2016年5月26日の報道より
ナイジェリアで、トマトに大きな被害を与える「蛾」の大発生で、トマト産業が壊滅的な被害を受けていることが報じられています。
この世には、いろいろな病害虫がいますが、トマトにそんな害を与える昆虫がいるということをはじめて知りました。
その昆虫はトマトキバガというもので、日本の農林水産省にも説明があり、以下のようなものらしいです。
体長約5~7ミリの微小な蛾で、南米大陸が原産。1980 年代からトマト等のナス科作物に大きな被害を与えているが、2006 年スペインに発生が確認されたのを皮切りに、地中海沿岸や中東で急速に分布を拡大している。特に降雨量が少ない場合は被害が大きく、50~100%の減収を及ぼした例もある。
トマトギバガ
・Google
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幼虫が食害を起こすということのようなんですが、農水省の説明に「 50~100%の減収を及ぼした例もある」というこの虫が、ナイジェリア北部で大発生し、80%以上のトマト畑が壊滅したとのことです。
これを受けて、ナイジェリア北部のカドゥナ州政府は非常事態を宣言しました。
というのも、ナイジェリアでは、トマトは「主食に近いもの」なのです。
ジョロフ・ライスというナイジェリアで広く食べられている料理は、ペースト状のトマトを材料に使うため、トマトがないと、これを作ることができないために非常に困るのです。
ジョロフ・ライス
・insatiablemunchies.com
これは日本の炊き込みご飯的なものですが、これは国民食であるため、ナイジェリアでは現在トマト価格が異常なほど高騰しており、 AFP の報道によれば、
> トマト数百個が入ったケースの卸売価格は現在4万2000ナイラ(約2万3000円)ほどだという。ガの大発生以前は、同300~1500ナイラ(約170~830円)だった。
というように、ケースで数百円だったものが、今は数万円と 100倍ほどの価格となってしまっているようです。
冒頭のクォーツの報道によれば、ジョロフ・ライスを作る際に必要なトマトペースト工場は操業が停止されているとのこと。
ナイジェリアは、アフリカ大陸でトマト生産高第2位を誇る一大トマト生産国であるにも関わらず、トマトに関しての「輸入国」でもあります。
というのも、ナイジェリアでは作物の管理施設に問題があり、収穫されたトマトの 75%が無駄になっていることもあり、年間 10億ドル( 1100億円)のトマトを海外から輸入しているとのこと。
このような「日常的な食品価格が突如として 100倍になる」という現実は、今の気候環境や病害虫環境では、日本を含めたどこの国でも起きないとは言えないことのように思います。