今日 (8月25日)、太陽に「突然」比較的大きな黒点が発生しました。
2022年8月25日の太陽表面
SDO / HMI
この「暫定番号」としてナンバリングされている黒点 3088 というものの「磁場」が、NOAA (アメリカ海洋大気庁)によると、「異常」なのだそうです。
何より、この黒点自体の出現が普通に異様で、
「昨日まではなかった」
のです。
突然出現して、一気にここまで大きくなった。
たとえば、一般的には、黒点というのは「太陽の左側から次々と現れてくる」ものです。
ですので、「右側にあるほうが(早くに出現したので)番号が古く、左側のほうが番号が新しく」なっているものです。
おおむねの太陽黒点はそうでした。
しかし、上の図を見てもわかる通り、暫定番号「 3088」のほうが、3086 や 3087 という古い番号より右側にあるのです。
これは、この場所に「突然出現した」ことを示します。
このこともあまりないことですが、何より、NOAA によりますと、この黒点は、「科学的には考えられないような磁場構造」を持っているのだそうです。スペースウェザーの記事をご紹介します。
奇妙に磁化された黒点
A STRANGELY-MAGNETIZED SUNSPOT
spaceweather.com 2022/08/25
太陽の南半球に、新しい黒点 (暫定番号 AR3088) が出現している。しかし、その磁場は正常なものではない。
昨日まで存在しなかったこの黒点の磁場が、このソーラー・ダイナミクス観測衛星のマップに以上のように示されている。
ヘイルの法則によれば、黒点の磁極は +/- 、つまり左側がプラス(+)、右側がマイナス(-)になるように配置されている必要がある。
ところが、この黒点 3088は、そうではなく、磁場が 90度回転しており、プラス (+) が上でマイナス (-) が下という異常な配置になっている。これは稀な「垂直黒点」であり、磁極が太陽の赤道に直交している。
何が起きているのか。
この黒点が成長している表面の下で、太陽の磁気ダイナモに異常なことが起こっている可能性がある。この 3088 に次に何が起こるか注目したい。
ここまでです。
ここに出てくる「ヘイルの法則」というのを知らないと、この異常性がわからないようなのですが、この法則は、初めて聞きました。
調べてみますと、日本天文学会の天文学辞典にありました。
ヘール-ニコルソンの法則
太陽黒点は東西に対して少し傾いた状態だが、ほぼ赤道に沿った方向にN極とS極の対になって発生する。
一般に黒点は西側に現れる先行黒点が東側の後行黒点よりも大きく長寿命である。
(1)一つの太陽周期中には、ある半球(北半球または南半球)内で先行黒点の磁極は同じであり、(2)北半球と南半球の先行黒点の磁極は異なること、そして(3)次の周期には、前の周期とは磁場の極性が逆転することが知られている。
この黒点の磁極性の法則(1)〜(3)をヘール-ニコルソンの法則という。したがって、黒点の増減の周期は約11年であるが、太陽活動の磁気周期は約22年である。 (Hale-Nicholson's law)
うーん、今ひとつわからないですが、つまりは、黒点というものは、周期によって、右と左の違いはあっても、
> ほぼ赤道に沿った方向にN極とS極の対になって発生する。
というものだと。
以下は、そのページにあった、11年ごとのN極とS極の位置の変化です。
要するに、「 N と S の右と左の位置は入れ替わる」ことは知られているとしても、
「 N と S が上下の位置関係になることなどない」
ということだと思います。
それが今起きている。
これが意味するところはよくわからないですが、スペースウェザーも、
> 太陽の磁気ダイナモに異常なことが起こっている可能性がある
と書いているように、太陽の、少なくともこの黒点 3088 の下あたりで「何か異常なことが起きている」可能性があります。
太陽全体がどうこうということではなくとも、やや気になるところです。
この黒点の位置からは、黒点群 3088 はあと数日で裏側に回り、見えなくなると思いますが、それまでどのような動きを見せるのか。