9月29日 地中海で発生した暴風雨を報じるギリシャの報道より
暴風雨による洪水で破壊されたギリシャの街並み
日本も台風の直撃の連続に見舞われていますが、他の国々でも暴風雨の直撃や被害が相次いでいます。
そのような中、ギリシャが、地中海で発生してヨーロッパに向かって進んでいくという珍しいタイプの暴風雨による豪雨や暴風、そして洪水により大きな被害を受けています。
洪水と高波で浸水したギリシャの街キャト
洪水の後のギリシャの町の様子
下の動画は、大規模な洪水に見舞われたギリシャのアルゴスという街の様子です。
https://youtu.be/kQuQYQncSJw
被害は、ギリシャのペロポネソス半島の大半に渡って発生したようです。
ペロポネソス半島
・Google Map
この暴風雨は、地中海で発生ものですが、報道などでは、サイクロンと呼んでいる場合もありましたが、実際には、
「通常ならほとんど発生しないタイプの暴風雨」
なのです。
そのようなわけで、実際には「カテゴリーとしての名前はない暴風雨」なのですが、冒頭のギリシャ CNN の報道のように「メディケーン」と呼ぶ報道が多くありました。
この「メディケーン」という言葉は、私も初めて聞いたのですが、その説明をアメリカの気象サイトから抜粋しますと、以下のようになります。
「メディケーン」とは何か
現在、ギリシャ、そしてトルコ西部で、大雨、強風、沿岸での大規模な洪水が発生している。しかし、この暴風雨は、おそらく多くの人たちが聞いたことがないものだと思われる。
これは「メディケーン (medicane)」と呼ばれ、地中海地域に特有のものだ。
医学(medicine)と似た綴りだが、何の関係もない。この名前は 「地中海 (Mediterranean)」と 「ハリケーン (Hurricane)」の 2つの言葉の組み合わせだ。
公式の気象用語ではないが、この名前はこれらの台風やサイクロン、ハリケーン等との地域的な違いを分類する。
気象予報士のタイラー・ロイズ(Tyler Roys)氏は、「過去 20年間、このメディケーンの報告が増えてきているのです」と言う。
このようなものです。
かつては、地中海で発生した暴風雨がギリシャを壊滅的な被害に導くというようなことはほとんどなかったのですが、今は、このようなことが起きてしまうようになったのです。
この「メディケーン」は、現在も暴風雨として移動していて、10月始めにかけて以下のような進路を取るとされています。
10月1日までのメディケーンの予想進路図
・accuweather.com
このような強力な暴風雨が地中海で発生する理由は、おそらく「地中海の海水温度がきわめて高いため」ではないかと考えられます。
今年 6月に、地中海の気温が異様に高いことを以下の記事で取りあげました。
今は 9月の終わりということで、基本的に夏は終わりを迎えているのですが、実は「いまだに地中海の気温はものすごく高い」のです。
下は、最近の地中海の海水温度の分布です。
2018年9月25日の地中海の気温(赤い部分は25℃以上)
今の地中海の海水温度は、軒並み 25℃以上となっています。
たとえば、台風やハリケーンが発生する条件のひとつに「海水温度が 26℃以上であること」がありますが、そこから考えても、今の地中海は暴風雨が発生しやすい状態となっていることがわかります。
場合によっては、今後もギリシャあるいは地中海に面したヨーロッパや北アフリカ諸国は、地中海で発生する暴風雨による影響を受け続ける可能性がありそうです。