戦争の時代 最期の食糧危機

核戦争下で役立つ野菜や果物

投稿日:




 

こんなにたくさんのファイトケミカルに保護作用が

最近、インドや韓国などの研究者たちによる、「電離放射線から体を保護あるいは治癒する植物物質の検討」の内容の論文の存在を知りました。

論文は、以下にあります。

ファイトケミカル: 放射線誘発シグナル伝達経路の潜在的な治療調節因子
Phytochemicals: Potential Therapeutic Modulators of Radiation Induced Signaling Pathways

概要には以下のように書かれています。

概要

電離放射線は、生物学的システムに広範な損傷をもたらす。原子力事故、放射線治療、宇宙開発、核戦争からの大量の電離放射線などは、生物システムへの損傷につながる。

炎症、線維症、萎縮などの放射線傷害は、特定のシグナル伝達経路の活性化または阻害によって媒介される、ゲノムの不安定性、アポトーシス、壊死、発がん性形質転換によって特徴付けられる。

腫瘍や正常細胞がさまざまな線量の電離放射線に曝露されると、フリーラジカル種が生成され、シグナルメディエーターが放出されて有害な影響を引き起こす可能性がある。

以前の FDA 承認薬剤は放射線関連毒性を効果的に軽減するが、これは細胞毒性が高いため、その使用は制限されている。

前臨床および臨床所見により、強力な抗酸化活性を示す植物由来のファイトケミカルがいくつかのシグナル伝達経路を効率的に標的とすることが明らかになった。

このレビューでは、放射線応答に関連するシグナル経路の変化において、いくつかの植物化学物質が果たす予想される役割を検討した。

mdpi.com

 

原子力事故や核戦争などの際に、身体への悪い影響に対して役割を果たす「ファイトケミカル」というものを検討したレビュー論文です。

ファイトケミカルとは、植物が自身に有害なものから身を守るために作り出した成分で、非常に多くの種類がありますが、よく知られているものでは以下のようなものがあります。これらも含めて、おおむね放射線に対しての身体の影響をある程度、軽微にしてくれるようです。

 

・抗酸化作用:トマト(リコピン)、緑茶(カテキン)、ブルーベリー(アントシアニン)、赤ワイン(ポリフェノール)

・殺菌効果:しょうが(ジンゲロール、ショウガオール)

・免疫力の向上:キノコ類(βグルカン)、海藻類(フコイダン)

suntory-kenko.com

 

論文は、これらの「電離放射線への作用」について書かれたものですが、しかし、ふと思えば、電離放射線といえば、5Gなどの強い携帯波も、なかなかの人体への影響度を持っていますので、こういう食品をふだんから積極的に食べるのには良いのかもしれないですね。

先ほどの論文の内容を取り上げていた記事からファイトケミカル名が出ている部分を抜粋します。できるだけ注釈もつけさせていただきます。




 


核戦争による放射性降下物に対する放射線防護剤としての植物化学物質

Phytochemicals As Radioprotectors Against A Radiation Fallout From A Nuclear War
thailandmedical.news 2023/06/24

数多くのファイトケミカルが、その多様な作用機序を通じて放射線防護剤としての可能性を示している。たとえば、食物源に含まれるアピゲニンは、リンパ球、ケラチノサイト、およびマウスモデルにおいて放射線防護効果を実証している。

(※注 / アピゲニンは、グァバ、セロリ、パセリなど多くの植物に含まれるフラボノイドです)

 

柑橘類に含まれるヘスペリジンは、NFκB (炎症反応急性期の調節因子)を調節し、放射線防護効果を示すことが示されている。

(※注 / ヘスペリジンは、みかん、ダイダイなどの柑橘類の果皮および薄皮に多く含まれます)

 

同様に、エピガロカテキンガレート、プテロスチルベン、トレチノイン、クルクミンなどの化合物も NFκB 経路を標的とすることが判明しており、放射線防護の潜在的な候補となっている。

(※注 / エピガロカテキンガレートは緑茶に、プテロスチルベンはアーモンドやブルーベリーに、クルクミンはウコンなどに含まれます)

 

さまざまな植物に含まれるフラボンであるフィセチンは、Wnt シグナル伝達を阻害し、腫瘍細胞の浸潤性を低下させることがわかっている。

(※注 / フィセチンは、いろいろな植物に含まれますが、日本でなじみ深いのは、桑の葉でしょうか。余談ですが、桑の葉は「血管の痙攣を予防する」のだそう)

 

リコピンは、Nrf2 (酸化ストレス応答転写因子)を活性化し、抗酸化酵素の発現を誘導し、放射線によって誘発される酸化損傷から保護することがわかっている。リコピンは、Nrf2 とそのリプレッサータンパク質である Keap1 の間の相互作用を破壊し、Nrf2 の核への移行とその後の細胞保護遺伝子の発現を引き起こす。

(※注 / リコピンは赤い野菜や果物に含まれるもので、トマト、人参が特に多いです)

 

トリテルペンの一種であるベツリン酸は、低酸素条件下で神経膠腫細胞において放射線増感剤として作用する。アスコルビン酸をガンマ線曝露前に投与すると、放射線による致死率が低下し、マウスの生存率が高まる。

カフェインを前治療として投与すると、放射線誘発性小核の形成が大幅に阻害される。

天然フェノールであるクルクミンは、放射線誘発性の遺伝毒性、染色異常誘発性、ROS 産生、および脂質過酸化を軽減する。

フィトアレキシンであるレスベラトールは、フリーラジカル消去活性を示し、電離放射線に対して放射線防護作用がある。カロテノイドの一種であるリコピンは、フリーラジカルを除去する能力を備えており、放射線誘発性の染色体異常と効果的に戦う。

(※注 / レスベラトールは、ブドウの皮や赤ワインなどに含まれます)

 

フェノール系栄養化合物であるセサモールは、その抗酸化特性により、放射線誘発性の遺伝毒性、腸損傷、造血損傷から保護する。

さらに、ゲニステイン、バニリン、ヘスペリジン、オイゲノール、ビンブラスチン、ビンクリスチン、オリエンチン、ビセニン、エラグ酸、没食子酸、ケルセチン、トリゴネリン、ミリセチン、ナリンギンなどの化合物は、抗酸化作用、抗炎症作用、抗増殖作用、抗変異原作用、および放射線防護活動の作用を持つ。

(※注 / あまりにもたくさん並んでいて、お手上げです)

 

放射線誘発シグナル伝達経路の治療調節因子としての植物化学物質の可能性を解き放つことは、放射線防護を強化し、放射線関連毒性を最小限に抑えるための有望な手段を提供する。

自然の力を利用することで、放射線降下物の有害な影響から生物システムを守る新しい方法を解き放つ鍵が見つかるかもしれない。







-戦争の時代, 最期の食糧危機
-, ,

Copyright© 地球の記録 - アース・カタストロフ・レビュー , 2024 All Rights Reserved.