アメリカとヨーロッパで、
「原因不明の幼児と子どもの重症肝炎」
が複数発生していて、原因を調査中であることが米国 NBC ニュースが報じていました。
一般的な肝炎の原因であるウイルス(A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎)によるものではないことがすでにわかっており、原因は不明です。
中には肝移植を必要とする重度の肝炎の症例の幼児なども報告されていて、幼児や子どもでこれほど重症の肝炎の症例が多数出ることは、少なくとも一般的にはないことですので、厄介な問題がまた出てきたということなのかもしれません。
その報道をご紹介したいと思いますが……これは……最初に書いてしまいますと、
「原因は、スパイクタンパク質によるもの」
だと考えられます。
以前、In Deep などで、(自然感染でもワクチン由来のものでも)「スパイクタンパク質がヒトヘルペスウイルス (HHV)を活性化させる」ことが判明しており、それがさまざまな病態に結びつく可能性があることを何度か取り上げました。
以下はその中のいくつかです。
[記事] 日本で奇妙な流行が広がっていることと、英国で起きている、医師たちが調査を要求するほどの「経験したことのないような過剰死」をつなぐもの
In Deep 2021年11月21日
[記事] ヒトヘルペスウイルス再活性化の嵐で日本の将来的な社会像が見えにくくなる中、スーパーフード「松」について
In Deep 2021年9月9日
[記事] うつ病……帯状疱疹……
In Deep 2021年9月8日
この「肝炎」というのは、ヒトヘルペスウイルス6型 (HHV-6)の再活性化によって引き起こされる代表的な疾患です。
以下は、HHV-6 財団というヒトヘルペスウイルス6型に関する研究を促進するための非営利団体のページからです。
特に「幼児の肝疾患」では、多くの場合、原因はヒトヘルペスウイルス6型の感染あるいは再活性化によるもののようです。
HHV-6と肝疾患
HHV-6 & Liver Disease
HHV-6 Foundation急性肝不全は、免疫能力のある人たちと免疫不全の人たちの両方で HHV-6 (ヒトヘルペスウイルス6型)感染と関連している。
肝臓内の HHV-6 DNAレベルの上昇は、移植片肝炎の診断後の移植片生存率の低下と有意に関連しているが、サイトメガロウイルスおよび EBウイルスのレベルの上昇は移植片生存率の低下とは関連していないことが示された。(論文) HHV-6は肝臓に直接感染することも示されている。(論文)
研究によると、HHV-6 は、劇症肝不全や小児の慢性肝疾患の急性代償不全、乳児期後の巨大細胞肝炎、成人の急性肝不全など、多くの肝胆道疾患および肝炎の原因であることが示されている。 (論文)
HHV-6単核球症による肝機能障害も十分に立証されている。肝硬変および肝細胞癌の発症における間接的な役割も提案されている。
コロナワクチンの接種や、あるいは自然感染も含めるとしても、ワクチン接種者の数の多さからは、今後は年齢を問わず、「肝疾患の急激な増加」があり得ると思われます。
肝疾患は、体調に実際の問題が出てきたりした後に、医療施設に診察に向かうまでは結構な時間がかかるものだと思いますので、今後症例が増えていくと見られます。
NBC の記事では「 6歳以下の幼児」にも肝炎が報告されていますので、ワクチンだけではない理由もあるのかもしれませんが。
重症化するまでは、小さな子どもたちが肝炎だと思う親や医師はあまりないと思いますので、潜在的な患者数はかなりいる可能性があり、今後、ワクチン接種をした人たちを中心に日本でも事例が出てきそうです。
米 NBC ニュースの報道をご紹介します。
米国とヨーロッパの子どもたちに報告されている稀な重度の肝障害
Rare, severe liver damage reported in kids in U.S. and Europe
NBC NEWS 2022/04/16
米アラバマ州では、他の点では完全に健康な 9人の子どもたちが重度の肝炎を発症した。医師たちはまだその原因を特定していない。
ヨーロッパと米国の公衆衛生当局は、幼児の重度の肝炎の数十例の不可解な症例を調査している。
肝炎は肝臓の炎症だ。原因はウイルスであることが多いが、一般的にこの疾患を引き起こすウイルス(A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎)は今回の一連の問題の症例では除外されており、医師たちは原因を探している。
いくつかのケースでは、状態が悪く、肝移植を必要としている子どもたちもいる。今のところ死亡事例は報告されていない。
世界保健機関(WHO)は、4月15日に、英国と北アイルランドで 13歳未満の子どもを対象とした重度の急性肝炎の 74例を調査していると述べた。WHOによると、スペインでも 3件の症例が報告されている。
WHOによると、ほとんどの子どもたちで肝炎の症状がいつ始まったかは明らかではないが、英国で確認された最初の 10人のうち、9人が今年 3月に、1人が今年 1月に肝炎になった。
米国では、アラバマ州の 6歳以下の子どもで 9例が報告されている。
アラバマ州公衆衛生局の地区医療責任者であるウェス・スタブブルフィールド博士は、そのすべての子どもたちが病気になる前は健康であり、肝炎以外では、子どもたちの間に明らかなつながりはないと述べた。
一般的な肝炎ウイルスが原因として除外されているため、現在の主要な理論は、アデノウイルス41型と呼ばれる別のウイルスが原因であるというものだ。
2021年10月から 2月の間に特定されたアラバマ州の 9人の子どもたちのうち 5人は、アデノウイルス41型について陽性だった。しかし、アデノウイルスは一般的な風邪を引き起こす呼吸器ウイルスであり、一般に肝障害とは関連しない。
「これは珍しいことです」とスタブブルフィールド博士は述べる。「アデノウイルス41型は、過去に、この一連の(肝炎の)兆候、症状、および傷害に関連していませんでした」
アラバマ州の子どもたちの症状には、下痢、吐き気、嘔吐などがある。黄疸を発症した子どももいれば、血液検査で肝酵素の上昇の兆候が見られた子どももいる。
アメリカ疾病管理予防センター (CDC)は、アラバマ州公衆衛生局と協力して症例を調査し、他の州保健局に連絡して他の症例が存在するかどうかを確認している。
「アデノウイルスがこれらの原因である可能性はあり得るかもしれないですが、肝炎のより一般的な原因を除外することを含め、研究者たちはまだこの原因の多くを調査中です」と CDC の広報官は言う。
コロラド小児病院の小児肝移植医療ディレクターであるエイミー・フェルドマン博士は、一連の症例を追跡することは重要だが、親は子どもによく見られる典型的な胃腸の病気について過度に心配するべきではないと述べた。
それでも、スタブブルフィールド博士は、アメリカの他の州の公衆衛生担当者に、これらの症例を監視し、CDCまたは州の保健部門に報告するように求めている。