有毒廃液ダムの崩壊を「赤い恐怖」という見出しで報じる中国英字メディア
中国河南省の洛陽市にある山沿いで、廃棄物を貯蔵するダムが突然崩壊して、有毒な重金属を含む赤い泥が流出したことにより、周辺2つの村がほぼ完全に埋められてしまったということが報じられています。
有毒な重金属を含む廃液は、アルミニウム生産の副産物だということです。
河南省洛陽市の場所
・Google Map
河南の地元紙によると、死傷者は報告されていないですが、有害な赤泥に多くの農場や家畜が飲み込まれました。それぞれの村の 400人を超える人々が避難したとのことです。
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廃液が泥流と混じって村に押し寄せる
航空機による上空からの撮影写真は、この被害の面積の規模の大きさを示しています。
上空からの撮影
これらの赤泥には非常に有毒な重金属が含まれており、報道によれば、その高いアルカリ度は腐食性があり、土壌に損傷を与える可能性が高いそうです。
重金属の有毒廃液の流出としては、2010年にハンガリーで起きたものがあり、この時の被害のすさまじさはは In Deep の「黙示録: 生態系が完全に破壊された廃液の最初の流入地ハンガリーのマルカル川」という記事で現地の記事を翻訳したことがありますので、それを再掲しておきます。
植物から魚類まで「生き物はすべて全滅した」という凄まじい状況でした。
以下が、2010年のハンガリーの記事です。
有毒廃液の生態系への破壊力がよくわかる事象でした。
All water life in Hungary’s Marcal river is dead: official
Desdemona Despair 2010/10/11
ハンガリー・マルカル川のすべての水にすむ生き物は死んだ
甚大な被害を及ぼしている有毒廃液の流出事故の影響を受けたハンガリーのマルカル川では、「すべての生態系」が破壊されたと、災害救助チームが語った。
「マルカル川のすべての生態系が全滅した。高濃度のアルカリが何もかも殺してしまった」と、地域の災害救助サービスの代表は語った。
「魚は全部死んだ。植物も何も生き残っていない。酸と石膏を使って、アルカリ濃度を下げようとしたが、無駄だった」と彼は言う。
腐りかけた魚と酢の匂いが混じった悪臭が西ハンガリーにあるギルモット(Gyirmot)村に漂っている。これらの汚染されたマルカル川の水は、より大きなラバ川に流れ込む。
ボランティアたちがマルカル川で死んだ魚を集めている。
マルカル川では赤い血のような有毒な廃液の堆積物が大量に川に流出し、生き物は完全に一掃された。魚はもはやいない。
ボランティアたちは、マルカル川の汚染された魚がラバ川に入ることを阻止するために、この村で作業をしている。ラバ川は、クロアチア、セルビア、ブルガリア、ルーマニアとウクライナからハンガリーに通じて黒海に至る広大なドナウ川へと連なっている。
自然保護団体 WWF ハンガリー支局は、マルカル川に自然が戻るには3年から5年かかることを示唆した。