東アフリカ沖にあり、115の群島からなるセイシェルは、人口 10万人ほどの小さな諸島国家ですが、最近はある事柄がよく話題になることがありました。
それは、
「セイシェルは人口あたりで世界で最も多くのコロナワクチンが接種されている」
ということで、「ワクチン成功国のひとつ」と言われていました。
本日 5月6日時点でのデータでも、いまだにセイシェルは 100人あたり 130回以上の接種がなされていて、ダントツの世界一です。
2021年5月5日までの人口100人あたりのワクチン接種数ランキング
vdata.nikkei.com
セイシェルでは、1月のはじめにワクチン接種が開始され、以下のようなペースで、接種数が増加していきました。
このように、ワクチン接種が停滞している国々を横目にして、セイシェルでは順調にコロナワクチン接種が進んでいました。
その中でまた別のセイシェルの報道が話題となっています。
それは、
「ワクチン接種開始以来、感染者の増加が止まらない」
のです。英 BBC などが伝えていました。
以下は、セイシェルの 100万人あたりの感染者数の推移です。
ワクチン接種が始まる 1月9日までは、ほとんど感染者はいなかったのですが、ワクチン接種開始後、徐々に感染者が出始め、3月に入ってからは、急激な増加を見せるようになりました。
ワクチンを接種していない人たちが感染し続けているのではなく、感染確認された人たちの 3分の 1が「二度のワクチン接種を完了した人たち」だと報じられています。
人口の少ない国とはいえ、100万人あたりの新たな感染者の推移ですと、最近何かと話題に上るインドなどをはるかに上回っており、日本など問題になりません。
なぜこんなことになっているのかはよくわからないですが、ちなみに、セイシェルで使用されているワクチンは、中国のシノファーム社製とアストラゼネカ(インドで製造されたアストラゼネカワクチン)です。
小さな国であるだけに、影響が懸念されます。
BBC の報道をご紹介します。
セイシェルは予防接種の成功国にもかかわらず、制限措置を再び導入
Seychelles brings back curbs despite vaccination success
BBC 2021/05/05
人口の 60%以上が完全にコロナワクチン接種したセイシェルは、症例数の増加の中で制限措置を再び導入した。
10万人ほどの人口のこの群島では、5月1日までの 3日間で 500例近くの新たな感染確認が記録され、約1,000の活動的な症例がある。
セーシェルの通信社によると、現在の症例の 3分の 1は、二回の完全なワクチン接種を受けた人たちだという。
現在、学校は閉鎖され、スポーツ活動は 2週間停止された。バー、レストラン、ショップは時短営業とし、一部の集会は禁止された。
セーシェルの保健相は記者会見で、「私たちが行っているすべての並外れた努力にもかかわらず、私たちの国の Covid-19 の状況は現在重大であり、先週多くの毎日の症例が報告された」と語った。
収入の大部分を観光業に依存しているセイシェルは、UAEから寄贈された中国シノファームのワクチンを使用し、1月から人々へ接種を開始した。
ブルームバーグによれば、4月中旬までにセイシェルで投与されたワクチン投与の約 60%がシノファーム社ワクチンで、残りはインドで製造されたアストラゼネカ社ワクチンであったと報告している。
中国と UAE での試験では、シノファーム社ワクチンの有効性はそれぞれ 79%と 86%だった。ブラジルの研究者たちは、別の中国製ワクチンであるシノバック社ワクチンの有効性を 50.4%と発表している。
世界保健機関は、今週後半に、シノファーム社ワクチンおよびその他の中国製のワクチンを承認する予定だ。