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台湾が過去50年で最悪の水不足による緊急事態に。世界最大の半導体生産が停滞に陥る可能性も。総統は「人工降雨作戦」にも言及

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水不足による半導体の生産懸念について述べる台湾経済部の王美華氏。DWNEWS




 

台湾で近年最悪レベルの水不足が発生していることが世界中で報じられています。

これは、昨年以来続く雨不足によるもので、台湾総統の蔡英文さんは、「台湾は過去 56年で最も深刻な水不足に直面している」述べています。

しかし、台湾にとっては、食糧生産などにも関係する確かに深刻な過去最悪レベルの水不足の事態ではあるにしても、なぜこれが世界中で報じられているのかというと、

「台湾が世界一の半導体生産国だから」

という理由があります。

半導体生産量の比較

news.mynavi.jp

半導体生産には、圧倒的な量の水が必要です。

現在パンデミックに起因する「世界的な半導体不足が起きている」渦中で台湾の極端な水不足が明らかとなったことで、さまざまな国や企業の経済にも影響が出るのではないかと懸念されているようです。

半導体不足、自動車など一部業種の早期解消は期待薄か

世界的な半導体の品薄状態に対して、一部の企業は、ある程度慣れる必要が出てくるだろう。新型コロナウイルスのパンデミックに起因する需要の急減とその後の急増、さらに以前からの貿易戦争のため、世界各地の工場が半導体不足に悩まされている。 Reuters 2021/03/05)

台湾の半導体の生産能力が今後低下した場合、半導体不足に拍車がかかる可能性がある上に、台湾の農業生産の問題にも関わる問題となるかもしれません。

現在の台湾の水不足の直接的な原因は2020年に台風がひとつも通過しなかったことによります。

平年なら台風の接近や上陸により十分な雨量が確保されるのですが、昨年は台風が台湾に接近しませんでした。以下の図を見ますと、見事にすべての台風が、台湾を迂回していたことがわかります。

2020年に発生したすべての台風の通路

newtoday.cc

台風というのは、災害の面ばかりが強調されやすいですが、それが東アジアのどの国であっても、このように「まったく接近しない年が1度でもあれば」現在の台湾のように歴史的な災害に直面することを示しています。

今は世界の大気の流れの「配置」が大きく変化し続けています。以下は 6年前の記事ですが、ご参照下さればと思います。

地球の気流が壊れた : ジェット気流が赤道を通過して北極から南極に進むという異常すぎる事態。このことにより、この先の気象と気温はこれまでに考えていた以上のカオスとなる可能性が極めて濃厚に
In Deep 2016年6月30日

これまでの数十年数百年とはまるで異なる気候や気圧配置がさらに多く出現する可能性も高いと思われます。

台湾の状況は日本もひとごとではないかもしれません。上の昨年の台風のルートを見ましても、日本は、かろうじて台風の影響を受けていますが、一歩違っていれば、昨年の日本も「まったく台風の影響を受けなかった可能性」があることがわかります。

蔡英文総統は「人工降雨」の可能性に言及していますが、現状の人工降雨の方法では成功は難しいと思われます。

雨のコントロールには現在でも人間が介入できるものではなく、それだけからこそ、大国を含めて現在の主要国で洪水も干ばつもどちらも起こり続けています。

アメリカや中国、ロシアなど多くの国が気象コントロールの研究と実行を続けていますが、どの国でも洪水や干ばつが以前より激しくなっているあたり、現段階で気象コントロールに成功している国はないと見られます。あるいは気象に介入して、むしろ悪化させている可能性もあるのかもしれません。

台湾の水不足について、アメリカの CNBC の報道をご紹介します。


台湾は過去56年間で最悪の干ばつに直面しており、同国指導者は国民に水資源を節約するように要請した

CNBC 2021/03/08

台湾の蔡英文総統は、昨年の極めて少なかった降雨と台風が接近しなかったことにより、同国が歴史的な干ばつに直面しているために、水を節約し、今後の水不足に備えるよう国民に呼びかけた。

台風は通常、大量の降雨をもたらすが、昨年の台湾には台風が接近しなかった。

総統は、政府が干ばつに対処するための緊急対応センターを設置したと説明した。

地元の報道によると、乾季が 5月まで続くと当局が予想しているため、全国的な水規制を強化し、新竹県の淡水化プラントを含む緊急水資源を動員した。

総統は、台湾最大の集水域の 1つである北部のシメン貯水池に人工降雨を行うために軍用輸送機が派遣されたと述べた。水資源庁によると、同貯水池は現在 49.13%の貯蔵容量しかない。他の貯水池も驚くほど低いレベルにあり、一部の貯水池は10%程度しか貯水されていなく、懸念されている。

台湾の産業は、水不足による潜在的な混乱に備えている。現在、台湾のいくつかの半導体メーカーは、将来の水需要を満たすために、水を購入していると伝えられる。

水不足が台湾の半導体セクターを混乱させた場合、昨年のスマートフォン、タブレット、PCなどの家電製品の需要の急増により、業界がチップ供給の逼迫に直面しているため、世界的な影響が生じる可能性がある。

半導体チップ不足は、自動車業界への影響も顕著で、自動車メーカーは、半導体の不足により、今年数十億ドル(数千億円)の収益を失うと予想されている。

専門家たちは、現状では、台湾の半導体セクター自体が生産の混乱に陥る可能性は低いと考えているが、半導体の供給条件しばらくは逼迫したままとなる可能性が高い。







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