可欠で、カルシウムの吸収を助けることはよく知られている。特に、子ども、10代の若者、肌の色が濃い人、日光にあまり当たらない人は、強い骨を作り、維持するために十分な量のビタミンDを摂取する必要がある。

ビタミンDは免疫システムにも力を与える。エビデンスのレビューによると、ビタミンDサプリメントは、特にビタミンD欠乏症の人において、呼吸器感染症の予防に効果があることがわかった。

初期の研究では、関節リウマチ、狼瘡、多発性硬化症などの自己免疫疾患の予防にも役立つ可能性が示唆されているが、これらには、さらなる試験が必要だ。

炎症はテロメアにダメージを与えるため、ビタミンDの抗炎症作用がその保護的役割を説明できる可能性がある。

米国オーガスタ大学によるこの最近の研究では、研究者たちは平均年齢 65歳の 1,031人を 5年間追跡調査し、開始時、2年後、そして 4年後にテロメアを測定した。被験者の半数は毎日 2,000 IUのビタミンDを摂取し、残りの半数はプラセボを投与された。

結果は、ビタミンD群ではプラセボ群と比較して、テロメアが 140塩基対維持されたことを示した。これを踏まえると、過去の研究ではテロメアは 10年で約 460塩基対自然に短縮することが示されており、ビタミンDの保護効果が真に意味を持つ可能性があることを示唆している。

これは有望な発見としては初めてのものではない。以前の研究でも同様の効果が報告されている。

 

落とし穴

しかし、いくつか重要な点がある。一部の研究者は、極端に長いテロメアは実際には病気のリスクを高める可能性があると警告しており、まだ解明されていない最適な長さが存在することを示唆している。

適切な摂取量についても合意が得られていない。このオーガスタ大学の研究者たちは 1日 2,000IUを使用したが、これは 70歳未満で 600IU 、高齢者で 800IUという現在の推奨摂取量を大幅に上回っている。しかし、他の研究では、わずか 400IUでも風邪の予防に効果がある可能性が示唆されている。

専門家によると、最適な摂取量は、現在のビタミンD濃度、全体的な栄養状態、ビタミンが他の栄養素とどのように相互作用するかなど、個人的要因によって異なる可能性があるという。

今回のオーガスタ大学の研究結果は刺激的だが、老化を遅らせることを期待して高用量のビタミンDを摂取するのは時期尚早だ。

健康的な老化の最も有力な証拠は、依然として基本的な要素、つまりバランスの取れた食事、定期的な運動、質の高い睡眠、禁煙、そしてストレス管理にある。これらはすべて、テロメアの健康を自然にサポートする。

しかし、ビタミンDが不足している場合や骨の健康状態が悪化するリスクがある場合、サプリメントの摂取は依然として賢明な選択であり、これは数十年にわたる研究に裏付けられている。科学者たちが老化の謎を解き明かし続ける中で、ビタミンDが細胞時計の働きを維持する役割は、はるかに大きなパズルのほんの一片に過ぎないことが判明するかもしれない。







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