イランの国営放送プレスTVの報道より
イランのペルシャ湾に面したダイイェルという街で、「海からの波が海岸沿いの街を襲った」という出来事がありました。
しかし、これは「津波でも高波でもなかった」のです。
冒頭のプレスTVの報道のタイトルの中にありますように、イランを襲ったのは「静振(せいしん)」と呼ばれる現象で、どんなものかといいますと、辞書の説明では以下のようになります。
せい‐しん【静振】
気圧や風などの変化により湖沼や湾内でみられる水の振動。
これだけ見ますと、穏やかな現象のように感じますが、今回のイランの現象は、下のツイッターに投稿された動画のような激しいもので、「津波そのもの」といってもいいような現象です。
@chematierra @MeteoSeba Olas Gigantes se registran n Kereti, Irán, se reportan 1 muerto, 5 Heridos. "tsunami"
Via Clima Severo Mundial pic.twitter.com/ryTLqHgznj— La Nueva Era de la Tierra (@Monttgreen) March 20, 2017
そして、この波により、少なくとも1名が死亡し、5名が行方不明となっているようです。
一体何が起きたのか。
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プレスTVによれば、風によって発生した海の振動が、突然「巨大な津波のような現象」を起こし、それが海岸沿いを一掃したようです。
イランの「静振」による被害の状況
イラン・ダイイェルの場所
・Google Map
あまりにも被害が大きく感じましたので、この「静振」というものを、もう一度調べてみますと、これは「セイシュ」とも読むそうですが、日本大百科全書には次のようにありました。
せいしゅ seiche
湖や港湾でおこる長周期の波で、周期が場所ごとにほぼ決まっている固有振動。
もとはスイスの方言であったが、現在では国際的に通用し、静振(せいしん)と訳する。全振幅(谷から山までの高さ)が1メートル程度以上になると、陸上への浸水や小型船舶の流失・転覆などの被害が生じるようになる。このような普段見られない大きなものは、異常潮ともよばれる。
ということで、このイランの現象は「異常潮」というほうがいいようです。
海での、陸地にまで被害を及ぼす現象は、津波と高波くらいのものと思っていましたけれど、こういう原理で起きる現象もあるのですね。
しかし、この現象も、イランにおいても決して普通のことではないですので、死者不明者まで出してしまっているという点でも、異常事態といえそうです。