ロシアを含むヨーロッパのいくつかの国や地域、あるいは、オーストラリア、シンガポールなどで感染者数や死者数が増加していますが、特に著しい感染数と死者数の増加を見せているロシアでは、再び「制限措置」がとられはじめています。
以下は、全パンデミック期間のロシアの 1日の新たなコロナ死亡者数の推移で、10月20日には、過去で初めて死者数が「 1日 1000人を超える」という事態となっています。
これを受けて、ロシアの首都モスクワでは、昨年 6月以来の「ロックダウン(都市封鎖)」を実施することが発表されています。
モスクワ、10月28日からロックダウン再導入 昨年6月以来
ロシアの首都モスクワのソビャニン市長は、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するロックダウン措置を10月28日からモスクワで再び実施すると発表した。スーパーマーケットや薬局などの店舗のみ営業が許可される。
モスクワでの部分的なロックダウンは昨年6月以降で初めて。11月7日まで実施される。
市長によると、スーパーマーケットや薬局など必需品を販売する店舗を除く全店舗が閉鎖される。学校や幼稚園なども閉鎖され、バーやレストランではテイクアウトやデリバリーのみが可能となる。
劇場や博物館は対象外で、入場者数を制限することを条件に営業が許可される。入場者はマスク着用とワクチン接種証明書または回復証明書の提示が求められる。 (ロイター 2021/10/21)
ロシアでは、コロナの新しい変異株である「 AY.4.2 」が「デルタ株を凌駕しつつある」ことが示されています。
ロシアで新たなコロナ変異株、デルタより感染力強い可能性
ロシア政府当局の上級研究員カミル・カフィゾフ氏は21日、デルタ株よりも感染力が強いとみられる新型コロナウイルス変異株の感染がロシアで複数確認されたと発表した。
カフィゾフ氏は、新たな変異株「AY.4.2」の感染力がデルタ株を10%程度上回っている可能性があり、最終的にデルタ株に取って代わるかもしれないが、時間がかかる公算が大きいと指摘。「ワクチンは新たな変異株にも十分効果がある」とした。
ロシアで10月20日に確認された新型コロナ関連の死者は1028人と過去最高を更新した。新規感染者数は3万4073人となった。
より強力な変異株が流行すれば、感染者が一段と増える恐れがある。 (ロイター 2021/10/21)
この変異株は、以下の In Deep の記事でも取り上げました、最近死者数が急激に増加している英国では全体の 8%がこの新しい変異株となっていると報じられていました。
近づく本物のパンデミック : 規制が何も変化しないことに絶望しつつも、どのみち、英国を揺さぶる「新しいスーパー変異株」はすぐにやってくる
In Deep 2021年10月20日
以下は、この記事に載せました米ゼロヘッジの記事です。
専門家は、新しい「スーパー変異株」が英国での最新のコロナ流行のカムバックの背後にあると警告する
少し前まで、英国では COVID はほとんど消えたと考えられていたが、最近、また感染事例が急増している。
これについて、米FDAの元責任者であるスコット・ゴットリーブ博士は、デルタ型から進化した「超変異株」が、英国の最近の感染事例の急増の背後にある可能性があると警告した。これは、ボリス・ジョンソン首相が「英国の海外旅行制限を緩和する計画」を発表した後のことだ。
ゴットリーブ博士は、英国が最近 3か月で新しい COVID 症例で 1日としては最大の増加を記録したことを指摘した。同時に、ゴットリーブ博士は、スパイクタンパク質に変異を持つ「 Y145H 変異株の AY.4v として知られる新しい変異体が急速に広がっており、現在、英国で確認されている新しい症例の 8%を占めていると述べた。 (zerohedge.com)
英国の新たな死者数は、以下のように、この3ヶ月ほどで急激に増加しています。
先ほどのロイターの報道には、ロシアの専門家の話として、
> 「ワクチンは新たな変異株にも十分効果がある」
とありましたが、デルタ後の変異株に対しての現行のワクチンの効果はほぼないと思われます。
以下の In Deep の記事に、日本のいくつかの大学の研究者たちが、
「デルタ株の次の変異には、現行ワクチンは効かない」
ことを論文で示したことについて取り上げています。
東京大学等や大阪大学の異なる論文に見る「ワクチンによる逃げ道はナシ」という実感。強行した後に残るのは「無」
In Deep 2021年9月11日
ロシアのワクチンがどのようなものかの詳細はわからないながら、武漢型コロナを元に作られているワクチンであるなら、すでにその中和抗体は効かないはずです。
モスクワでは再びロックダウンを行いますが、「ロックダウンの無意味さ」は、これまで何度か取り上げています。
最近では、オーストラリアの例が、その無意味さを物語っています。
オーストラリア・ビクトリア州でのロックダウンと感染確認数の推移
ourworldindata.org
ロシアでは、他に以下のような規制も発表されているようです。
・10月30日から11月7日までの職場閉鎖命令
・旅行の自制、レストランや劇場、遊興場所の訪問を自制すべきという勧告
・モスクワではワクチン接種をしていない60歳以上に自宅に4カ月間留まるよう命じた
同時に、公共の場でのマスク義務も復活し、バスや地下鉄などの公共交通機関では、マスクを着用していない人に罰金が科せられ始めたことも報じられています。
この冬は世界的にさらに規制と混乱と「無意味な死」が大きく拡大しそうです。
日本の緊急事態宣言解除も2ヶ月もつかどうか。