突然、海岸線が25メートル後退したトルコのマルマラ海。cumhuriyet.com.tr
イスタンブールに隣接した場所での異変
トルコの地震が発生してから 1週間が経ちました。2月13日の時点で、トルコでの死者は 3万1643人、シリアの死者は、3688人で、全体では、3万5000人以上の死者となっていると伝えられており、21世紀の未曾有の自然災害のひとつとなってしまっています。
以下の記事でもふれましたけれど、この地震は、震源域が 300キロメートルから 400キロメートル規模の大変に広い範囲にわたる地震でした。
[記事] 苛酷な氷点下の中のトルコ地震の被災地を見ながら、そのあまりにも不思議な巨大震源域を見ながら思う、太陽の変化…そして宇宙の変化…
In Deep 2023年2月7日
現在も、広範囲で余震が続いていて、以下は過去 1週間のトルコでのマグニチュード 4.5以上の地震の発生状況です。
2月7日 -2月14日のトルコとその周辺のM4.5以上の地震 (2月14日時点で 108回)
USGS
M4.5以上の地震だけで 108回起きていることが示されています。
余震としていいのかどうかわからないですが、その震源域もやはり大変広いです。
そのような中、トルコの各報道が、
「マルマラ海の海岸線が突然 25メートル後退した」
ことを報じていました。
マルマラ海は、トルコのアジア側とヨーロッパ側の間にある内海で、地図では以下の場所にあり、イスタンブールに隣接している場所となります。
マルマラ海
Wikipedia
トルコの報道は以下のようなもので、「地震とは関係ない」という専門家の話を強調しています。
マルマラ海の25メートルの海岸線の後退に関する専門家の声明
cumhuriyet.com.tr 2023/02/13
マルマラ海のスレイマンパシャ地区の海岸で、突然海岸が 25 メートル後退した。
マルマラ海で今の季節にときどき起きる潮汐の現象が再び現れたと見られる。
スレイマンパシャ地区では、海が約 25メートル後退した。
海岸線が 25メートル後退したことを知って、一部のトルコの市民たちがショックを受けたことが伝えられている。海が25メートル後退したことで、この地域の市民の間で「王の道」として知られる海の崖が出現した。
ナミクケマル大学 芸術科学部 地理学科の教授であるエムレ・オズシャヒン博士は声明の中で以下のように述べた。
「マルマラ海では毎年、特に北風が吹いているときに海岸線の後退が見られます。特に低地の海岸では、後退が顕著となります。この後退振幅は広い範囲で見られるものです」
「人々はこの海岸線の後退に不安を感じている方もいらっしゃるかもしれないですが、この後退はトルコでの地震活動とは何の関係ありません。それは常に風と共に起こる出来事です。恐れる必要はありません」
ということのようです。
先ほどの地図にもありますように、このマルマラ海というのは、トルコ最大の都市で、人口 1400万人のイスタンブールと隣接しています。仮に、このような場所で大地震が起きると、混乱は収拾できないものとなるという恐れもあります。
つい最近、トルコで大きな地震があったばかりですので、この海岸線の後退に関しても、その不安を打ち消すために、トルコの地質の専門家の方々が、「地震とは関係ない」と述べているようです。
ただ、25メートルもの海岸線の後退という規模が風だけで起きるのかどうか……。
ちなみに、トルコの地質の専門家の中には、「イスタンブールでの大地震が近づいている」とする人たちもいまして、地震は予測できるものではないとしても、不安定な感じは生じているようです。
トルコの報道より「イスタンブールでの大地震が近づいている」ということを報じていたメディアの記事をご紹介します。
科学者のテレビ番組の生放送での発言を記事にしたものです。
ナージ・ゲーラー博士からのイスタンブール地震の警告
cumhuriyet.com.tr 2023/02/13
ナージ・ゲーラー博士は、イスタンブールで地震が発生する可能性について重大な警告を発した。ゲーラー教授は、「イスタンブールでマグニチュード 7を超える地震が発生する確率が 80%に増加した」と述べている。
地質学者の教授であるナージ・ゲーラー博士は、2020年にカフラマンマラシュを震源とする地震が発生する 3日前に警告を発していた。
今回、ゲーラー博士は、イスタンブールに重大な警告を発した。
ゲーラー博士は、TV5 の生放送で次のような声明を発表した。
「 2020年に、パーソンズ氏というアメリカの科学者と、トルコの地球科学者たちが共にこの研究を行いました。彼らが言っていたことは次のとおりです。マルマラ海でマグニチュード 7を超える地震が発生する確率は、1999年以降の任意の時点で、62%でした」
「 62% は大きな確率です。しかし、警告の時が近づいています。現在、確率は 62%から 80%に上昇しました」
イスタンブールでマグニチュード 7以上の地震が発生する確率が 80%に増加したことに注目して、ゲーラー博士は、「近い将来のイスタンブールの地震は、カフラマンマラシュの地震 (※ 1週間前の地震の震源地)と似ていると思われます。準備はできているが、十分ではありません」と語った。
ゲーラー博士は、以下のようにテレビ番組で述べた。
「イスタンブールで地震が発生した場合、地震による被害は確実に現在の地震より増えるでしょう。イスタンブールの多くの建物は地震に対して準備ができていないことがあり、また、人口密度が今回の地震の発生地域よりはるかに高いのです」
ここまでです。
ゲーラー博士という方は、「震源はマルマラ海」と明確に述べていまして、そのマルマラ海で、突然の海岸線の後退が起きたために、世論も不安に陥ったということかもしれません。
地震は予測できませんので、どうなるかわからないですが、やや不安な日々がトルコで続きそうな感じです。