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抗生物質の黙示録:「利用できる26種類すべての抗生物質に耐性を持つバクテリア」によってアメリカ人女性が死亡する事例が発生

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2017年1月14日の英国BBCの報道

BBC

現在の西洋医学にとって「要」であり「中心」であり「守護神」であるともいえる存在である抗生物質が、どんどん効かなくなっている現状についてはご存じの方も多いと思います。

これは、菌たちが抗生物質に耐性を持ち始めていることから発生することですが、その範囲が加速度的に広がっています。

西洋医学の最後の戦いともいえる最近の薬の開発などについては、

「西洋医療の崩壊」は防げるか : 抗生物質の黙示録の時代に出現した「新しいスーパー抗生物質テイクソバクチン」と、スーパー耐性菌の未来の戦いの行方
 2016/05/30

という記事に書いたことがありますが、そんな中、「すべての抗生物質に耐性を持つ菌」が出現し、それにより、アメリカ人女性が死亡するという事例が昨年起きていたことが、最近明らかになりました。

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今回はそのことについて書かれた BBC の記事をご紹介します。

なお、その菌は、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)というもので、人の口の中や腸の中などにしている常在菌で、本来は決して強い毒性を持つものではないのに、それが人を死に至らしめたのでした。

クレブシエラ・ニューモニエ

huffingtonpost.com

ありふれた常在菌が猛毒の菌になってしまったのです。

抗生物質が効かない耐性菌のパワーは、どんどん強くなっていっているようで、そして、「今後、拡大することが確定的」であるということも言われていて、こういうものが拡大し始めると、基本的に「医療では対処しようがない」という感染症が多くなると思われます。

ここから BBC の記事です。


Bug resistant to all antibiotics kills woman
BBC 2017/01/13

あらゆる抗生物質に耐性を持つ菌が女性を殺した

26種の異なる抗生物質で治療できなかったスーパー耐性菌がアメリカで女性を殺したことが関係者の報告により判明した。

ネバダ州に住む 70歳の女性は、インドに長く滞在した際、右の股関節に感染による腫れができた。昨年 8月にアメリカに戻ったが、その感染が原因で彼女は 9月に亡くなった。

アメリカ疾病管理予防センター(CDC)の報告によると、この女性の感染症は「人に利用可能なすべての抗生物質に耐性がある」と述べられている。

 

抗生物質の黙示録

女性は、右足を痛めた後、繰り返しインドの病院で治療を受けていたが、その中で、感染が骨に入り、股関節に広がった。

アメリカの病院に到着した時には、彼女は深刻な状態だった。彼女の免疫システムは、感染と対抗して撲滅しようと彼女の体全体に炎症を引き起こしていた。感染による炎症はエスカレートし、最終的に彼女は敗血症によるショックで死亡した。

創傷から採取された感染のサンプルは、試験のためにアメリカ疾病管理予防センターに送られた。

調べた結果、女性は、通常は口腔や腸内に常在する肺炎桿菌に感染していることを示した。しかし、女性は、肺炎にはならず、全身の炎症を起こした。

分析によれば、このスーパー耐性菌は「最後の抗生物質」と呼ばれているコリスチンを含む、アメリカ国内で利用可能な 26種のすべての抗生物質に対して耐性を持っていた。

 

世界旅行が要因となり

アメリカ疾病管理予防センターは、「すべての抗生物質に耐性のある感染症は非常に稀です」と述べているが、しかし、今回の事象は、本来なら無害な菌が「悪夢の細菌」と呼べる存在となる危険性を警告している。

一部の科学者たちは、ネバダ州のこのようなケースがより頻繁になった場合、西洋医学が「抗生物質の時代の終焉」に直面する可能性を主張する。

英国で抗生物質研究をしている科学者は次のように述べる。

「このように、多数の抗生物質に細菌が耐性を持つのは現在はまだ稀なことですので、今回のケースは極端な事例といえますが、しかし、このようなことが、そのうち一般的になるのです」

「今回の例では、インドで複数回入院した病歴の中で起こりましたが、世界旅行が容易となっている現在では、同じようなケースが増えると思われます」

バーミンガム大学の抗生物質の専門家であるローラ・ピッドック(Laura Piddock)教授は以下のように語る。

「このような多剤耐性菌は稀であるにもかかわらず、今回の報告書は、有用な薬物が利用できない場合、一部の患者にとって悲惨な結果をもたらす場合があることを物語っています」

「医師が生命を脅かす感染症を治療できないという状況では、自国で使用が許可されている薬物以外でも、実験室で感染細菌に効果が証明されている抗生物質を患者に使用する柔軟性が必要だと思われます」


ここまでです。

なお、この記事を読みますと、このように耐性菌が拡大した理由として、「世界旅行が簡単になったため」というようなことが書かれてありますが、これは付け足した理由でしかなく、根本的な理由は「全世界的な抗生物質の乱用」であり、それを拡大させた西洋医療そのものにあると考えるのが妥当かと思われます。







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